2023/04/07

夜の雑木林で斜面を歩くザトウムシをコウモリが襲う?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月上旬・午前4:13 

雑木林の山腹を自動撮影カメラで監視しています。 
冒頭シーンは明るい昼間に撮った現場の状況です。 
画面の右上隅が泥汚れの付いたカラマツの根元になっています。 

深夜に何かが高速で横切りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると、どうやらコウモリが低く飛来したようです。 
その直前に謎の虫が左の斜面を登っていて、そのすぐ上を掠めるように一瞬遅れてコウモリが飛びました。 
狩りを試みて失敗したのかな? 

後半は斜面を徘徊するザトウムシの一種が写っていました。 
赤い丸で囲んだ位置に注目してください。(@0:29〜) 
細長い歩脚でヒョコヒョコと林床を歩いています。 
ザトウムシは変温動物ですから、本来ならトレイルカメラの前を横切っても起動しないはずです。 
たまたま恒温動物のコウモリが飛来した直後なので、ザトウムシの活動がついでに記録されていました。 

コウモリがザトウムシを狩る決定的瞬間がいつか撮れないかな〜?と密かに期待しているのですけど、コウモリの超音波でザトウムシのような特殊な体型の虫を探知して狩ることができるのでしょうか?

トレイルカメラで撮影するようになって分かったことは、山林のどこに設置してもザトウムシが結構頻繁に写るということです。 
その一方でクモ類は、造網性クモしか写ったことがありません。 
夜の林床は徘徊性クモではなくザトウムシの天下なのでしょうか。 
考えてみると徘徊性クモは視覚に頼って獲物を狩るので、完全な昼行性なのでしょう。
ザトウムシの飼育も一度はやってみたいと思いつつ、余力がなくて先延ばしになっています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 

ヘビの死骸に群がるヨツボシモンシデムシとヤマトマルクビハネカクシ

 

2022年10月上旬・午後14:15頃・くもり 

蛇行しながら山を登る舗装路にヘビの死骸が転がっていました。 
横断中に走ってきた車に轢かれたようで、ペシャンコに潰されて干物のように乾いていました。 
周囲はスギの植林地です。 
頭部が食い千切られているのは猛禽の仕業でしょうか? 

1匹のヨツボシモンシデムシNicrophorus quadripunctatus)がヘビの死骸の傷口に頭を突っ込んで死肉を貪っていました。 
その体表を薄ピンク色の微小なダニが徘徊しています。 
他には微小なアカアリ(種名不詳)もヘビの死骸に来ています。 
私が死骸に近づいたら、集まっていたハエ類はほとんど飛んで逃げてしまったのですが、ニクバエとキンバエの仲間が1匹ずつ戻って来ました。 

死んだヘビの背面を見たかったので死骸を裏返してみると、ゴキブリのような艶のある茶色をした謎の虫が死骸の下から慌てて逃げ出しました。 
よく見るとゴキブリではなく甲虫で、翅の短いハネカクシの仲間でした。 
後で調べてみると、どうやらヤマトマルクビハネカクシTachinus japonicus)という種類のようです。 
飛んで逃げることはなく、路上をしばらく走り回ると、死臭を頼りにロードキルに再び戻って来ました。 
干物のように乾いたヘビの死骸を早速齧り始めました。 

白い腹面を向けて(仰向け)いた死骸を裏返して背面を見ても特徴に乏しく、何という種類のヘビか私には見分けられませんでした。 (どなたか教えてください。) 
鱗が白っぽい薄皮に覆われているのは、死後に路上で急速に乾燥したせいなのか、あるいは脱皮の直前に死んだのかな? 
そのため生前の模様が分かりません。 
薄っすらと縦縞が見えるので、シマヘビですかね?(自信なし) 
全体的に干からびていて、「鮭とば」を連想しました。 

撮影後にヨツボシモンシデムシとヤマトマルクビハネカクシを採集しました。 
以下に標本の写真を掲載する予定です。 
ヨツボシモンシデムシは普通種ですけど、鞘翅の裏面が何色なのかずっと気になっていたので調べてみるつもりです。
▼関連記事(4年前の撮影)  
ヒミズの腐乱死体に飛んで集まるヨツボシモンシデムシ
ヨツボシモンシデムシをヘビの死骸と一緒にお持ち帰りして飼育してみたいところですが、この日はタッパーウェアなどの密閉容器を持ってきてませんでした。

2023/04/06

夜の林道で幼獣を引率してミゾソバを一緒に採食するニホンカモシカ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2022年10月上旬・午後23:00頃 

里山の林道で水溜りのある区間をトレイルカメラで監視していると、深夜にニホンカモシカCapricornis crispus)の親子が通りかかりました。 
ちなみに、冒頭のシーンは数日前の明るい昼間に撮った現場の様子です。 
画面の右に水溜りの泥濘があります。 
林道一面にミゾソバなど湿った土壌を好む下草が覆い尽くしています。 
画面の奥(上)は林道脇の法面(斜面の山側)になっていて、カメラの背後が斜面の谷側です。 

まず初めに、カモシカの成獣が林道を右から現れました。 
水溜りの手前でミゾソバを採食しています。 
半身になってくれたのですが(@0:30〜)、右肩に黒点はありませんでした。 
右から左へ林道をゆっくり移動しながら採食を続けています。 
林道の右端を歩くので、林道脇の法面に生えた雑草もたまに食べています。 

やがて、画面の右端から幼獣が登場します。(@2:34〜) 
親子のペアなので、先行する成獣はおそらく♀だろうと判明しました。 
暗闇でカモシカの母子がつかず離れず採食行動しているのに、コンタクトコールで互いに鳴き交わしていませんでした。 
月明かりがあるのかと思い調べてみると、この日は月齢7.2の半月で、撮影時刻は月が沈んだ後でした。 
つまり、月明りは無かったことになります。 
辺りは鬱蒼とした雑木林の山林ですから、たとえ晴れていたとしても星明りもほとんど届かない闇夜ではないかと思います。 

その後はニホンカモシカの母子が仲良く並んでひたすら採食しています。 
幼獣の体高は、母親の半分ぐらいでした。 
以前、この林道の下草が延々と泥で汚れているのを見つけたのですが、てっきりイノシシが泥浴びをした後に走り回ったからだと思い込んでいました。 
関連記事(1ヶ月前の撮影)▶ ニホンイノシシによる泥汚れ?(2)獣道の下草
ひょっとするとイノシシの仕業ではなくて、体高の低いカモシカ幼獣が母親について林道を歩き回った痕跡かもしれない、と今回の映像で気づきました。 
もしも幼獣の腹の毛が泥水で濡れていれば、下草にも擦れて泥汚れが付きそうです。 

カモシカ幼獣の背中には「ひっつき虫」が大量に付着しています。 
獣道の茂みを通った際に草の実がカモシカの毛皮に付着し、遠くに運ばれて種子散布されるのでしょう。 

採食の合間に幼獣が右後脚の蹄?で右首?(耳?)を掻き、身震いしました。(@4:27〜) 
ヤブ蚊など吸血性の昆虫に刺されて痒かったのでしょう。 

先行する母親が林道を左に立ち去りかけると、後に続く幼獣は眼の前にある母親の尻の匂いを嗅ぎました。(@5:22〜) 
授乳するかと思ったのですが、違いました。
カモシカのおっぱいは後ろ足の間にあり、赤ちゃんカモシカは、お母さんの後ろ足の内側に頬をくっつけるようにしてお乳を飲むのです。(武田修『ロッキーへの手紙』p19より引用)
もう完全に乳離れしているのでしょう。 
暗闇でうっかり母親にぶつかりそうになっただけのようです。
ちなみに、幼獣の頭部にはかなり短い角が生えかけていました。 

親子水入らずの採食シーンを自動撮影カメラの前で長々と披露してくれました。 
カモシカは草食獣有蹄類の中でも採食様式がbrowserに分類され、灌木の葉を主に食べると本には書いてあるのに、この動画では明らかにミゾソバなど草本植物ばかりを食べていました。 
画面の手前(林道の左端)に雑木林の幼木が点々と生えているのですが、その葉をカモシカ親子は全く口にしませんでした。 
少なくともこの時期はミゾソバが美味しい食べ頃(旬)らしく、カモシカは大好物なようです。 
ここは東北地方日本海側の多雪地帯でニホンジカ(採食様式grazer)は進出できませんから、カモシカには餌植物を巡って競合する強力なライバルが居ません。 
したがって、当地のカモシカは選り好みせずに機会があれば木の葉だけでなく草も食べる、ということなのかもしれません。
(grazerのニッチが空いていればカモシカも時にはgrazerのように草を採食する) 

※ 動画編集時に暗い映像は自動色調補正を施して明るく加工しています。 



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