2012年4月上旬・小雨
道端の田んぼが未だ雪で埋もれています。
雪原でキジ♂が縄張り宣言の鳴き声を繰り返し発していました。
なぜか鳴くだけで「母衣打ち」行動は伴いませんでした。
キジ♂は雪原を鳴きながら歩き、小高いお立ち台に登りました。※
実は車道を挟んで右側の遠くにもう一羽のキジ♂が居て、互いに張り合うように鳴き交わしているのです。
映像には含まれていませんが、目視で数百m離れた位置にいるのを確認しています。
少し接近してから撮影を再開すると、キジ♂は鳴きながらマウンドを回り込んで茂みの陰に隠れました。
ここを塒(ねぐら)とするのだろうか?
私を警戒しただけかな?
遠くで鳴くライバル♂の声も聞こえています。
車道の交通量が多く騒音でかき消されてしまうのが残念。
※『森の野鳥観察図鑑:鳥のおもしろ私生活』p82によると、キジは
春になると、♂は草地を中心とした直径400m程度のなわばりをもち、小高い土の上のようなところでその宣言をする。
タケカレハの飼育記録
2012年3月下旬・室温19℃
雨の日の夕方にふと気づくと、室内に置いていたタケカレハ(Euthrix albomaculata directa)の繭から成虫が羽化しかけていました!
羽化の前兆は全く分かりませんでした。
繭の上部の絹糸を溶かし押し広げて羽脱する様子を観察できず残念無念。
『繭ハンドブック』p38によると、タケカレハ繭上部正面にある成虫の出口は予め袋を縛ったようになっているらしい。
繭の横にある枯れたクマザサに掴まり上向きに静止しています。
未だ翅が縮んでいたので、慌てて微速度撮影の準備に取りかかりました。
翅が伸びる様子は意外に早く進行するため、インターバル撮影ではなく、通常通り動画撮影した映像を編集で早回しにしました(冒頭だけ5倍速、カメラを固定してからは15倍速)。
触角の形状からタケカレハ♀と判明(♂の触角は羽毛状)。
触角が微かに動くほか、下唇鬚?が開閉しています。
口吻は完全に退化しているようです。
自ら動いて側面を見せてくれました。
特徴的な白点や白線で彩られた翅表とは異なり、翅裏は全面褐色で地味。
翅を広げて少し登りました。
翅は三角屋根の状態で静止。
翅表の大きな白点は鱗粉というよりも毛束が表面から盛り上がっている気がします。
タケカレハやイラガのように厚ぼったいものは、鱗粉が斜めに立ち上がり、重なりあってチョウの数倍の密度になっている。(『日本動物大百科9昆虫II』p24より)
触角は翅に沿って垂らしています。
やがて体を数回左右に揺すりました。
脚のクチクラが固まったかどうかの確認だろうか。
いつの間にか触角は翅の下にたくしこんでいます。
翅を立てた状態から再び三角屋根の姿勢に戻すシーンは撮り損ねてしまいました。
この個体は3月上旬に営繭してから27日後、ほぼ4週間で変態が完了したことになります。
繭の中でときどき蛹がゴソゴソ動き回っていたのですが、これも予測不能の行動で動画に撮れませんでした。
翅が伸び切ってから暫くの間、不要になった体液(羽化液)を排泄する瞬間を撮ろうと待ち構えていたのですが、この日は空振りに終わりました。
成虫♀はこのままの姿勢でおとなしく静止し続け、排便したのはなんと2日後でした。
こんな便秘の個体は私の鱗翅目(蝶・蛾)の飼育経験でも初めての例でした。
室内が乾燥していたからだろうか。
(つづく→「羽化後の初飛行」)
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繭の内側に植え込まれた黒い毒毛 |
2012年4月上旬
未だ雪が残る里山の林道を下っていると、野鳥の鳴き声がします。
見上げると、見たことのない鳥の群れが落葉樹の梢で採食中でした。
なんとなく山桜の木のような気がします(当てずっぽう)。
鳥は頭部が黒くずんぐりした体型。
ときどき枝から枝へ飛び移りながら冬芽を採食しています。
春も近いので花芽と言った方が良いのかな?
鳴きながら太く短い嘴で啄み器用に芽を剥いています。
帰ってから調べてみるとウソ♀(Pyrrhula pyrrhula)と判明。
曇り空の逆光で映像も写真も暗いため鳥の羽の色が不鮮明で、図鑑との絵合わせに難儀しました。
※ 映像は編集時に少し色調を補正してあります。
野鳥の掲示板でもウソ♀と確認してもらいました。
ウソを撮れたのは初めて♪
なぜか今回は♀(または若鳥)ばかりの群れで、♂の姿は嘘発見器でも見つけられませんでした。
嘘のような本当の話。