2023/08/31

雪山でニホンノウサギの糞粒に産卵するフユユスリカ♀?

 

2023年1月中旬・午後14:10頃・くもり 

スノーシューを履いて雪深い里山を探索していると、林内の雪面にニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)が残した糞粒を見つけました。 
初めて歩く場所ですが、前後にピンクのリボンが目印として木に結び付けられていたので、おそらくスギ植林地の斜面を抜ける林道が雪に埋もれた地点のようです。 
7個の丸い糞粒がポロポロとまとめて排泄された中には、形がやや歪な糞も混じっています。 
雪面に足跡が無いのにアカマツの木の下に糞だけがまとめて残っているということは、明け方など雪面が固く凍結していた時間に排便したのでしょう。 

現場では全く気づかなかったのですが、動画の直前に撮った写真を見直すと、1匹のフユユスリカ♀?が糞粒の表面に腹端を付けて産卵していました。 
私が動画を撮ろうと無遠慮にズカズカと近づいたら、フユユスリカ♀は糞粒から雪面に降りてしまいました。 
翅があるのに気温が低くて飛べないようです。 


雪山で獣糞に産卵するユスリカの一種♀を見つけたのは、これが2例目です。 
獣糞の種類は特に選り好みしないようです。
いよいよ面白くなってきました。
ハエ類などライバルとなる虫は越冬中なのに、寒さに強いユスリカだけが獣糞を独り占めしているようです。
今回も謎のユスリカを採集してないので、しっかり同定できていません。 
雪国の冬(積雪期)に見かけたからと言って、フユユスリカ属の一種とは限らないかもしれません。
次回は気温もしっかり測りたいものです。

雪山登山中に便意を催したら、しばらくは埋めずに放置しておいて、ユスリカが人糞トラップに誘引されるかどうか調べてみるのも面白そうです。

関連記事(11ヶ月後の積雪前に撮影)▶ タヌキの溜め糞にガガンボが産卵?

ユスリカに気づかず、ピントが甘くて残念

2023/08/30

晩冬の雪山でスギ林道を夜に駆ける冬毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年2月上旬および3月上旬

雪深い里山のスギ林道を見張るトレイルカメラの設置アングルを逆向きにしてみました。 
これまでよりも広角で撮れます。 
画面の中央に写っているのが、以前カメラを固定していたスギの木です。 
冬毛のホンドテンMartes melampus melampus)が登場したシーンをまとめました。 

シーン1:2/9・午後21:17・気温-5℃ 
軽く吹雪いている晩に、テンが右から左へ跳ねるように駆け抜けました。 
スギ樹上からの落雪のため、林道の雪面は凸凹しています。 
走行シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:08〜) 


シーン2:3/3・午後18:47・気温-1℃(@0:18〜) 
約1ヶ月後にも、同様にテンが雪道を右から左へ軽快に走って横切りました。 
後半、ちょっとだけ立ち止まって雪面の匂いを嗅ぎました。 
雪面は固く凍結しているようで、テンの足が潜らず、足跡も残りません。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:25〜) 

つづく→

ケカビの生えていない新鮮なタヌキ溜め糞に集まる晩秋のハエ類:ベッコウバエ♂、ハクサンベッコウバエ、キバネクロバエ

 

2022年11月中旬・午後13:15頃・晴れ 

里山のスギ林道で定点観察しているホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場sを見に行くと、大小の糞塊が2個残されていました。 
気温の低い晩秋には、溜め糞に集まるハエ類はめっきり少なくなっていました。 
来ている少数の昆虫も低温のせいで動きが非常に緩慢です。 

古い糞塊には白いケカビが発生しています。 
その上に追加された泥状の新鮮な糞(下痢便)にベッコウバエ♂(Dryomyza formosa)とハクサンベッコウバエNeuroctena analis)が1匹ずつ同じ向きに乗っていました。 
手前の別な小糞塊にはタヌキが食べた果実の種子が未消化のまま大量に含まれていました。 
そちらの小糞塊にキバネクロバエMesembrina resplendens)が1匹で来ていました。(@0:57〜) 

興味深いことに、ケカビの生えた古い糞塊にハエ類は集まっていませんでした。 
これが偶然の事象なのかどうか、今後も注意して見ていくつもりです。 
溜め糞を長期間のインターバル撮影したタイムラプス動画で記録すれば、分かりそうです。
ケカビが生えると獣糞の匂いや味、栄養価も変わるはずですから、ハエ類が来なくなっても不思議ではありません。 
糞の表面にモサモサのケカビが生えると、ハエが物理的に着陸しにくくなるのでしょうか?
その一方で、ケカビの生えた獣糞を好む糞虫もいます。 

関連記事(別地点で同年の秋に撮影)▶ ケカビの生えたタヌキの溜め糞を食べるセンチコガネ 

蓼食う虫も好き好きというか、ニッチの棲み分けが見事です。 
数日経つとケカビは自然に消滅し、溜め糞の生物分解は次の遷移段階へ移ります。 

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