2023/04/17

林縁で虫を捕食するコガラ(野鳥)

 

2022年10月上旬・午後13:45頃・くもり 

私が山間部の峠道を歩いていると、カラ類の混群と遭遇しました。 
道端の法面は雑木の灌木に覆われているのですが、その細い横枝に止まったコガラPoecile montanus)が何か小さな虫を捕食しました。 
慌ててカメラを向けると、コガラは嘴を細い横枝で拭っていました。 
何か虫を食べた直後に汚れた嘴を掃除しているのでしょう。 
綿のような白いワックスが嘴に付着しているので、獲物はワタムシ(アブラムシの仲間)ではないかと想像しましたが、白い蛾の鱗粉かもしれません。 

その後は群れの仲間と鳴き交わしながら、斜面の茂みを下へ下へ移動していきます。 
私を警戒して、最後は下草のアカソ?群落に隠れてしまいました。 
車道の反対側はスギの植林地で、カラ混群の一部はここに居ました。

2023/04/16

右肩に黒点があるニホンカモシカがトレイルカメラの匂いを嗅いでから道端の落枝に眼下腺マーキング

 



2022年10月上旬・午後14:08・気温14℃ 

里山のスギ林道に設置した自動センサーカメラに写った野生ニホンカモシカCapricornis crispus)の記録です。 
里山に暮らす野生哺乳類は夜行性が多いのですが、カモシカは昼も夜も活動しています。 

明るい日中に登場したカモシカがいきなり至近距離で頭部だけ写りました。 
林道脇の法面(画面手前の斜面)を下りて来て林道にたどり着いたところなのか、あるいはカメラの死角になっている林道の右端を通って左から歩いて来たのでしょう。 

フンフン♪という鼻息がしたと思いきや、カモシカが首を伸ばしてカメラに顔を近づけ、頻りに匂いを嗅いでいます。 
くるっと向きを変えて林道を渡ると、道端から突き出たお気に入りのスギ落枝の匂いを嗅いで狩る先端部に顔を擦り付けました。 
眼下腺マーキングが済むと、林道を右に立ち去りました。 

この個体は右肩に目立つ黒点が1つあります。 
角や耳に目立つ特徴は見当たりません。 
同時期に別の場所に設置したトレイルカメラには、右肩よりもやや後方の背中に、やや滲んだ黒班をもつカモシカが写っていました。

関連記事 ▶ 右背に黒斑があるニホンカモシカが道草を食う未明【トレイルカメラ:暗視映像】

この形質が生まれつきの母斑で、しかも親子で遺伝しているとしたら面白いですけど、どうなんでしょう? 
黒班の形成メカニズムはともかく、私としてはカモシカを個体識別できれば御の字です。 



レッドロビンの生垣で樹液を吸いに来たコガタスズメバチ♀

 

2022年10月上旬・午後14:50頃・晴れ 

市街地でベニカナメモチ(=レッドロビン)の生け垣をコガタスズメバチVespa analis insularis)のワーカー♀が飛び回っていました。 
ブーン♪という羽音がかすかに聞こえます。 

赤く色づいた若葉の葉柄に止まったり、剪定した枝の切り口に止まっても、すぐに飛び立ってしまい残念でした。 
樹液の分泌量が少ないのでしょう。 
交通量の多い街なかなのに、思いがけずコガタスズメバチと出会えて嬉しかったです。 

黒いデジカメを近づけてしつこく接写しても、コガタスズメバチ♀に襲われることはありませんでした。 
過去の経験からもこの状況では怖くないと分かっていたので、リラックスして大胆に撮影できました。 
現場でコガタスズメバチだと正しく見分けられたからこそ出来たことで、もしオオスズメバチならもう少し用心が必要です。 (念の為に離れて撮影しましょう。)



コガタスズメバチ♀が居なくなった後にこの生け垣を見て歩くと、マイマイガLymantria dispar japonica)のを見つけました。 
簡略化した粗雑な繭でベニカナメモチの葉に吊り下げられています。 


もしコガタスズメバチのワーカー♀がマイマイガの蛹を見つけたら狩りを行ったでしょうか? 
幼虫のように動かないと獲物として認識できないのかな? 
しかし私は以前、地中で蛹化した蛾を狩るチャイロスズメバチを観察したことがあります。

関連記事(13年前の撮影)▶ チャイロスズメバチの狩りと肉団子作り

固定された蛹は逃げ回ることはできませんが、もし捕食されそうになったら、蛾の蛹も狩蜂を撃退しようと必死で暴れたはずです。

関連記事(8年前の撮影)▶ マイマイガ(蛾)の蛹に触れると暴れる

マイマイガ幼虫は様々な植物を食い荒らすおそるべき害虫ですが、スズメバチやアシナガバチはこれを1匹ずつ丹念に見つけ出して駆除してくれる働きがあります。 

関連記事(7年前の撮影)▶  
マイマイガ(蛾)の幼虫を狩るセグロアシナガバチ♀ 


したがって、なんとなく怖いからという理由でスズメバチやアシナガバチの巣を見つけ次第片っ端から駆除してしまうと、その周辺で害虫の大発生が抑えられなくなります。 

激増した害虫を駆除しようと殺虫剤に頼れば、今度は益虫までとばっちりを食うことになり、生物多様性はさらに貧困になり生態系はますます不安定になります。 
生態系の上位にスズメバチやアシナガバチなど強力な狩蜂がいることは、ヒトが登場する前の太古の昔から確立された当たり前のことです。
自然界の食物連鎖が正常に機能すれば害虫が毎年大発生することはありません。
身の回りにハチがいるなんて1匹たりとも許せない!というのは不寛容な現代人の傲慢な考えで、しっぺ返しを食う羽目になります。
スズメバチの存在も温かい目でなんとか見逃してくれるヒトが少しでも増えて欲しい、というのが私のささやかな願いです。

田舎の古い農家では蔵や家屋の軒下に巨大なスズメバチの巣があったりします。
「危険なスズメバチの巣があんなに大きくなるまで放置するなんてとんでもない!」というのが現代人(都会人)の認識でしょう。
しかし昔はスズメバチが巣を作るとその家は栄える(家内繁盛)という言い伝えがあり、大切に守られていたそうです。
実際にスズメバチ営巣地の周囲では害虫が減り、農作物の収穫が目に見えて増えたのでしょう。
スズメバチの巨大な古巣を丸ごと飾ってある標本を田舎の旅館のロビーなどで見かけますが、子孫繁栄のおめでたい象徴とされていました。
家屋の軒下にあるツバメの巣が大切に守られていたのも同じで、虫を食ってくれる捕食者(益鳥)の役割を昔の人は正しく認識していたことになります。
潔癖症の現代人は糞害を嫌ってツバメの巣を片っ端から叩き落としてしまいます。
ようやく最近ではツバメを守ろうとする優しいヒトが増えてきて、微笑ましいニュースとして毎年取り上げられます。
次はスズメバチやアシナガバチを守る番です。
ことさらヒトが保護しなくても普通に(当たり前のように)共存している世界が理想です。



ランダムに記事を読む