2012/03/05
2012/03/04
ウスタビガの空繭(蛾)
2012年2月上旬
里山の雑木林で枝先に(樹種不明)ウスタビガ(Rhodinia fugax fugax)の空繭(羽化後の抜け殻)がぶら下がって風に揺れていました。
厳冬期に雪景色の中で鮮やかなペパーミントグリーンを見つけると不思議な(幸せな)気持ちになります。
落葉する前は見事な保護色で見つけたことがありません。
繭の表面に卵が産み付けられていないので、♂の繭かもしれません。※
出口は財布のような構造で軽く閉じられています。
繭の底に排水口が作られているのも不思議。
いつか幼虫を飼育して、この独特な形状の繭(別名:山かます、吊りかます)を紡ぐ様子を観察してみたいものです。
ウスタビガの幼虫はなんと、繭を紡ぎながらキューキュー♪鳴くそうで、益々興味がそそられます。
※ 【追記1】
ウスタビガの繭は、大きさと形のちがいから中の蛹が♂なのか♀なのかは、事前にわかるのだ。(『ぼくは昆虫カメラマン』p101より)
【追記2】
『繭ハンドブック』によると、繭が枝などから落ちないように繋ぐための絹糸でできた柄を「繭柄(けんぺい)」と言うそうです
縁石に産卵中のウスタビガ♀成虫 |
2012/03/03
シジュウカラ♂の採食行動(イラガの繭は割れず)【冬の野鳥】
2012年2月上旬
大雪が降り積もったケヤキの樹上に一羽のシジュウカラ(Parus minor)を発見。
鳴きながら枝から枝へ忙しなく飛び回り、食べ物を探しています。
枝先に付いたイラガ(Monema flavescens)の繭を見つけて啄くも割れません。
諦めたと思ったら再挑戦…やはり硬くて非力なシジュウカラでは歯(嘴)が立ちません。
止まっている枝が細過ぎるため、シジュウカラが啄く動作で枝がしなり上手く力が入らないようです。
もしかしたら細い枝先を選んで繭を作るというのがイラガの対野鳥生き残り戦略の一つなのかもしれません。
2年前の観察でも、枝先で越冬するイラガの硬い繭はシジュウカラによる攻撃を耐えました。
関連記事→「イラガの繭を突付くシジュウカラ」
しかしイラガ繭も決して無敵ではなく、キツツキ(アカゲラ)が難なく攻略したのを先日見ています。
関連記事→「アカゲラ♀がイラガの繭を砕いて採食【野鳥】」シジュウカラは隣の木に移動しました。
手前の生い茂った枝が邪魔でよく見えませんが、何やらキツツキのように幹を繰り返し啄いています。
小枝に移動し、嘴を擦り付け飛び去りました。
腹部の黒線が太いので♂と分かりました。
【追記】
余談ですが、前蛹で越冬するイラガの耐寒性メカニズムについて『冬尺蛾:厳冬に生きる』p193に興味深い記述がありました。
イラガは、夏の間は体内に栄養がグリコーゲンの形でたくわえられている。そして、気温の低下によってグリセリンに変化してゆく。(中略)越冬中はグリセリン(凍害防御物質)を多量に保持したまま過ごし、翌春を迎えるとともに再びグリセリンはグリコーゲンに変化してゆく。グリセリンの増えた11月には実験的に-200℃前後の極低温にも耐えられる。
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