2011年9月下旬
コカマキリ♀の飼育記録
夕方の原っぱで暗がりの中、コカマキリ(Statilia maculata )♀を掴まえ飼育するため持ち帰りました。
明るいところでよく見ると、いつどこで怪我をしたのか左の鎌(前脚)が脛節の途中で折れてしまっています。
つまり左の鎌は肘のすぐ上から欠損しており、使い物になる鎌が右の一本しかありません。
厳しい自然界でこんなハンディキャップを背負ってよくぞ今まで生きてこれたものだと驚きました。
若齢幼虫のときの怪我ならば、脱皮の際に少しは鎌も再生するのかもしれませんが、成虫になると回復の見込みはありません。
鎌はカマキリの腿節な、もとい大切な商売道具(武器)ですから、これが片方欠損すれば狩りに支障を来すはずだと思いがちです。
果たして鎌一本だけで自活できるのでしょうか。
飼育容器はDVDスピンドル容器を再利用しました。
中央に立つプラスチックの円柱には登るための滑り止めとしてガムテープ(布タイプ)を巻いてあります。
生きたハエを容器に投入すると、隻腕のコカマキリ♀は壁面で身繕い中のハエを早速認め、こっそり忍び寄って一撃必殺。
獲物に狙いを定め一本の鎌を一閃するや見事に仕留めました。
待ち伏せハンターの面目躍如。
通常ならば食べ進むにつれて鎌で獲物を微妙に持ち替えないといけませんが、口と右鎌だけで器用に羽を毟ってハエを完食しました。
食後は汚れた鎌をきれいに舐めて身繕い。
飛び回るハエを空中で捕らえたこともありました(映像なし)。
他にも生き餌として与えた虫※は全て自力で捕食し元気に暮らしているので、今のところ手助けしてやる(直接給餌、handfeed)必要はありません。
※トンボ(アキアカネ、オツネントンボ)、コオロギ、アメバチ、ジョロウグモ♀、小蛾、アブ、コバネササキリ♀など。ただし体の左側に位置する獲物を狩ろうとすると、右鎌ではリーチが若干遠いので失敗する確率が高いかもしれません。
高い所に登ったり天井にぶら下がったりするのも少し苦労するだけで、健常カマキリと変わりありません。
隻腕カマキリもヒトの患者同様に幻肢の症状に悩まされたりするのだろうか。
交尾を済ませているのか不明ですが、なんとか卵鞘を産めるまで栄養を付けて欲しいものです。
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