2024/09/25

晩秋の昼間にニホンアナグマが留守中の巣穴に再侵入するニホンイタチ【トレイルカメラ】

 



2023年11月下旬・午前7:05頃・くもり・気温10℃ 

平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用営巣地(セット)を見張っていると、明るい朝からニホンイタチMustela itatsi)がアナグマの巣穴Lにするりと忍び込みました。 
イタチの素早い入巣Lシーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
 6分後に同一個体のイタチが外に出てきたようですが、出巣Lの瞬間を撮り損ねました。 
セットで右往左往してから立ち去りました。 

アナグマの留守中に空き巣の中でイタチが6分間も何をしていたのでしょう? 
巣穴に同居している(越冬している)虫や野ネズミを次々に捕食していたのでしょうか? 
イタチも越冬用の安全な巣穴を物色・内検しているのかもしれません。 

ホンドテンよりも短足で、尻尾が短いのがニホンイタチの特徴です。 
(私もまだじっくり見ないと見分けられません。) 


イチョウの種子(銀杏)を拾い集める

野生動物の糞に含まれる未消化の内容物を丹念に調べて食性を調べるのを糞分析といいます。 
種子散布、特に動物によって被食散布(周食散布)される植物の戦略に興味を持ち始めると、糞分析を避けて通ることはできません。 
手法としては単純で、糞塊を水で洗い流しながらザルで濾せば、消化されなかった種子や虫のクチクラ断片や小動物の骨などが得られます。 
次に、得られた種子の種類をひとつずつ同定するのが大変です。 
そのために実体顕微鏡を買う必要があります。
種子の図鑑も出版されているのですが、参照用として種子の標本を自前で用意する必要があります。 
予め、生息地の環境に自生する植物の種子を片っ端から集めなくてはいけません。 

タヌキは複数個体で溜め糞場を共有するので、大量の糞を一気に調べることができて好都合です。 
溜め糞場に通うタヌキの行動をこれまでトレイルカメラで監視してきたのですが、やはり糞分析も自分でやってみたくなります。 
動画の撮影と整理で手一杯の私はなかなか余力がなくて、糞分析は後回しになっています。 
それでも片手間で、身近な植物の種子を少しずつ集めることにしました。 



まず手始めに、イチョウの種子(銀杏)を拾い集めることにしました。 
子供の頃はそこら中にイチョウの木があり、秋になれば落果(銀杏)が取り放題でした。 
ところが銀杏の果肉が悪臭(糞便臭)を放つために人々から嫌われ、街路樹のイチョウ雌株は次々に伐採され、気づけば実をつけない雄株ばかりになりました。 


2024年1月中旬 
あちこち探し歩いて、銀杏が落ちているイチョウの街路樹をようやく見つけたのは、年が明けてからでした。 
歩道に植栽されたイチョウは完全に落葉しています。 
今年は暖冬で雪が積もらず、誰かがうっかり踏み潰したイチョウ落果は、例の異臭を放っています。 
昨今では、銀杏を拾う物好きが誰もいないのですね。

銀杏の匂いについて、昔から気になっていることがあります。
もしも銀杏の悪臭が糞便に化学擬態しているのだとしたら、食糞性のハエ類や糞虫などが集まってくるのではないか?と予想できます。
イチョウの落果を舐めたり産卵したりするハエ♀がいるでしょうか?
ところが、銀杏に集まるハエを私は今まで見たことがありません。
鋭い嗅覚をもつハエにとって、銀杏の匂いと糞便臭はまったく別物なのでしょうか?
それとも、銀杏に含まれる毒を虫が忌避しているのでしょうか? (※ 追記参照)
気温が下がって虫が活動を止める前の暖かな秋の日にイチョウの落果を重点的に見て回りたいのですが、前述のように銀杏を見つけるだけでも一苦労です。(絶滅危惧?)

閑話休題。
銀杏の果肉(正しくは外種皮)に素手で触れるとかぶれるので、注意が必要です。
手袋の代わりとして、持参したビニール袋を手に被せてから落果を掴み、袋を裏返しながら採集しました。 
持ち帰ってから果肉を洗い落とし、よく乾燥させました。 
イチョウ種子の標本として保管します。


山渓ハンディ図鑑5『樹に咲く花:合弁花・単子葉・裸子植物』でイチョウの種子について調べると、 
銀杏と呼ばれる。10〜11月に熟すと外種皮は黄色くなり、悪臭がする。中種皮は白くてかたく、2〜3稜がある。(p553より引用)


野ネズミやリスにイチョウの堅果を給餌してみて、殻を割って中身を食べたり貯食したりするのかどうか調べるのも面白そうです。 
野ネズミがイチョウの種子捕食者だとしたら、銀杏に含まれる毒に対する耐性があるのでしょうか?


イチョウの果実(堅果)が枝に実った状態の写真も過去に撮っていたので、ついでに掲載しておきます。
2018年11月中旬
 





















※【追記】
Copilotに質問してみたところ、以下の回答を得ました。 

銀杏(イチョウの種子)が臭いのは、進化的にいくつかの理由があります。 
 1. **外敵からの防御**: 銀杏の強烈な臭いは、他の動物に食べられないようにするための自衛手段です。この臭いは「酪酸」と「エナント酸」という物質によって引き起こされ、腐ったバターや足の臭いに似ています¹²。 
 2. **種子の拡散**: 一方で、臭いに惹かれる動物も存在し、その動物たちが銀杏を食べることで種子を遠くに運び、拡散する役割を果たします¹。 
 3. **恐竜との関係**: 銀杏の臭いは、かつて恐竜が食べていた時代からの名残とも言われています。恐竜が銀杏を食べ、そのフンを通じて種子を広げていたと考えられています²。 

このように、銀杏の臭いは進化の過程で生き残るための重要な役割を果たしてきたのです。 

ソース: Copilot との会話、 2024/10/2 
(1) 銀杏が臭いのはなぜ?イチョウ並木のにおいの原因と理由とは?. https://neirof.com/5083.html. 
(2) 銀杏が臭い理由は?恐竜と人間のおかげで生き延びた?チコちゃん. https://tmbi-joho.com/2023/10/13/chiko229-gin/. 
(3) 素朴な疑問 銀杏はなぜ臭い?強烈な香りの成分は? - ハルメク365. https://bing.com/search?q=%e9%8a%80%e6%9d%8f%ef%bc%88%e3%82%a4%e3%83%81%e3%83%a7%e3%82%a6%e3%81%ae%e7%a8%ae%e5%ad%90%ef%bc%89%e3%81%8c%e8%87%ad%e3%81%84%e3%81%ae%e3%81%af%e9%80%b2%e5%8c%96%e7%9a%84%e3%81%ab%e3%81%a9%e3%82%93%e3%81%aa%e6%84%8f%e5%91%b3%e3%82%84%e7%9b%ae%e7%9a%84%e3%81%8c%e3%81%82%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%8b%ef%bc%9f. 
(4) 素朴な疑問 銀杏はなぜ臭い?強烈な香りの成分は? - ハルメク365. https://halmek.co.jp/qa/1444. 
(5) 銀杏(ぎんなん)の栄養や効果効能、食べ過ぎの中毒、殻の処理 .... https://horti.jp/7756.

雪虫が飛ぶ晩秋:ケヤキフシアブラムシの有翅虫?

 

2023年11月上旬・午後14:35頃・晴れ 

公園内の街路樹が色とりどりに黄葉・紅葉しています。 
空中を無数の微小な虫が飛び回り、よく晴れた逆光に透かすと翅がキラキラと光って見えます。 
これは雪虫とか雪迎えと呼ばれる季節の風物詩です。 
雪虫の群飛をハイスピード動画でも撮ればよかったですね。 
個々に(ランダムに?)飛び回っているので、群飛とは呼べないかもしれません。 

たまたま私の左腕に着地してうろうろと歩き回る雪虫を接写してみると、有翅の黒っぽいアブラムシでした。 
生憎この日は本格的なマクロレンズを持ってこなかったので、微小な雪虫をしっかり接写できませんでした。 
透明な翅を広げても、私の腕毛が邪魔なのか、なかなか飛び立てません。 

雪虫で最も有名なのは、北海道のトドノネオオワタムシと呼ばれるアブラムシです。 (※ 追記参照)
しかしこのアブラムシの2次宿主となるトドマツを私は当地(東北地方の山形県)で見たことがありません。 
東北地方で見られる雪虫の正体は、おそらくケヤキフシアブラムシだと思われます。 
アブラムシ入門』という図鑑で調べると、 ケヤキヒトスジワタムシParacolopha morrisoni)にはケヤキフシアブラムシ、ケヤキヒトスジタマワタムシという別名もあるらしく、
晩秋の小春日和の日に腹部が綿状物で覆われた有翅虫がケヤキに戻る。 (p122より引用)
とのことでした。 
ケヤキの葉に形成される独特の虫こぶ(ケヤキハフクロフシ)の中で成長すると初夏に虫こぶから羽化脱出し、次はササ類の根に移住し、秋には再びケヤキに戻って卵で越冬する、という移住性の生活史(寄主転換)を送るのだそうです。 
ケヤキの木を探して飛び回っていたのだと分かりました。
結婚飛翔をする昆虫の群飛とは飛び方が違うのも納得です。
撮影現場は街路樹が多い公園で、ケヤキの木や笹薮も探せばありそうです。(※ 追記2参照) 



断片的な観察でもケヤキフシアブラムシの暮らしぶりの全体像が少しずつ繋がってきて、俄然面白くなってきました。 
私の腕に止まった個体は体が黒く、白い綿状の物質に覆われてはいませんでした。
飛んでいる間に白いワックスが落ちてしまったのかな?
それともケヤキフシアブラムシとはまた違う別種のアブラムシなのでしょうか?
(サンプル数が1匹だけの観察で結論を出すのは危険です。) 

私はこの日、買い物に行く急ぎの用事があって、近道として公園を横切っていました。 
気が急いていた私は、雪虫をじっくり観察する余裕がありませんでした。 
また来年に続きを観察するのが楽しみです。


※【追記】
北海道では「雪虫(トドノネオオワタムシ)が大量発生してから約1週間~10日で初雪が降る」という俗説(虫の知らせ)があるそうです。
天気予報でおなじみのウェザーニュース社が市民科学の手法で情報を広く募ると、興味深い結果が得られたそうです。
奇しくも、当地(山形県の平地)で初雪が降ったのも雪虫(ケヤキフシアブラムシ?)の大量発生を見てからちょうど22日後でした。
このデータを毎年記録して関連を調べるのも面白そうです。


※【追記2】
2024年9月下旬に遅まきながら公園を現場検証すると、動画奥の左に写っている大木がまさしくケヤキでした。
葉にはケヤキハフクロフシの虫こぶが形成されていました。
他にも多数のケヤキ街路樹が公園の敷地内に植栽されていました。
笹薮は伐採されてしまったのか、見つかりませんでした。
ケヤキフシアブラムシはどのぐらい遠くから宿主のケヤキを目掛けて飛来するのでしょうか?



【アフィリエイト】 

ランダムに記事を読む

  • 泥巣に出入りするヒメクモバチ♀の飛翔【ハイスピード動画】18/08/2013 - 0 Comments
  • ヒメベッコウ♂cの成長23/01/2011 - 0 Comments
  • 晩秋にコガタスズメバチの巣を桑の木から採集【暗視映像】26/05/2020 - 0 Comments
  • 営巣地に領空侵犯したトビを追い払うハシブトガラス(野鳥)16/06/2021 - 0 Comments
  • 夜のツガカレハ♂(蛾)は急には飛び立てない24/08/2015 - 0 Comments