2011年9月中旬・早朝・気温22℃
承前。
前編はこちら→「網の張り替えで足場糸を張るジョロウグモ♀」。
3年前の晩秋にジョロウグモの同じ行動を夜撮影しましたが、明るい状態の方が糸や網の視認性が高いです。
新旧の網の境目で少しズームアウトすると、横糸を螺旋状ではなく扇状に張っている(一筆書きの折り返し)ことがよく分かります。
粘着性の横糸を張る際に非粘着性の足場糸を切らないで残すのがジョロウグモ(Nephila clavata)特有の「仕事の流儀」です。
隣り合う足場糸の間には大体4本の横糸を張るようです。
(場所によって3本や5本のことも。)
このため完成したジョロウグモの網は「五線譜」によく例えられます。
縦糸への固定点が横糸の場合は足場糸のようにジグザグしないで真っ直ぐになります。
眺めていると、ときどき横糸が明らかに脱線することがあるのがなんとも微笑ましい。
足場糸を跨いでしまっています。
クモも完璧なプログラムに従っているのではなく、ミスをしたり結構適当(大雑把)だったりするのかもしれません(融通性)。
あるいは、ひょっとすると造網には習熟性があるのかも。(成熟するにつれて上達する?)
前編で見たように、先程クモが足場糸を張りながらときどき中断しては短い縦糸を追加していました。
確かに所々で縦糸が分岐しています。
観察中に素朴な疑問がもう一つ浮かびました。
網を張り替えているジョロウグモは新旧の網の境目(折り返し点)に到達したことをどのように知るのでしょう?
編み物をするように縦糸の本数を数えている可能性もありますが、ちょっと考えにくい気がします。
横に移動しつつ足元を探っている第一、二脚で古い網に触れたことを感じているように思います。
- 粘着性の横糸に触れたことを感知?
- 使い古しの糸になったことを感知?
- 糸を弾く振動の違いで未完の網の領域ではないことを感知?
♀がせっせと網を張り替えている間、♂らしき二匹がいかにも居候らしく網でじっとしていました。
撮影終了後に失礼して同一個体♀を一時捕獲しました。
この時期にしてはそれほど肥えた♀ではないものの、体長19mmで腹面に外雌器を認めたので成体だと思います。
(亜成体だったりして…?)
捕獲時に容器の蓋に挟んでしまい歩脚欠損 |
『カラー自然シリーズ60:ジョロウグモ』 p24より引用。
(ジョロウグモ♀)亜成体の生殖口は、膜で保護されています。成体になると保護膜がとれ、2つのくぼみのようなものができます。この生殖口の奥には精子を保存する受精嚢という袋があり、産卵のときに卵と精子を受精させます。
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