2020/06/18

オナガガモ(冬の野鳥)のラブコメ:♂aを追い払う♀に求愛する♂b



2020年1月上旬・午後15:15頃・くもり


▼前回の記事
川岸で配偶者♀を一途にガードするオナガガモ♂(冬の野鳥)

川岸にオナガガモ♀♂(Anas acuta)の群れが休んでいます。
水際に居た1羽の♀aが突然、目の前の♂aの尾羽根を嘴でつついて追い払ったので驚きました。
「邪魔だよ、どいてどいて」
♀から♂への攻撃はこれまで記憶にありません。
♂を追い払った♀は、コンクリート護岸に並んでいる群れの間に割り込みました。
背後から♀aに攻撃された♂aは反撃しませんでした。
不意をつかれて慌てて逃げた♂aは、少し離れたところで尾羽根を左右に震わせました。

そんな勝気な♀aを見て魅力的に感じる♂bが近くに居ました。

恋人と喧嘩別れしたときが求愛のチャンスだ!と思ったのかもしれません。
♀aとの間に別の♀が2羽並んでいたのに、それには目もくれず、♂bは回り込むとコンクリート護岸に佇む♀aの右横に割り込みました。
♂bは首をしゃくり上げるように伸ばして左横の♀aに見せつけました。(求愛誇示)
その後はしつこい求愛をしませんでした。
♀aも♂bに気があるのか分かりませんが、少なくとも攻撃はしませんでした。
すでにつがい形成したカップルなのかもしれません。

それまで岸でぼーっと立っていた♂aが歩き出すと、目の前の♀dに接近して嘴で軽く牽制しました。
なんとなく、この♂aは求愛下手な若い個体なのかな?と勝手に想像してしまいます。

オナガガモの大群が居ると、どの個体を観察しようかと目移りしてしまいます。
実は群れの中でもさりげない恋愛ドラマが絶えず繰り広げられているようで、注意して観察するとなかなか面白いです。
脚輪を付けて個体標識すれば、きっと更に面白くなりそうです。



つづく→川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その1:♂同士の喧嘩

2020/06/17

食草アキノノゲシの株に群がるホソバセダカモクメ(蛾)幼虫



2019年10月上旬・午前11:15



平地の農道と林縁に挟まれて育ったアキノノゲシの群落でホソバセダカモクメCucullia fraterna)の幼虫が群がっていました。

アキノノゲシは本種幼虫の好きな食草の一つですが、花後の一株にこれほど多く(6匹?)の個体が群がっているのを見つけたのは初めてです。
細かく分岐した茎のあちこちに発育状態(齢数)が様々の幼虫が分散していました。
おそらくタイワンヒゲナガアブラムシUroleucon formosanum)と思われる赤いアブラムシのコロニーもアキノノゲシの茎や果柄にびっしり群がっています。

どうしてこれをわざわざ動画で記録したかと言うと、以前ホソバセダカモクメ幼虫が単独でアキノノゲシの茎にしがみついていた時に、奇妙な足踏み運動をしていたからです。


▼関連記事
ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫:謎の足踏み運動

大きく育った幼虫の複数個体が食草の同じ株で競合しないように、振動による信号を発しているのではないかと大胆な仮説を立てました。
しかし今回見つけた幼虫は、食草の同じ株に複数個体が集まっているのに1匹も足踏み運動をしていませんでした。
したがって、謎の行動は「足踏み運動」ではなくて、風で激しく揺れる茎から滑り落ちないように胸脚で茎を握り直していたのだろうと思い直しました。


この株に注目して定点観察に通うつもりだったのですが、数日後には農道沿いの雑草がきれいに草刈りされてしまいました。
今季は他にもホソバセダカモクメ若齢幼虫の飼育を試みたら、採取してきた食草アキノノゲシが農薬(殺虫剤)に汚染されていたらしく、幼虫が全滅してしまったという事件もありました。
ホソバセダカモクメ幼虫の暮らしについてじっくり本格的に調べるのなら、やはり自分で食草を栽培するところから始めないといけないようです。(レタスの無農薬栽培など)


不思議なことに、同じ時期(秋)にノゲシ属のオニノゲシをいくら見て回っても、ホソバセダカモクメの幼虫は見つかりません。
(アキノノゲシはレタスと同じアキノノゲシ属。)
オニノゲシの実でも食前にトレンチ行動をするかどうか興味があるので、飼育下で試してみたいと思います。

▼関連記事
ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫のトレンチ行動を接写
オニノゲシの葉を食すホソバセダカモクメ(蛾)幼虫


写真には5匹のホソバセダカモクメ幼虫が写っています。

繁殖期にメタセコイア樹冠でさえずる♪アオゲラ♂(冬の野鳥)



2020年1月中旬・午後12:05頃・くもり

昼過ぎに何者かが甲高い声でキョン、キョン、キョン…♪と鳴き続けていました。
かなり遠くまで響き渡る大きな鳴き声です。
誰か子供(ヒト)が笛を吹いて悪戯しているのかと思ったぐらいです。
気になって探し回ると、平地で民家の庭に聳え立つメタセコイア(=アケボノスギ)の梢で啄木鳥が鳴いていました。
なんとなく猛禽類かと予想したのですが、聞き覚えのない謎の鳴き声の主は意外にもアオゲラ♂(Picus awokera awokera)でした。
しかし私は啄木鳥のこんな鳴き方は聞いたことがありません。
縄張り宣言は、嘴で幹を激しく叩くドラミングのはずです。


▼関連記事(7年前の撮影では♀がキョッキョッ♪と鳴いていました。)
アオゲラ♀の木登りと鳴き声♪【冬の野鳥】

手元にある鳥の図鑑で何冊か調べ回ると、繁殖期に特有の囀りさえずりだとわかりました。


(アオゲラの)鳴き声は、キョッキョッ。飛翔時にケレケレケレと鳴くこともある。繁殖期には口笛のようなピョーピョーピョーという声も発する。wikipediaより引用)

高木清和『フィールドのための野鳥図鑑:野山の鳥』でアオゲラのさえずりを調べると、

さえずり:ピュー、ピュウー、ピュウー、コロロロロロローン(さえずりと枯木をたたく音がまじる)/ピヨー、ピヨー(通る声)(p46より引用)


高野伸二『山渓カラー名鑑:日本の野鳥』でアオゲラを調べると、

声:主として繁殖期に「ピョー、ピョー、ピョー」と、笛のような大きな声で鳴く。(中略)飛び立つ時には「ケレレレ」と鳴くことが多い。(p368より引用)


鳴く合間に、黒っぽくて細長い固形の糞を排泄しました。(@0:25)

背景が曇り空の逆光のため、肝心のアオゲラの色姿がはっきり見えません。
私がそっと回り込んで順光から撮ろうとしたら、この辺りを縄張りとするヒヨドリHypsipetes amaurotis)が飛来してアオゲラを追い払ってしまいました。
図鑑の記述とは異なり、アオゲラ♂が飛び去るときにケレレレ♪と鳴くことはありませんでした。(@0:49)

アオゲラ♂と入れ替わるように飛来したヒヨドリが、少し下の小枝に止まりました。
メタセコイアは針葉樹なのに冬には落葉します。

※ 動画編集時に彩度を少し上げています。
また、音声を正規化して音量を強制的に上げました。




アオゲラ♂の囀りさえずりを声紋解析してみる


上の映像では定時(正午)に鳴り響く街のサイレン♪が耳障りで、声紋解析の邪魔でした。
9日後の1月下旬・午前9:04に同じ場所で再びアオゲラ♂が繰り返し鳴いていました。
おそらく前回と同一個体なのでしょう。
このときは物陰の死角になっていて鳴く姿を撮れなかったものの、窓ガラス越しに鳴き声だけでもハンディカムの動画で記録しました。
正規化した音声をブログ限定で公開しておきます。



オリジナルの動画ファイルから音声を抽出してから鳴いている部分だけを適当に切り取り、スペクトログラムを描いてみました。
今回混じっているノイズは、ハンディカム内部の動作音や私の鼻息などです。

犬の飼い主は皆さんご存知のように、街のサイレン♪や救急車、パトカーのサイレンが鳴る度に競い合うように(つられて)イヌはアォーン♪と遠吠えをします。
もしかするとアオゲラ♂もそうなのかと思ったのですが、静かな朝にも囀っていたので、サイレンの音とは関係ないことが分かりました。




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