2020年1月上旬・午後16:05頃・くもり(日の入り時刻は午後16:36)
川の対岸の土壌が秋の台風による増水で侵食されて(えぐられて)ちょっとした崖のようになっている部分があります。
夕方に様子を見に行くと、3羽のカワウ(Phalacrocorax carbo hanedae)が崖に上陸して休んでいました。
止まり木ではなく地上で休息するカワウの群れを見るのは初めてで、珍しく思いました。
崖の直下にはカルガモ(Anas zonorhyncha)の群れが並んで水面に浮いて寝ています。
動画の冒頭で、別個体のカワウが右の上流から川面を流されて来ると、右岸の仲間を見つつ通り過ぎました。
その後も川面を遊泳するカワウが続々と現れ、川で活動中の個体は計4羽でした。
やがて左の下流から遡上してきたカワウが対岸に付かづくと、崖の下で寝ていた先客のカルガモ3羽を次々と嘴でつついて追い払いました。(@0:40〜)
軽い攻撃でしたが、カワウが「どけどけー!」とばかりにカルガモをあからさまに追い払う行動を初めて見ました。
体格に劣るカルガモはカワウに反撃することなくその場を離れ、場所を明け渡します。
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川岸の止まり木でカワウに遠慮するカルガモ(冬の野鳥)
上陸地点からカルガモを追い払ったカワウが川面から羽ばたいて飛び上がり、かなり急斜面の崖になんとか上陸しました。
このときカワウ同士が個体間距離を保つために牽制して鳴き交わすことはありませんでした。
新参のカワウはすぐに羽繕いを始めたものの、粘土質の崖で向きを変えようとしたら足を滑らせてしまいました(@1:12)
ほとぼりが冷めると、逃げたカルガモが次第に崖の下に戻って来て、水浴する個体もいました。
不安定な足場の崖でカワウはこのまま(樹上ではなく地上で)夜を過ごすのでしょうか?
残念ながら、塒入りまで見届けることができませんでした。
この日の私は身を隠すブラインドを持参してこなかったので、長時間観察してもカワウの自然な振る舞いに影響を与えてしまっていたでしょう(警戒させてしまう)。
実は此岸の河畔林にカワウの集団塒があるのですが、私が撮影のために近づいたら警戒したカワウが逃げ出してしまいました。
しかも秋に襲来した台風19号は河畔林にも爪痕を残していて、塒の落葉樹が数本、倒伏していました。
こうした水害による生息環境の撹乱があっても、野鳥は逞しく生きています。
2019年9月下旬・午後14:00頃・晴れ
河原のコンクリート護岸にキジ三毛の模様のイエネコ(Felis silvestris catus)が寝そべっていました。(横臥)
初めは私が近づいてもなかなか動かないので、猫の死骸なのか?!とギョッとしました。
恐る恐る更に近づくと、ようやく振り返って私を見上げたものの、逃げようとしません。
木陰でもコンクリートが程よく暖められていて、昼寝するには気持ちの良い場所なのでしょう。
この先に用事がある私が仕方がないので猫の横をそっと跨いで通り抜けようとすると※、キジ三毛は面倒臭そうに起き上がりました。
三毛猫は私に道を譲ってくれて、コンクリート護岸を少し歩いてから砂地で座り直しました。
腹這いの体勢で前脚を畳み、香箱座りの姿勢になりました。
日差しを浴びて眠そうです。
こんなに無防備で人馴れしている(ふてぶてしい)ということは、近所で飼われているイエネコなのでしょう。
ネコの姿勢(習性)の一つで、腹部を地に付け、四肢を畳んだ状態を香箱座りという。この姿勢をとることを「香箱を作る」「香箱を組む」という。(wikipediaより引用)
※「猫またぎ」と言うと、「猫が跨ぐ」=「猫が食べずに素通りするほど不味い魚」という全く違う意味になってしまいます。

ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#18
▼前回の記事(時間的な順序は逆になります)
樹上の巣に通うノスリ親鳥(野鳥)
2019年6月上旬・午前8:40〜855、9:51〜9:55・晴れ
ノスリ(Buteo japonicus)の巣が見える場所に夜明け前からブラインドを張って中に潜伏しました。
カメラに対して朝日の逆光がきついアングルなので、まともに撮影できるようになったのは太陽がだいぶ昇ってからでした。
巣を狙って愚直に長撮りした映像から、少しでも気になるシーンを抜粋してみます。
シーン1:(@0:00〜)
冒頭で、1羽が巣内で頭を上下させるのが営巣木の周囲に生い茂った枝葉の隙間からちらっと見えました。
これは親鳥ではなく幼綿羽の雛ではないかと思うのですが、どうでしょうか?
獲物をついばんでいるのかな?
しばらくすると、再び頭を上下させたり辺りをキョロキョロ見渡していました。
シーン2:(@0:30〜)
親鳥がピーェ、ピーェ♪と甲高い声で断続的に鳴くようになりました。
巣内からではなく、どうやら近くの河畔林の樹上で(雛に?)呼びかけている気がします。
それとも縄張り宣言なのかな?
ブラインド内からは視野がかなり限定されるため、親鳥の居場所を突き止められませんでした。
鳴き声が近かったり遠かったりするので、おそらく場所をあちこち変えながら鳴いているようです。
後半になると、巣内で動く雛(?)の活動が全く無くなりました。
昼寝しているのでしょう。
観察している側も退屈で、睡魔との戦いです。
親鳥が巣に飛来して雛に給餌しているのを私が見逃している可能性も高いです。
シーン3:(@2:01〜)
今まで聞いたことのない、短いフィッ♪という謎の鋭い鳴き声が繰り返し聞こえました。
縦笛を吹くのが苦手なヒトの児童が調子っ外れに練習しているような音です。
これもノスリ親鳥が発しているのだとしたら、どういう意味なのか気になります。(警戒声?)【※追記参照。縄張り宣言の囀りと判明】
その間、巣内の雛は動かずにじっとしています。
親鳥ではなくノスリの雛鳥が鳴き方を練習しているのでしょうか?
それとも、もしノスリ以外の野鳥の鳴き声でしたら、どなたか教えてください。
後半は変調するとヒヨドリの鳴き声っぽくなり、自信がなくなってきました。
ちなみに撮影中に野鳥の朝のコーラスが周囲に響き渡り、カッコウ♂、カラス、モズ、キジ♂、カワラヒワ、ヒヨドリなどの鳴き声♪を私でも聞き分けることができました。
シーン4:(@2:58)
在巣の雛?が頭を持ち上げてキョロキョロと動かしました。
巣を隠している枝葉の隙間から辛うじて見える、とても微かな動きでしかありません。
巣の終日監視は集中力を要する割に成果に乏しく、フラストレーションが溜まります。
※ 猛禽類の営巣観察1年目の初心者が難しい条件のフィールドで必死に撮ったので、個人的にはかなり思い入れが強い映像です。
しかし第三者が見ると「ほとんど何も写っていなくて、何のことやらさっぱり分からない」でしょう。
注目ポイントを矢印で示す、など編集の手間をかけるまでもなさそうです。
それでも観察記録に残しておかないと自分でも忘れてしまいますから、動画はブログ限定で公開することにします。
つづく→#19:ノスリの巣を微速度撮影で監視してみる【10倍速映像】(野鳥)
【追記】
『フィールドガイド日本の猛禽類vol.04ノスリ』という素晴らしい本をようやく手に入れました。
未だ拾い読みしか出来ていませんが、ノスリ観察のバイブルになりそうです。
鳴き声に関する解説も詳細で、とても参考になりました。
ノスリはサシバと同様によく鳴く鷹で、最もよく聞かれるのは「ピーエー」や「ピィー」と強く響く声である(鳥との距離によっては「ヒャー」あるいは「ピャー」と聞こえる)。この声は1年を通して成鳥、幼鳥とも飛びながら発することが多く、その意味は鷹や人などの外敵に対する威嚇や興奮である。
繁殖が活発化する2月下旬頃から産卵前にかけて、営巣林内で「フィリ」や「フィ」、「ピー」と聞こえる柔らかい音を複雑に組み合わせたいわば“さえずり”のような声を発する。この声は午前中によく聞かれ、縄張りを主張する“テリトリーコール”と推測される。繁殖期には営巣地周辺の上空を「フィーヨー」とハチクマに似た柔らかい声を出しながら飛ぶことがある。巣上の♀親は卵や雛を抱いたまま「ピー」という1音節の単調な声を断続的に発する(中略)。餌を持って巣に帰る♂親は、営巣林に近づくと「ピキョ」と聞こえる声を発して帰巣を♀親に知らせる。これに対し♀は、抑揚のある「ピィ〜〜〜」という興奮したような高い声を発して♂親から餌を受け取る。
その他、外的に急に接近されたり、攻撃されたりした時には、「ギュ」あるいは「ギュェ」と聞こえる声や、「ギュルルル」あるいは「チュルル」と聞こえる高音の小声を発して逃げることがある。(p3より引用)