2025/02/17

雪解けが進む早春のニホンアナグマ営巣地に繰り返し単独で現れるホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬〜下旬

シーン0:3/11・午後13:46・晴れ・気温(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
残雪が消えつつある平地の二次林で、ニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで見張っています。 

近所のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で登場したシーンをまとめました。 
 個体識別できていないので、計何頭のタヌキが出没しているのか不明です。 


シーン1:3/12・午前3:52・気温-2℃(@0:04〜) 
未明に林縁の残雪をタヌキが右から左へトボトボと歩いて横切りました。 


シーン2:3/14・午前4:17・気温-4℃(@0:16〜) 
気温が低いせいか監視カメラの起動が遅れがちで、タヌキがどこから来たのか不明です。 
アナグマの巣口Lの匂いを通りすがりに軽く嗅いで行きました。 
左へ立ち去りかけると、その動きでようやく対面の監視カメラが起動しました。


シーン3:3/14・午前4:16・気温-5℃(@0:27〜) 
別アングルで設置したもう1台の監視カメラに続きが記録されていました。 
右に立ち去るタヌキの尻尾だけ画面の右端にチラッと写りました。 


シーン4:3/15・午後16:19・晴れ・気温16℃(@0:34〜) 
日中に晴れると、林床の雪解けがさらに進行します。 


シーン5:3/15・午後20:14・降雪・気温13℃(@0:38〜) 
気温が暖かい晩ですが、強風が吹いて小雪も降っています。 
単独行動のタヌキが右からのそのそと登場しました。 
立ち止まってアナグマの巣口Lで立ち止まり、中を見下ろして匂いを嗅ぐと左へ向かいます。 
タヌキの毛並みが早春の強風(春一番?)に煽られて激しくなびいています。


シーン6:3/15・午後21:28・降雪・気温8℃(@0:38〜) 
獣道を右から左へ横切りました。 
小雪がちらついています。 


シーン7:3/20・午後21:01・降雪・気温0℃(@1:44〜) 
5日後の雪が降る晩に、タヌキが独りで奥の林縁からセットに来て手前に回り込み、アナグマの巣口Rの匂いを念入りに嗅いでから右へ向かいます。 


シーン8:3/21・午後19:08・気温-2℃(@2:25〜) 
翌日の晩にタヌキの登場で監視カメラが起動すると、林床はうっすらと雪で覆われていました。 
アナグマの巣口Rの匂いを少し嗅いでから右に向かいます。 


シーン9:3/21・午後19:26・気温-2℃(@2:36〜) 
18分後に、別個体らしきタヌキが奥の林縁を足早に左から右へ横切りました。 
巣口Rの横を通り、右下へ向かいます。 


シーン10:3/21・午後19:34・気温0℃(@2:47〜) 
8分後に奥の林縁でタヌキが落葉したミズキの根本に排尿マーキングしたように見えました。 
後脚を上げながら小便したかどうか(♂かどうか)、はっきりしません。 


シーン11:3/23・午前2:11・気温-4℃(@2:56〜) 
2日後の丑三つ時にタヌキの登場で監視カメラが起動すると、林床の雪は完全に溶けていました。 
奥の林縁を左から来たタヌキがアナグマの巣口Rで立ち止まり、右の方を警戒しています。 
なぜか慎重な足取りで右下へ向かいます。 
(※死角で見えませんが、アナグマの死骸の方へ向かっているのかもしれません。) 


シーン12:3/23・午前9:20・くもり・気温2℃(@3:19〜) 
7時間10分後、珍しく明るい午前中にタヌキが登場しました。 
地面の匂いを嗅ぎながらセットをうろつき、巣口Rで立ち止まって周囲を警戒してから巣穴Rの中に潜り込みました。 
その後、巣穴Rの外に出るシーンが撮れていないので、一時的な内見ではなく、巣R内で長居したようです。 


シーン13:3/24・午前4:14・濃霧・気温0℃(@3:58〜) 
翌日の未明、濃い夜霧が立ち込める中を1頭のタヌキが林縁を右から左へ。 
アナグマの巣口Lをピョンと跳び超えて左へ向かいました。 


シーン14:3/24・午前4:47・濃霧・気温0℃(@4:11〜) 
約30分後、依然として濃い霧が立ち込める中をタヌキが今度は左から右へ。 
同一個体が戻ってきたのか、それとも別個体なのか、私には見分けがつきません。 
手前に回り込んで巣穴Rに入りました。 
しばらくするとタヌキは頭から巣穴Rの外に出てきて、再び入巣R。 
現場検証できていないのですが、もしかすると巣口Rには実は左右2つの穴が開口していて、タヌキは別の入口に入り直したのかもしれません。 
木の根っこや落枝が巣口Rに散乱していて、入口が分かりにくくなっています。 


シーン15:3/24・午前4:50・濃霧・気温0℃(@4:47〜) 
どうも、タヌキの出巣Rシーンを毎回撮り損ねているような気がします。 
林縁を左から右へうろついてから立ち止まって周囲を警戒。 
巣口Rもちらっと覗き込みました。 
右の死角でアナグマの死骸を見つけたのか、あるいは死骸を食べている先客を警戒したのかな? 

奥の二次林へ入っていったものの、林内で振り返るタヌキの目が白く光って見えます。 


シーン16:3/24・午前6:54・くもり・気温1℃(@5:35〜) 
2時間後の明るい朝にタヌキが来て監視カメラが起動すると、林床のあちこちに再び薄っすらと雪が積もっていました。 

林縁で落葉灌木の匂いを嗅いでから身震いし、そのまま周囲を警戒しながら佇んでいます。 
ゆっくり手前に歩き出したところで、録画時間が終わりました。 


シーン17:3/24・午前7:24・くもり・気温2℃(@6:35〜) 
30分後、タヌキはアナグマの巣口Lに顔を突っ込んで匂いを嗅いでいました。 
そのまま獣道を左へ。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 



【考察】 
前回の♀♂ペア編と今回の単独行動編でお伝えしたように、この時期はタヌキの登場頻度がなぜか急増しました。 
何か異変が起きたようです。 

これ以上隠し切れないので先にネタバレしてしまうと、巣穴の主と思われる1頭のアナグマが営巣地(セット)の近くで死んでいました。(死骸は監視カメラの画角の外で、写っていません。) 

近所のタヌキは、空き巣になったアナグマの営巣地(セット)を早速乗っ取ろうとする意図が一つあるようです。 
数百m離れた休耕地にあるタヌキの営巣地でこの時期に巣穴の一つが疥癬ホンドギツネに乗っ取られたので、タヌキの♀♂ペアは新たな引越し先(営巣地)を探し求めているのかもしれません。

タヌキの意図としてもう一つは、アナグマの死骸が気になって(スカベンジャーの血が騒ぎ)、昼夜を問わずに繰り返しうろついているようです。 
問題なのは、アナグマの正確な死亡日時が分からないことです。 
監視カメラに写ったタヌキの(いつもとは違う)行動と法医昆虫学的な手法から総合的に推理するしかありません。 


子猫を連れて路地裏を歩く親のイエネコ♀が尿スプレーで縄張りをマーキング

 

前回の記事:▶ 庭を探索する3匹の子ネコ 


2023年9月中旬・午後14:10頃・くもり 

民家の庭から逃げた子ネコを追いかけて横の路地裏に回り込むと、白黒模様のイエネコFelis silvestris catus)が歩き去るところでした。 
背側は真っ黒で、下半身は白色の毛並みでした。 
左右非対称の模様が個体識別に使えそうです。 
右後脚が腿まで白く、左側だけ、黒い耳の後ろに白点があります。 

やがて奥の道端で座り込んで待っていた成獣の別個体と合流しました。 
この個体も白黒の模様で、鼻先が黒いです。 子ネコ?に近寄りながら小声で鳴いて挨拶しているようですが、少し遠くて聞き取れません。 
この2頭が親子だとすれば、成獣の個体は母親でしょう。 
イエネコ♂は一般に我が子を認識できず、子ネコの世話をすることはありません。 
腹面に乳首がないかどうか目を凝らしてみても、私には分かりませんでした。 
この時期にはおそらく子ネコも離乳しているはずです。 
母親♀は路上に座って、右首の痒い部位を右後足で掻きました。 

立ち上がると、親子で道端の茂みが気になるようで、見上げたり匂いを嗅ぎ回ったりしています。 
親猫だけが尻尾を高々と上げて、道端に生えた雑草の茂みに対して何度も排尿マーキング(尿スプレー)をしたようです。 
縄張りに尿スプレーをするのは雄猫♂だけだと思い込んでいた私は、辻褄が合わなくなって意外に思いました。 
Perplexity AIに相談してみると、雌猫♀も発情したときなどに尿スプレーをすることがあるのだそうです。 
この時期に見かける子ネコは春から初夏にかけて生まれた可能性が高く、生後少なくとも3〜4ヶ月程度経過していると推測され、既に離乳を完了しているでしょう。 
離乳が済んだ母猫♀は再び発情し、この時期に縄張り内に尿スプレーを始めても不思議ではありません。 

小さい方の白黒ネコは子猫(当歳仔)だと思っていたのですが、私の勘違いかもしれません。 
数分前に見た白黒模様の子猫とは明らかに別個体で、しかも子猫より少し大人に見えます。 
今回の動画で私の解釈は根本的にどこか間違っているのではないかと、自信がありません。

街なかで暮らす野良猫を本格的に観察するのも面白そうですが、大人が本気でフィールドワークすると不審者として通報されそうです。 
小学生ならまだ許されそうなので、子供の自由研究向きのテーマかもしれません。


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2025/02/16

雪が溶けた早春の林床で活動を始めた野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬

シーン0:3/15・午後16:19・晴れ・気温20℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠している営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 
久々に野ネズミ(ノネズミ)が写ったシーンを集めてみました。 

林床のあちこちに残雪がまだあります。 
巣穴の奥に見える常緑の低灌木の群落はヒメアオキです。 


シーン1:3/15・午後19:27・気温14℃(@0:04〜) 
風が強い晩に、右手前から奥のヒメアオキ群落の方へ野ネズミがチョロチョロと走り去りました。 


シーン2:3/15・午後19:43・気温15℃(@0:14〜) 
ヒメアオキの群落内を徘徊しています。 
野ネズミの動きが緩慢なので、5倍速の早送りでお見せします。 
その辺りに野ネズミの巣穴がありそうな気がしてきました。 


シーン3:3/15・午後19:45(@0:29〜) 
ヒメアオキの群落から野ネズミが手前のセットに出てきました。 
アナグマの巣穴Lには立ち寄らずに横を通過。 


シーン4:3/15・午後19:53(@0:46〜) 
ヒメアオキの群落内で野ネズミの白く光る眼が動いています。 
5倍速の早回し映像でお見せします。 


シーン5:3/15・午後19:59・気温7℃(@0:46〜) 
ヒメアオキの茂みを透かして、林床を活動する野ネズミの眼が白く光って見えます。 


シーン6:3/16・午前0:05・気温7℃(@1:26〜) 
日付が変わった深夜にも、奥のヒメアオキ群落から野ネズミが出てきて林床をチョロチョロと走り回っています。 
アナグマの冬眠営巣地には近寄らず方向転換して、左上奥の残雪エリアの方へ向かいました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
この地点で野ネズミが写ったのは実に久しぶりです。(11月上旬以来) 
雪国の積雪期でも野ネズミは冬眠しないで活動しているはずですが、冬には監視カメラにまったく写りませんでした。 
おそらく雪の下にトンネルを掘って暮らしていたと思われます。 
秋の間にドングリやクルミの堅果など大量の食料を拾い集めて貯食し、冬の間はそれを食べて暮らしますから、そもそも危険を冒して外に出る必要がなかったのでしょう。 
根雪がほぼ溶けた早春になってようやく、林床を元気に走り回って餌を探す姿を見せてくれました。 

強風が吹き荒れる(春一番?)夜に探餌徘徊していました。 
激しい風揺れでトレイルカメラが誤作動したのかと思いきや、動画を丹念に見直すと野ネズミが写っていました。 

ヒメアオキの群落周辺に野ネズミの巣穴がありそうなので、現場入りしたときに探してみます。

つづく→

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