2020/03/01

イヌコウジュの花蜜を吸い飛び立つツバメシジミ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2019年9月下旬・午前11:30頃

河川敷に咲いたイヌコウジュの群落でツバメシジミ♀(Everes argiades hellotia)が訪花していました。
翅を半開きのまま吸蜜しています。

翅が擦れていて、♀の特徴である後翅表の橙斑が不明瞭な個体です。
左前翅翅頂が破損しており、右後翅の尾状突起も失われています。
触角を模した尾状突起が左右非対称になったせいか、この個体は自己擬態のための翅を擦り合わせる運動をしませんでした。

日光浴してるのかな?

吸蜜シーンをもっとじっくり撮りたかったのですが、すぐに飛び立ってしまいました。
逆風に立ち向かいながらイヌコウジュの群落を飛び回ります。
隣接するマメ科植物?やイネ科の葉に着陸すると、翅を広げた姿勢で小休止。
ときどき横風で翅が煽られています。

葉から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:53〜)
その後はしばらく待ってもイヌコウジュに訪花してくれませんでした。


ツバメシジミ♀@イヌコウジュ訪花吸蜜
ツバメシジミ♀@?葉
ちなみに、このシソ科植物の名前を私は知りませんでした。
ピッキオ『花のおもしろフィールド図鑑 秋』で調べ、
萼の裂片が尖っている点を決め手によく似たヒメジソを除外しました。(p73より)




イヌコウジュ花
イヌコウジュ花・全景



2020/02/29

巣穴に葉片を運び込むハキリバチ♀の一種【HD動画&ハイスピード動画】



2019年9月下旬・午後14:38〜15:52

川沿いのコンクリート護岸でハキリバチの一種♀の巣穴を偶然見つけました。
西岸の緩斜面の段差に、人工的な穴がほぼ水平に開いています。
コンクリートが固まる前に四角い材木や工具を差し込んだ跡のようです。
長方形の巣口を定規で採寸すると、23.5×19.0 mmでした。
穴の深さは不明です。

借坑性のハキリバチのようで、母蜂♀が巣材の葉片をせっせと搬入していました。
素人目にはツルガハキリバチ♀(Megachile tsurugensis)と似ていると思うのですが、どうでしょう?
どなたか種類を見分けられる方がいらっしゃいましたら、ご教示願います。
動画撮影を優先した結果、同定用の高画質の写真は結局撮り損ねました。
顔の両頬に白い縦班が目立ちます。
採集も出来ませんでした。

素早いハキリバチ♀が巣穴に出入りするのは一瞬の出来事なので、ときどき240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみました。(@0:17〜3:00、0:17〜3:00、4:16〜4:30、5:02〜6:24)
後半では採寸代わりに、1円玉(直径20mm)を巣口の近くに置いて写し込みました。
アルミ硬貨は日光を反射してギラギラ光っているので、蜂にとってはかなり目立つ目印になりそうです。

ハキリバチ♀は卵型に切り抜いた葉片を軽く曲げ、それに跨った状態で飛んで西の方から帰巣しました。
巣穴の奥は暗くて、作っている育房など中の様子は見えません。
巣材を抱えたハキリバチ♀は巣穴の通路に転がっている小石を歩いて乗り越え、奥に消えました。
なぜかトックリバチの泥巣のような構造物も入口付近に見えます。
ハキリバチ♀はしばらく造巣作業してから、穴の奥から空荷で巣口まで歩いて来ます。
巣口から東に飛び出すと、空中ですぐに方向転換(Uターン)し、西へ飛び去りました。

葉片を持たない空荷での帰巣も一度だけ撮れていました。(@x:xx)
全く躊躇わずに入巣したので、別個体の可能性は考えにくいでしょう。
育房作りが一段落して貯食モードに切り替わったのか?と思ったのですが、このアングルではスコパの状態(花粉運搬の有無)が見えません。
その後は再び巣材の葉片を搬入するようになりました。

最後に撮れた出巣では奇妙な飛び方を披露しました。(ハイスピード動画)
いつものように出巣直後にホバリング(停飛)しながら方向転換すると、ゆっくり巣口に近づいてから西へ飛び去りました。
蜂が巣の位置を記憶するためにやる典型的な定位飛行は頭を巣の方に向けたまま扇状にジグザグに飛ぶのですが、それとは明らかに違う軌跡でした。

生憎この日は三脚を持参しなかったので、手持ちカメラで撮影を繰り返しました。
巣材集めに要する時間がどうも不規則なので、ハキリバチ♀が次にいつ帰巣するのか予想できません。
帰巣した後に巣から飛び出すタイミングも予想できません。
集中力を切らさずに蜂を待ち構えるのが大変でした。
炎天下の河原で巣口を見つめたまま動画撮影を長時間続けて疲労困憊しましたが、根性で頑張りました。

三脚があれば簡単に撮れるのですけど、手持ちカメラというだけで過酷なミッションになりました。
他には日傘が欲しいところです。

さて、このハキリバチ♀はどこで巣材を集めてくるのでしょうか?
ちなみに先月、今回とは別の川岸でクズハキリバチ♀の巣材集めを観察しましたが、営巣地は突き止められませんでした。

▼関連記事(8月上旬の撮影)
葛の葉を切り取るクズハキリバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】
出巣した蜂の飛んで行った方角の土手に蔓延るクズ群落を調べてみたものの、葉に切り抜いた跡は残っていませんでした。
更に遠くの堤防にはニセアカシアの大木が立っています。
もしかするとニセアカシアの葉をくり抜いてきているのかもしれませんが、確かめていません。
(私の目の届かない高い枝で巣材集めしているとすると、撮影はお手上げです。)

この♀個体は、夕方近くまで造巣活動していて意外でした。
西の山に日が落ちて薄暗くなると、ハキリバチ♀は巣に戻って来なくなりました。
夜を過ごす(寝る)ねぐらは、巣とは別の場所にあるのでしょう。

ハキリバチ♀は葉片で育房を幾つか作った後、巣口の閉鎖はどうするのでしょうか?
泥を集めてきて巣口を塞ぐのか、それとも開放状態のままなのかな?


ハキリバチの営巣活動を観察したいと長年思いつつ、どうしてもフィールドで巣が見つかりませんでした。
なぜか今季は続けざまにハキリバチの巣材集めや巣への出入りを観察できて、悲願を達成しました。
大きな前進です。

参考:『完訳 ファーブル昆虫記』第4巻・上・第7章「ハキリバチ/融通のきかない巣造りと臨機応変の材料選び」
↑昆虫記でハキリバチを扱った章はこれしか無いのが意外です。
ファーブルは狩蜂の研究が面白すぎて、ハキリバチまであまり手が回らなかったのでしょう。



つづく→葉片を巣に持ち帰る度に迷子になるハキリバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】


ハキリバチsp♀+巣材葉片@帰巣
ハキリバチsp♀@帰巣+巣材搬入
ハキリバチsp巣口@コンクリート護岸+scale
ハキリバチsp巣口@コンクリート護岸+scale
ハキリバチsp巣口@コンクリート護岸・全景
ハキリバチsp営巣地@コンクリート護岸・全景

アカザカズラの花を舐めるナミハナアブ♀



2019年9月下旬・午後15:45

民家のブロック塀に垂れ下がって咲いたアカザカズラ(別名オカワカメ)の花穂でナミハナアブ♀(Eristalis tenax)が訪花していました。
頻りに口吻を伸縮して花粉や花蜜を舐めています。
顔の黒色中条が幅広いのが本種の特徴です。(図鑑『札幌の昆虫』p212より)


道を車が通りかかったら警戒してナミハナアブ♀は飛び去ってしまいました。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。


ナミハナアブ♀:背面@オカワカメ訪花吸蜜
ナミハナアブ♀:側面@オカワカメ訪花吸蜜

ランダムに記事を読む