2014/07/25

卵嚢を持つイエユウレイグモ♀(蜘蛛)に求愛する♂



2014年6月上旬・室温22℃

室内の天井隅(北東の角、床からの高さ240cm)に不規則網を張っていたイエユウレイグモPholcus phalangioides)がある朝、2匹で接近戦のような不思議なダンスを踊っていました。
1匹は口に卵嚢(卵塊)を咥えていることから成体♀のようです。
もう1匹は接写してみると触肢が発達した♂成体と判明。
目視では体長に性差は無さそうです。
♂♀ともに8本の歩脚は完全無傷で大きな欠損はありません。
この部屋でイエユウレイグモの存在を意識しなかったので、不規則網の持ち主は誰なのか不明です。
予想ではこの場所に元から居を構えていた♀のもとに♂が交接目当てでやって来たのでしょう。

♀♂ペアが不規則網で互いに向き合い、長い歩脚で優雅に触れ合っています。
網の所有権(縄張り)を巡って「近づくな!」と牽制しているようにも見えますし、♂が糸を弾いて求愛信号を送っているのかもしれません。
果たして♀の琴線に触れるでしょうか?
背景の天井や壁が白いので、不規則網や糸が見えないのは残念です。

いかにもこれから交接しそうな予感がしました。
気になる点として、♀が卵嚢を持ち歩いていることです。
このまま♂を受け入れて交接できるのでしょうか?
それとも、卵嚢ガード中の♀は
幼体が無事に孵化するまで♂を頑なに拒むでしょうか?(「触わらないで!」)
だとすれば、子持ちの♀と交接するためなら♂は子殺し(食卵)も辞さないでしょうか?(※)
♀は卵嚢を咥えている(触肢で保持?)限り、毒牙で噛む反撃は不可能です。
交接中に性的共食いを行うでしょうか?
以上のポイントを念頭に、固唾を呑んで観察を続けます。

脚立に登り白色LEDのマグライトで照らしながら接写してみると、先ず♀が抱えている卵嚢の大きさに驚かされます。
直径は体長の半分ぐらいでしょうか?
少なくとも、♀頭胸部よりも卵嚢の方が大きいです。
この卵塊は受精卵であることが後に判明します。
眩しい照明を嫌ったのか、♀は横を向いてしまいました。
次に♂を接写すると、触肢が発達しています。
♂が精網を作っている様子は見ていないので、既に触肢への移精が済んでいるのでしょう。
接写するとカメラがうっかり網に触れてしまいますし、照明がクモの配偶行動を邪魔してしまうようです。
離れた位置からの撮影に戻すとクモは落ち着いてくれました。

イエユウレイグモ♀の方が積極的になるときもあり♂は及び腰に見えますが、「押して駄目なら引いてみな」という恋の駆け引きかもしれません。
やがて♂が熱烈な求愛アタックを再開しました。
かなり接近したものの、未だ交接には成功していないようです。
一旦離れました。

つづく

クモ生理生態事典 2011』サイトを参照すると、イエユウレイグモの

産卵期は6~8月,卵は糸で薄く包んで口にくわえて保護する。
ごくありふれた普通種なのに誰も調べていないのか、配偶行動に関する記述はありませんでした。


英語版wikipediaでは「♀は20〜30個の卵を触肢で抱える」という表現をしています。

卵嚢の持ち方は一体どちらが正しいのでしょう?
卵嚢ガード中のイエユウレイグモ♀を捕獲して麻酔下で卵嚢をピンセットでそっと取り上げてみればきっと分かるでしょう。


※【追記】
子殺し」というショッキングな現象は動物行動学において重要なテーマの一つです。
ハヌマラングールという猿やライオンの♂がハーレムを乗っ取った後に♀の連れ子を次々に殺す例が有名です。
昆虫ではタガメの♂が守る卵塊を♀が襲って卵を壊してから♂と交尾する子殺しが日本で初めて発見されました。

クモで見られる子殺しの例として
クモの一種Stegodyphus lineatusである。このクモのオスはメスの巣に侵入して卵包を捨てる。メスは生涯で一つのクラッチしか持たないためにこれは繁殖成功を著しく減少させる。そのため怪我や死もまれではない激しい闘争が起きる。(wikipediaより)



卵嚢をくわえガードする♀成体
♂成体の触肢
♂成体の触肢

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