2021/12/12

ツリフネソウの花に集まり小競り合いを繰り返すブチヒゲクロカスミカメ(求愛行動?)

 

2021年9月上旬・午後16:20頃・くもり 

山道の横に咲いたツリフネソウの群落で見慣れない謎の昆虫がひとつの花に集まって何やら争っていました。 
薄暗い条件で撮影していると、触角が長いのでてっきりカミキリムシの仲間かゴキブリなのかと思いました。 
帰ってから調べてみると、どうやらブチヒゲクロカスミカメAdelphocoris triannulatus)のようです。 
本種の性別を外見で見分ける方法を私は知らないので、行動の解釈に困ってしまいます。 
どなたかご存知の方は是非教えて下さい。
首元が赤い個体が♀? 
横から見た腹部の厚みは、首元の赤い個体(♀?)の方が太い気がします。 

ネット検索しても、ブチヒゲクロカスミカメの配偶行動に関する情報は得られませんでした。
よく分かっていない(誰も調べていない)のでしょう。
カメムシの中には♂が食草上で多数の♀を囲い、このハーレムをライバル♂から防衛する種類が知られています。 
しかし、今回ツリフネソウで吸蜜・吸汁している個体はいませんでした。 
ブチヒゲクロカスミカメが吸汁する食草として、キク科、イネ科、マメ科などが知られています。(図鑑『札幌の昆虫』p74より) 
ダイズやアズキなど農作物の害虫としても知られているそうです。(野澤雅美『おもしろ生態と上手なつきあい方:カメムシ』p65より) 
なお、南九州大学の昆虫生態学研究室によって、ブチヒゲクロカスミカメは動物も植物も摂食するタイプの食性(zoophytophagy)と判明したそうです。 
つまり、ツリフネソウ科ツリフネソウはブチヒゲクロカスミカメにとって餌資源でも産卵基質でもありません。 
食草以外の花に♂が集まって求愛ディスプレイを繰り広げ、♀に選んでもらうレックなのかな?
繁殖期の雄が集合して集団で求愛誘示を行なったり,特定の位置を占めるために儀式的な闘争で争いあったりする場所,あるいは繁殖システム.レックにやってきた雌は,例えばウォーターバックのように特定の位置(中央部)にいる雄と交尾する場合と,エリマキシギのように好ましい形質をもつ雄を選んで交尾する場合とがある.レックには繁殖に役立つ資源は何もなく,雌は別の場所で出産・産卵する.魚類でも雄が集合的に営巣して求愛誇示を行なっている場合にレック様システム(lek-like system)とよぶことがある. (『岩波生物学辞典・第4版』より引用)
しかし求愛誇示らしき行動は見られませんでした。 
カメムシの場合は性フェロモンの放出が求愛誇示に相当するのでしょうか?
個体間の小競り合いもよく見ると、相手をツリフネソウの花から完全に追い払うほどの激しい闘争行動ではありませんでした。 
同じ花上で互いに少し離れたり陰に隠れたりするだけで休戦状態になります。 
小競り合いの後に2匹が横に並んで静止することもありました。 

撮影中は気づかなかったのですが、ツリフネソウの花の右上の包葉?にもう1匹居ました。 
♀が♂同士の喧嘩を見守ってるのかな?と想像したものの、性別不明です。 

ブーンという低い羽音♪を立てて新たに別個体が飛来しました。 
同種のカメムシが続々と集まるということは、集合フェロモンを発しているのでしょう。 
しかし私の鼻では何も匂いを感じませんでした。 
この程度の風では集合フェロモンに影響ないようです。 
ところが新入りの個体は、すぐにまた飛び去ってしまいました。 

繰り返される小競り合いを1/5倍速のスローモーションでじっくり見直すと(@3:10〜)、どうやら♂が♀をしつこく追い回して背後からマウントしようとしていると分かりました。 
その度に背後から近づく相手を後脚で足蹴にして牽制・撃退しています。 
♀による交尾拒否なのか、それとも♂同士の誤認求愛なのか、私には分かりません。 
別れても何度も追い回して、嫌がる相手に繰り返しマウントを試みています。 

足蹴りと言えば、カメムシの中には♂同士の闘争用に棘付きの太い後脚をもつ種類がいます。 
しかしブチヒゲクロカスミカメの後脚は長いものの、太くもなく棘も生えていません。 

私が草むらに一歩踏み込んで接写しようとしたら、ブチヒゲクロカスミカメは警戒して動きを止めてしまいました(擬死モード?)。 
何かありあわせのビニール袋でもあれば採集したかったのですが、この日は何も採集容器を持ってませんでした。
 カスミカメムシの仲間は極めて動きが俊敏で、見つけてもすぐに葉裏に隠れるほか、ネットで捕まえてもすぐに飛び立つものも多く、体が小さく軟弱な割に素早い。(野澤雅美『おもしろ生態と上手なつきあい方:カメムシ』p63より引用)

2021/12/11

電柱の天辺から脱糞後に飛び立つチゴハヤブサ【野鳥:HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年9月上旬・午後14:30頃・くもり

前回の記事:▶ チゴハヤブサ幼鳥同士で鳴きながら挑発飛行(野鳥)

田園地帯の道端に立ち並ぶコンクリート電柱の天辺にチゴハヤブサFalco subbuteo)が止まっていました。 
逆光ですが、下腹部に赤茶色が見えたので成鳥と判明。 
つい先程見たばかりの2羽の幼鳥の親鳥だと思います。 
稲穂が実る周囲の田んぼを鋭い眼光でキョロキョロと見渡しています。 
ときどき頷くように頭を上下に動かしているのは、獲物を探して遠くをよく見るための行動なのでしょう。 
風で羽毛がなびいて、絵になりますね。 
かなり豪胆な個体で、私が長時間カメラを向けても全く鳴かず、なかなか逃げようとしませんでした。 
 飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でかなり粘って長撮りしました。(@1:53〜2:24)
もちろん退屈なシーンは編集でカットしてあります。
強風で私の体ごと飛ばされそうになるので、ひたすら愚直に長撮りするのも大変でした。
電柱天辺のチゴハヤブサ成鳥は、頭を少し下げながら尾羽を上げて、白くて粘性のある液状便を真下に排泄しました。 
排便で体重を軽くした直後に翼を広げ、電柱を脚で蹴り出しながら飛び立ちました。 

田園地帯をしばらく飛び、電線に止まり直しました。 
ここでも辺りをキョロキョロと見回し、ときどき頭部を上下に動かしています。 
隣接する電柱間の中央で弛んだ電線に止まったのが興味深く思いました。 
チゴハヤブサは体重が軽いので、足場がやや不安定でも気にしないのでしょう。 
ノスリなど大型の猛禽は安定した足場を好むので、電線に止まる時は電柱に近い弛みのない部分を選びます。 

実はもう1羽も近くの電線に止まって居て、キーキーキー♪と鳴く声も聞こえたのですが、うまく動画で記録することができませんでした。

ホツツジ訪花中のスズキハラボソツリアブ♀に交尾を挑む♂

 

2021年9月上旬・午前11:40頃・くもり

里山の尾根道に沿って咲いたホツツジの群落でスズキハラボソツリアブ♀(Systropus suzukii)が単独で訪花していました。 
腹部末端が太いので、おそらく♀だと思います。 
吸蜜中は花に足を掛けて羽ばたきを止めているので、ツリアブ類が得意とするホバリング吸蜜ではありません。 

腹端を少し上に持ち上げてから次の花へと飛び立ちます。 
そこへ別個体が飛来しました。 ほっそりした体型なので、おそらく♂でしょう。 
空中で♀に衝突したものの、すぐに別れました。 
ホツツジの花は比較的広範囲に咲いていたので、蜜源植物を巡る縄張り争いとは考えられません。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、どうやら♂が♀を捕獲し交尾を挑もうとして失敗したようです。 
♀による明確な交尾拒否行動があったのかどうか、よく分かりませんでした。 
おそらく、この♀は既に交尾済みだったのでしょう。 
次は♂の求愛が成就して交尾に至る過程を観察してみたいものです。 



ところで、大谷剛『昆虫―大きくなれない擬態者たち』という本によると、
(寄生蜂の)産卵管はたいてい寄主に対応してうまく産卵できるように特殊化しているので、人の皮膚を突き破るのはなかなか難しいのだ。例外はアメバチのグループ。つい最近刺されてみたが、結構痛かった。だから、アメバチに擬態しているアブが存在する。 
写真4-1:アメバチ類とその擬態者。ニトベハラボソツリアブ、スズキハラボソツリアブのモデルがオオアメバチ、マツケムシヤドリコンボウアメバチ (p62より引用)
この指摘は面白く、初耳でした。 
確かにマツケムシヤドリコンボウアメバチとスズキハラボソツリアブは見た目がそっくり似ています。
しかし、私は夜に灯火の下ぐらいでしかアメバチ類を見たことがありません。 
(私の目が届かない山林の樹上などに多いのかな?)
昼間にフィールドで見かける個体数は、モデルよりも擬態種ハラボソツリアブの方が圧倒的に多い印象です。
アメバチは寄生蜂ですから、個体数が少ないのは当然です。 
そのような状況でベーツ型擬態が成立するかどうか(進化できるかどうか)、私は疑問です。 
つまり、鳥などの捕食者が擬態モデルのアメバチに刺されて(痛い目に遭って)学習する機会が乏しいのではないでしょうか? 
虫好きの脳は偶然の空似でもすぐに擬態だと言いたがる癖があります。
したがって、願望(希望的観測)や「言ったもん勝ち」ではなく、客観的な実証が必要です。 
食虫性の野鳥は本当にハラボソツリアブ類を怖がって忌避するでしょうか? 
実験でデータを取ろうとすると難しいですね。
だから今まで誰もやってこなかったのでしょう。

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