2023/04/04

アリに噛まれて飛び起きたパートナー♀を心配するニホンザル♂

 



2022年10月上旬・午後13:50頃・くもり 

山間部の路上に寝そべってニホンザルMacaca fuscata fuscata)成獣♂から毛繕いを受けていた若い♀が急に飛び起きました。 
音量を上げて聞き直しても、前回とは違ってカケスGarrulus glandarius)の警戒声♪に反応した訳ではありません。 
その直前にも♀は自分の体の下の路面を気にしていたので、どうやら路上を徘徊していたアリの上に知らず知らず乗ってしまって、怒ったアリに噛まれたようです。
(この映像では遠くてアリは写っておらず、私の想像です。) 
ニホンザルは長い体毛に覆われていますから、体毛の間に潜り込まれたアリに皮膚を直に噛まれて痛がっているとは限らず、アリが毛皮を這い回るだけでもくすぐったくて嫌なのかもしれません。 

横に居た♂も驚いたものの、パートナー♀の身に何が起きたのかすぐに察したようです。 
心配そうに♀の顔や胸元を覗き込み、噛んだ虫を探しているようです。 
言語を使わないニホンザルでも共感性や気遣いの萌芽を垣間見たようで、興味深く思いました。 
もし♀の体に小さなアリを見つけたら、♂は蚤取りの一環として手で器用に取り除いて食べてしまったはずです。
しかし、ニホンザル♀♂が攻撃者を見つけて反撃・報復することはありませんでした。 

やがて♂は♀への対他毛繕いを再開しました。 
今度は頭部の毛を掻き分けて甲斐甲斐しく蚤取りをしています。 
私は動物の行動を安易に擬人化しないように心がけているつもりですけど、ニホンザルの行動を観察していると、ほとんどヒトと変わりません。
ヒトでは親が幼児に対して「痛いの痛いの飛んでいけ〜♪」 などと声を掛けながら慰めてやりますが、猿も仲間の痛む患部を撫でたりさすったりしてあげるのでしょうか?

最後に大柄な個体の股間に陰茎および睾丸が正面から見えたので、♂と分かります。 
睾丸が紅潮してないということは、未だ発情していないということを意味しています(繁殖期の開始は晩秋)。






川に飛来したカワウ若鳥が着水に失敗して転倒(野鳥)

 

2022年10月上旬・午後15:40頃・晴れ 

川の右岸にニセアカシア(別名ハリエンジュ)の倒木が連続している場所があり、カワウPhalacrocorax carbo hanedae)やカルガモAnas zonorhyncha)などの水鳥にとって格好の止まり木になっています。 
巣が並んでいる訳ではないので「カワウのコロニー」とは呼べませんが、大体いつもカワウが集まって休んでいます。
のんびり羽繕いしたり、カワウが濡れた翼を広げて乾かしたりしています。 

定点観察を終えた私がカメラをズームアウトしかけたら、上流から新たに1羽のカワウが低空で飛来しました。 
突風が吹いた訳でもないのに、着水に失敗しました。
右に旋回しながら着水しようとしたら、右に傾け過ぎた右翼の先をうっかり水面に引っ掛けてしまったのです。
片側から水の抵抗を急に受けたカワウは当然ながらバランスを崩し、もんどり打って転倒しました。 
カワウのこんな無様な(下手糞な)着水シーンは今まで見たことがありません。 
すぐに立ち直って川面を遊泳し始めたので、どうやら無事だったようです。 
もっとスピードが出ていたら、翼が骨折して致命的な大事故になっていたかもしれません。 
カワウ若鳥の着水失敗シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:51〜)
潜水に特化した体型に進化したカワウは川から離陸するのも手間取りますし(助走が必要)、飛ぶのがそもそもあまり上手くないのでしょう。

水を飲みながら川面を泳いで渡り、仲間が集まる倒木に近づきます。 
すると先客のカルガモが遠慮して倒木から離れ、止まり場所をカワウに明け渡しました。 
体格では圧倒的にカワウ>カルガモなので、力関係もそうなっているようです。 
カルガモを追い払った新参のカワウは、倒木のすぐ手前でザブンと水浴してから飛び乗りました。 
新参のカワウが止まり木でこちら(上流側)を向いてくれたので、胸の羽毛が白い若鳥と判明。 
飛行経験が未熟なのも若さゆえ、ということで納得しました。 
着水直前に急旋回すると事故る、と学習したはずです。
もしかすると、着水直前に水中に岩や怪魚の姿を認めたカワウ若鳥が慌てて緊急回避した結果だったのかもしれません。

止まり木上で隣の個体と小競り合いのように牽制し合い、適切な距離を取って並びます。(ソーシャル・ディスタンス!) 
止まり木に合流した若鳥は早速、羽繕いを始めました。 

2023/04/03

道端から突き出た落枝の先端に眼下腺分泌物を連日擦り付けるニホンカモシカたち【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月下旬〜10月中旬 

自動撮影カメラで見張っている里山のスギ林道を通りかかったニホンカモシカCapricornis crispus)の記録を15日間分まとめてみました。 

シーン1:9/26・午後20:42・気温18℃ 
林道を右から歩いて登場しました。 
道端の斜面から斜めに突き出しているスギ落枝の先端に軽く顔を擦り付けて眼下腺マーキングすると、左に立ち去りました。 


シーン2:9/27・午前10:41・気温20℃・晴れ (@0:18〜) 
右から左へ通り過ぎる途中、スギ落枝の匂いを嗅いで眼下腺マーキングして行きました。 


シーン3:9/27・午後17:01・気温19℃ (@0:40〜) 
同じ日の6時間20分後、カモシカがまた現れました。 
個体識別できていないので、同一個体なのか別個体なのか私には分かりません。 
日没前の夕方なのにスギ林の林床はかなり暗く、暗視モードで起動しました。 
ちなみに、日の入り時刻は午後17:32。 

いつものように林道を右から左へ通過する途中、スギ落枝に眼下腺の分泌物をゴシゴシと擦り付けて行きました。 


シーン4:9/28・午後14:18・気温20℃・晴れ (@1:02〜) 
明るい午後に林道を右から登場。 
今回は珍しく眼下腺マーキングせずに落枝を素通りしました。 


シーン5:9/28・午後23:36・気温15℃ (@1:09〜) 
同じ日の9時間20分後の深夜に、右から登場。 
顔をスギ落枝に2回擦り付けただけで、左へ立ち去りました。 


シーン6:9/29・午後18:05・気温19℃ (@1:22〜) 
林道を右から歩いて来たカモシカが溜め糞場sもスギ落枝も素通りし、そのまま左へ通過しました。 
この個体は幅の広い林道の中央を歩いたので、暗い夜道ではマーキング用のスギ落枝に気づかなかったのかもしれません。 


シーン7:10/1・午後13:53・気温22℃・晴れ (@1:31〜) 
明るい日中に林道を右からやって来ました。 
スギ落枝に眼下腺マーキングした直後のカモシカは、舌をペロペロと出し入れすることが多いようです。 


シーン8:10/1・午後19:06・気温18℃ (@1:56〜) 
同じ日の5時間10分後、珍しく画面の左下から登場しました。 
林道脇の法面(斜面)を降りてきたのかもしれません。 
まっすぐ林道を渡ると、スギ落枝の先端の匂いを念入りに嗅いで眼下腺マーキング。 
右折して林道を右に立ち去りかけたときに、何かに驚いて右へ駆けて行きました。(@2:26〜) 
なぜか右後脚がガクッとなり(スギ落葉に踏み外した?)、それに自分でビックリしたのでしょうか? 
それともトレイルカメラが発するかすかなノイズや赤外線に急に気づいて、警戒したのかもしれません。(カメラに慣れていない個体?) 

今回ようやくカモシカの右半身が見えたのですが、右肩に不明瞭な黒い模様があるだけで、目立つ黒点はありませんでした。 
カモシカの毛皮の斑紋は生まれつきの母斑かと勝手に思ったのですが、個体識別には使えないのかもしれません。 
もしもカモシカの体毛は根元が黒いのだとしたら(ヒトで例えると、毛染めしてからしばらく経った後のプリン髪状態)、寝癖やつむじなどで毛並みが少し乱れるだけで斑紋がかんたんに変化することになります。 
たとえばシロクマの地肌は黒色です。
この点を確かめるには、動物園に行って質問する(飼育個体の体に触らせてもらう)か、カモシカの死骸を見つけるしかありません。 (※追記参照)


シーン9:10/2・午後18:54・気温18℃ (@2:35〜) 
林道を右から左へ通過する途中、いつものスギ落枝で眼下腺マーキングして行きました。 
この個体はかなり念入りに顔をゴシゴシと擦り付けています。 


シーン10:10/4・午後17:27・気温21℃ (@3:16〜) 
日没直後なのに杉林は早々と真っ暗になるため、暗視モードで起動しました。 
ちなみに日の入り時刻は午後17:21。 
いつものように右からきたカモシカが眼下腺マーキングしてから左へ立ち去りました。 
左前脚の付け根付近に何か枯れ草(落ち葉?)が付着したままブラブラしています。 
右耳の後ろにも小さな落ち葉?が付着しています。 


シーン11:10/5・午前3:20・気温16℃ (@3:38〜) 
林道を右から左へ通り過ぎる途中で立ち止まってスギ落枝の先端に眼下腺マーキング。 
その後、足元の溜め糞場sの匂いを嗅いでから林道を手前に渡りました。 
珍しく、林道脇の法面を登る獣道を辿って行ったようです。 


シーン12:10/5・午前13:40・気温12℃・晴れ (@4:11〜) 
同じ日の10時間20分後、明るい昼下がりにカモシカが林道を左から登場しました。 
例によって立ち止まってスギ落枝に眼下腺マーキング。 
この個体は右肩に黒点はありませんでした。 
右へ立ち去る途中で顔をプルプルと振りました。 


 シーン13:10/5・午後15:52・気温12℃ (@4:42〜) 
更に2時間10分後、未だ明るい時刻のはずなのに、なぜか赤外線の暗視モードで起動しました。 
急に暗くなったのでしょうか? 
林道を右から登場したカモシカがスギ落枝先端部の匂いを嗅いだだけで、眼下腺マーキングせずに通り過ぎました。 
自分の匂いしか無ければ、マーキングを省略するのかな? 
頭を下げて、足元の溜め糞場sの匂いも嗅いで行きました。 


シーン14:10/5・午後16:02・気温12℃ (@5:11〜) 
わずか10分後、再び右から来るカモシカが写りました。 
別個体のはずですけど、どうでしょうか。 
左背に落葉(枯葉)を乗せていました。 
溜め糞場sの匂いに気を取られたようで、眼下腺マーキングするスギ落枝は素通りしました。 


シーン15:10/6・午後18:43・気温10℃ (@5:24〜) 
右から左へ、眼下腺マーキングあり。 


シーン16:10/8・午後15:51・気温13℃・晴れ (@5:45〜) 
林道を右から左へ通過する途中で立ち止まり、スギ落枝先端の匂いを嗅ぎました。 
このとき頭部にたかる多数のブヨを振り払おうと、左右の耳をパタパタと大きく動かし、身震いしました。 
頭を下げて足元の溜め糞場sの匂いも嗅いでから、左に立ち去りました。 


シーン17:10/9・午前2:44・気温9℃(最低気温を更新?) 
深夜に林道を左から登場したカモシカが、スギ落枝に額を擦り付けて眼下腺マーキング。 
右へ立ち去る際に右半身を見せてくれたものの、右肩に黒点なし。 


シーン18:10/9・午後13:21・気温14℃ (@6:40〜) 
同じ日の10時間35分後、晴れた昼下がりに林道を歩いて右から登場。 
いつものスギ落枝の匂いを念入りに嗅いだだけで、眼下腺で匂い付けはしませんでした。 
足元の林道の匂いも嗅いでから左へ立ち去りました。 


シーン19:10/9・午後16:34・気温13℃ (@7:14〜) 
更に3時間15分後、日没前の夕方でもスギ林は暗く、暗視モードで起動しました。 
ちなみに日の入り時刻は午後17:11。 
林道を左から右へ通り過ぎる途中でスギ落枝に眼下腺マーキング。
この個体は右肩に黒点が上下に2つ並んでいました。 
これが個体識別に使えるぐらい安定した形質(生まれつきの母斑?)なのかどうか、知りたいところです。 


シーン20:10/9・午後20:34・気温12℃ (@7:27〜) 
更に4時間後の晩に、またもや左からカモシカが登場。 
最近になって偶然出現したスギ落枝に眼下腺マーキングするためにニホンカモシカたちが長時間立ち止まってくれるので、私としてはじっくり観察できてありがたいです。 
今度は右肩に黒点は無く、4時間前とは別個体のようです。 
林道を右へ立ち去る間際にブルルッ♪と鼻息が聞こえました。 


シーン21:10/10・午後17:41・気温16℃ (@7:43〜) 
日の入り時刻は午後17:12。 
うっすらと夜霧が立ち込めているようです。 
林道を左から登場したカモシカが、いつものスギ落枝に眼下腺マーキングしました。 
よほど力を込めて顔を擦り付けているようで、落枝がミシミシと軋む音♪が聞こえます。 
この長い落枝は地面に突き刺さっているのではなく、斜面の途中に引っかかっているだけです。
(地面との摩擦があるために斜面を滑り落ちません。) 

この個体は右肩に黒点はありません。 
眼下腺分泌物で長々と匂い付けした直後、舌をペロペロと出し入れしました。 
この行動はカモシカのフレーメン反応なのですかね? 
ゆっくりとした足取りで右へ立ちりました。 


シーン22:10/11・午前10:13・気温16℃・晴れ (@8:35〜) 
晴れて明るい午前中に林道を左から登場し、鼻面をスギ落枝に擦り付けていました。 
右肩に黒点なし。 
右へ歩き出してすぐに立ち止まり、前方を見据えています。 
身震いして体にたかるブヨ(吸血昆虫)を振り払いました。 
ちょうど溜め糞場sに跨がりながらカモシカの短い尻尾がピクリと動いたので、脱糞するのかと期待したものの、私の予想は外れ、カモシカはそのまま右へ歩き去りました。 
私は未だカモシカの排便シーンを見たことがありません。 


林道を頻繁に行き来するカモシカの個体識別ができないことが悩みです。 
野生カモシカの映像から個体識別を自動で高速にやってくれる賢いAI(人工知能)を開発してもらいたいものです。
そいういうプログラムをChatGPTで書いてくれないかしらん?





※【追記】
生後間もないカモシカの幼獣を2年間飼育した武田修『ロッキーへの手紙』によると、
毛をかきわけても地肌はみえない(p88より引用)
とのことなので、カモシカの白っぽい体毛を掻き分けても黒い地肌が見えることは無いようです。
それなら背中の黒斑や黒点は生まれつきの母斑である可能性が高まり、個体識別に使えそうです。
ヒトで言うとホクロみたいなものでしょうか。

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