2011/01/04
ホオナガスズメバチ女王の抱卵
2010年5月上旬
ホオナガスズメバチの一種の女王は巣に居る間、ときどき見回りしたり姿勢を変えるものの、ほとんどの時間は抱卵姿勢(カーリング行動)で卵を温めて過ごしていました。
初期巣の卵を積極的に温めて発生を早めたり保温のための外被を作ったりする点がスズメバチのアシナガバチとは決定的に違うところです。
昆虫は一般に変温動物と思われがちですが、抱卵する女王蜂は胸部の飛翔筋を活発に収縮させて(羽そのものは動かさず)発熱しているそうです。
激しく呼吸する腹部の収縮が見えます。
(つづく)
≪参考≫
『熱血昆虫記:虫たちの生き残り戦略』 どうぶつ社
『スズメバチはなぜ刺すか』 北海道大学図書刊行会 p192
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抱卵
ホオナガスズメバチ創設女王の外被建設
2010年5月上旬
山地の軒下で白っぽいスズメバチの巣を発見。
未だ小さい初期巣の外被を作っている女王蜂は一見するとクロスズメバチに似ているが、地中営巣性のクロスズメバチが軒下に巣作りするはずはありません。
ホオナガスズメバチの一種(シロオビホオナガスズメバチまたはニッポンホオナガスズメバチ)だろう。
顔の正面にある頭楯の模様で区別するらしいのだが、採集しない限り顔写真のアップを撮るのは難しそう。
外被が未完成なので巣盤が剥き出しです(育房数8室)。
スズメバチ類(Vespa属)やクロスズメバチ類(Vespula属)が朽木の木質部や生きた樹皮から齧り撮ったチップを唾液と混ぜたパルプを巣材とするのとは異なり、ホオナガスズメバチの仲間(Dolichovespula属)の巣は植物の茎や葉の表面に生えている繊維や繊維質を含んだ材を原料としている点でアシナガバチの巣と同様、和紙そっくりです(wikipediaより引用)。
高所にあるので巣の大きさを直接測ることは無理ですが、土台(営巣基質)となる梁の角材の幅は35ミリ。
建設中の初期巣の隣に、スズメバチの大きな古巣を撤去した痕が残っています。
(つづく)
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造巣
2011/01/03
ベッコウバエの交尾・求愛行動
2010年10月下旬
とある杉林でいつもチェックしているタヌキの溜糞ポイントがあります。
この日は珍しく新鮮な糞が残されていました。
ベッコウバエ(Neuroctena formosa)が御馳走の山に何匹も集まっています。
獣糞上で交尾中のペアがいます。
雌雄の体格はさほど違わないようです。
♂に乗られた♀の口吻を見ると糞を舐めておらず、珍しく情事に集中しているようです。
交尾器の結合状態は残念ながら薄暗くてよく見えませんでした。
♂はマウンティングしているだけの交尾後ガード行動かもしれません。
翅は閉じていても平均棍がぴくぴく動いています。
カップルのすぐ横で独り者のハエが糞上をあちこち徘徊しています。
一匹の♀に二匹の♂がしがみ付き、必死に♀の争奪戦をしています。
♂が小刻みに翅を震わせているのは求愛行動なのだろうか。
更にもう一匹の♂が飛びつくも、すぐに諦めて去りました。
撮影中に私が少し動くとハエは殆ど逃げてしまいました。
戻ってきた一匹のハエを遠くから望遠で撮り始めたら、急に別の♂が飛びついて来ました。
私は外見でベッコウバエの性別を見分けられないのですが、このペアは直ちに別れたので♂同士だったのかもしれません(うっかり誤認求愛?)。
あるいは♀が交尾拒否したのだろうか。
気温12℃。
≪追記≫
いわゆる並ベッコウバエにしては黄色っぽい気がするのですが、近縁の別種なのだろうか?
(キイロベッコウバエという蝿がいるらしいので気になりますが情報不足。)
同定してもらうため採集すればよかったかも。
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