2014/11/22

ミズナラの樹液を吸いつつ翅紋を誇示するハネフリバエ科Pseudotephritis millepunctata



2014年8月上旬

里山の雑木林で樹液が滲むミズナラの幹に小さなハエが集まっていました。
特徴的な斑紋をもつ翅を動かしながら樹液を舐めています
左右の翅を同時に根元からぐるぐる回し続けています。
これは捕食者を幻惑するための行動なのですかね?
異性にアピールする求愛誇示なのかな?
ただし、この樹液酒場で交尾行動は見ていません。
腹端に黒く細長い筒のようなヘラのような産卵管を持つのが明らかに♀でしょう。
(樹液によく来るのはショウジョウバエ科ですけど、このような産卵管の形状はミバエ科ですかね?)
一方、腹端に産卵管が無い♂と思われる個体も腹部が膨満している体形です。
同種の♂♀なのか、それとも別種なのか、私には分かりません。
樹液酒場では他の昆虫よりも力関係の序列が低いようで、忙しなく動き回っています。



撮影後にこの日は1匹だけ採集して帰りました。
(後で思うと、♀♂ペアで採集すべきでした。)
以下は標本写真。



いつもお世話になっている「一寸のハエにも五分の大和魂・改」掲示板に投稿して質問したところ、まずアノニモミイアさんより以下の回答を頂きました。
ハネフリバエ科UlidiidaeのOtitinae亜科の1種ではないでしょうか(Otitidaeは現在Ulidiidaeの亜科として扱われています)。
Die Fliegenの翅の図版だけで絵合わせをすれば,Myennis millepunctata Hennig, 1939 にほとんど完全に一致しています。
本種は1927年6月15日にStackelbergによってUssuriのSutschanのSt. Sizaで採集された1雌によって新種として記載されたものです(Die Fliegen, Otitidae, p. 73, Taf. V, Fig. 60)。お尋ねのハエがこの種に一致するかどうかは,写真では原記載と照合できない形質が多々ありますので,わかりません。
本種はThe key to the insects of Russian Far East, Vol.6, part 2, p. 160では,Pseudotephritis属に移され,分布はアムール地方が含まれています。また,ussurica N. Krivosheina et M. Krivosheinaがこの種のシノニムとされています。この種,ussuricaはEnt. Oboz.1997の671-678のRevision of the Palaearctic species of the genus Pseudotephritis(原題はロシア語)で記載されたものでしょう。属が移されたので,学名はPseudotephritis millepunctata (Hennig, 1939)になるでしょう。
日本昆虫目録第8巻双翅目では本亜科には,Ceroxys sp.,Melieria crassipennis (Fabricius)の2種が掲載されています。後者の斑紋はDie Fliegenで見る限りあなたのハエとは翅の斑紋が一致していません。他にもHerina属の種が日本にいますが,これとは異なります。


次に茨城@市毛さんからも次のようにご教示頂きました。
Pseudotephritis millepunctataについては,"Han, Ho-Yeon. 2013. A Checklist of the Families Lonchaeidae, Pallopteridae, Platystomatidae, and Ulidiidae (Insecta: Diptera: Tephritoidea) in Korea with Notes on 12 Species New to Korea. Anim. Syst. Evol. Divers. 29(1):56-69"に生態写真が載っています.
同氏の説明では,"This species is clearly distinguishable from any other species of Ulidiidae by the numerous dark dots on its body."と記されており,しぐまさんの写真にも同様な暗色斑が多数あります.
"A Checklist of the Families Lonchaeidae, Pallopteridae"で検索すると,ネットでPDFが見られます.
ハネフリバエ科というのは本当に初耳でした。
まさに名は体(行動)を表すのですね。
この翅の動きにはどんな意味があるのか、とても興味があります。


【追記】
同じミズナラ樹液酒場で8月中旬、同種♂も採集しました。
以下は♂標本写真。
腹端の形状が♀と異なります。

『日本動物大百科9昆虫II』p106によると、
双翅類(ハエ目)♀の生殖器節は産卵管と称されるが、これは腹節そのものの変形であり、直翅類などの産卵管とはまったく起源を異にしている。




♂右翅脈

♂左翅脈



♂腹背



真夏に日光浴するヒオドシチョウ



2014年8月中旬

山道の脇のちょっとした崖でヒオドシチョウNymphalis xanthomelas japonica)が止まっていました。
翅を開閉しつつ日光浴していました。
全開にするとさすがに暑いのでしょう。
口吻は伸ばしていないので、土を舐めている(ミネラル摂取)のではないと思います。
最後はようやく飛んでくれました。

本種は年一回、初夏の6月頃に羽化した成虫が夏眠し、そのまま越冬するという生活史を送ります。
そのため真夏のこの時期に成虫を見かけるのは珍しく、記憶にありません。
現場は避暑地というほど高山ではなく、身近な里山です。
実はこの直前にもう一頭見かけましたが、林縁に逃げられ撮り損ねました。



2014/11/21

夕方にミズナラの樹液を吸うオオウスベニトガリメイガ?(蛾)



2014年8月中旬

夕暮れの雑木林で(日の入り間近の18:19 pm)ミズナラの幹に止まったピンク色のミクロ蛾(小蛾)が口吻を伸ばして樹液を吸汁していました。
かなり薄暗いので動画の画質が粗いです。
補助照明を点灯すべきでしたね…。

ライトで照らしたらすぐに逃げてしまうかどうかの予測がつきませんでした。

採寸したり採集したりする前に飛んで逃げられました。
大きさの比較としてハエ(種名不詳)とのツーショット写真を載せておきます。
メイガ科シマメイガ亜科だろうと予想をつけて調べてみたのですが、どうにも似た蛾像を見つけられませんでした。
フタスジシマメイガにしては外側の白条の位置が違います。

いつもお世話になっている「新・蛾像掲示板 」に問い合わせたところ、ATSさんから以下のようにご教示頂きました。
シマメイガ亜科Endotricha属ですが、斑紋変異がある種が多いので外見での同定が難しいですね。恐らくオオウスベニトガリメイガEndotricha icelusalisではないかと思います。



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