2019年11月上旬・午後15:15・晴れ
河原でハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)が単独で行水していました。
中州の横の岩に乗って、濡れた羽を羽繕いしています。
晩秋の日差しに輝く「烏の濡れ羽色」は、いつ見てもきれいですね。
岩からピョンと入水して浅瀬で水浴を再開。
翼でバシャバシャと水を跳ね上げて全身を濡らします。
今度は大きな岩に飛び乗ると、身震いして水気を切り、また羽繕いします。
すっきりしたハシブトガラスは岩から飛び立ち、岸に向かって行きました。
カメラのバッテリーが切れてしまいましたが、なんとかギリギリ最後まで撮り切ることができました。
柴田佳秀『うち、カラスいるんだけど来る? カラスの生態完全読本』という本を読んでいたら、「行水時間には個体差がある(p101より)」と知って意外でした。
追試したくても、カラスに足環を付けて個体識別しないことには難しそうです。
2019年11月下旬・午後16:25頃
▼前回の記事
川面で羽繕いするオオバン(野鳥)
川面に浮かんで羽繕いを続けるオオバン(Fulica atra)を撮っていると、面白い小競り合いが起こりました。
オオバンの周囲にはオナガガモ♀♂(Anas acuta)の群れが浮かんでいて、その多くはウトウトと寝ています。
オオバンの近くで寝ていたオナガガモ♂が突然目覚めて、オオバンを攻撃しました。
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
その後に等倍速でリプレイ。
本格的な喧嘩にはならず、嘴で一突きしただけでオナガガモ♂はスーッと離れて行きました。
直後に尾羽根を左右に激しく振るのは、小競り合いの気まずさを和らげる転移行動なのかな?
オオバンにとっては日常茶飯事なのか、さほど気にせずに川面で羽繕いしながら遊泳を続けています。
しばらくすると、別個体のオナガガモ♂が再び羽繕い中のオオバンを嘴で攻撃しました。
攻撃するのはオナガガモの♂だけで、♀は攻撃しませんでした。
冬になって繁殖期が始まると交尾相手のオナガガモ♀をめぐってオナガガモ♂同士の争いが始まりますから、気性の荒さ(攻撃性)には性差があるのかもしれません。
オナガガモの大群に真っ黒なオオバンが1羽だけ混じっていて虐められている様子は、童話『みにくいアヒルの子』を連想しました。
体格はオオバンよりオナガガモの方が少し大きいようです。
そのためかオオバンは一度もオナガガモ♂に反撃しませんでした。
威嚇されたオオバンが直後に川面から急に背伸び(身震い)しながら羽ばたいたのも、転移行動なのかな?(@1:55)
周囲に威嚇する意味もありそうです。
実際に、近くで寝ていたオナガガモ♂がビクッと驚いて離れて行きました。
川面を前進するオオバンが、進路の左前方で寝ているオナガガモ♂の尾羽根の辺りを嘴でつつく素振りをしました。(@1:24)
実際に攻撃した訳ではありませんが、それだけでオナガガモ♂は離れて行きました。
「どいてどいて」「ちょっと通りますよ」と牽制する意味合いなのでしょう。
日本人も他人の前を通り過ぎる際は、礼儀として片手で手刀を切る仕草をしながら歩きますね。
首を曲げ嘴を体の羽毛に差し込んで寝ているように見えても、オナガガモはときどき薄目を開けて周囲を常に警戒しているようです。
異種の水鳥が混群として集まりながらも互いに適切なソーシャル・ディスタンス(パーソナルスペース)を保つ様子が垣間見れて興味深く思いました。
それでも野生の水鳥の間で鳥インフルエンザなどの感染症が蔓延していますから、群れは過密状態なのでしょう。
水禽類の腸管で増殖し、鳥間では(水中の)糞を媒介に感染する。水禽類では感染しても宿主は発症しない。(wikipedia:鳥インフルエンザより引用)
つづく→川に出入りし岸で脱糞するオオバン(野鳥)