2021/11/12

有毒植物ホツツジの花蜜を吸うイチモンジセセリ

 

2021年8月下旬・午前11:15頃・晴れ 

山道の脇に咲いたホツツジの灌木でイチモンジセセリ♀♂(Parnara guttata)が訪花していました。 
この組み合わせも初見です。 
翅を半開きに開閉しながら吸蜜しています。 

撮影中は気づかなかったのですが、左奥の花に小さな尺取虫(シャクガ科の幼虫)が来ていました。 
ホツツジは有毒植物とされているのに、花弁や葉を食害するのでしょうか? 
やはりホツツジに含まれるグラヤノトキシンは昆虫に対しては毒性が弱いのではないか?という気がしてきます。

【追記】
英語版wikipediaの方にグラヤノトキシンの作用機序および中毒症状について詳しい解説が載っていて、私の疑問の多くが解決しました。
グラヤノトキシンは電位依存性ナトリウムチャンネルのアゴニストとのこと。
イカの巨大神経軸索(神経生理学の古典的な実験材料)を使って薬理学的な実験をしているので、脊椎動物だけでなく無脊椎動物のナトリウムチャンネルにも効き目はあるようです。
送粉者のマルハナバチ類はグラヤノトキシンに対して耐性があるのではないかと考えられているらしい。

Nearly all parts of grayanotoxin-producing rhododendrons contain the molecule, including the stem, leaves, flower, pollen and nectar. 

 

Nectar containing grayanotoxin can kill honeybees, though some seem to have resistance to it and can produce honey from the nectar (see below). According to a team of researchers from the UK and Ireland, worker bumblebees are not harmed and may be preferable as pollinators because they transfer more pollen. Consequently, it may be advantageous for plants to produce grayanotoxin in order to be pollinated by bumblebees.[13]

Mad honey intoxication
Bees that collect pollen and nectar from grayanotoxin-containing plants often produce honey that also contains grayanotoxins.[3][8] This so-called "mad honey" is the most common cause of grayanotoxin poisoning in humans.

ゴマの花で穿孔盗蜜するクロマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月中旬・午後16:20頃・くもり 

ゴマ(胡麻)畑でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が何匹も忙しなく飛び回っていました。 
訪花シーンを注意深く観察すると、次から次へと白い花筒で毎回常に穿孔盗蜜していました。
花筒にまたがると、その根本に外側から口吻を突き刺して(噛み破って?)その穴から吸蜜するのです。 
蜂が飛び去った後の花筒には小さな穴(盗蜜痕)が残ります。(@3:05、3:15など)
花筒の入口から頭を突っ込んでも奥の蜜腺まで舌が届かないのでしょう。 
訪花を繰り返しても雄しべの葯に体が全く触れないので、後脚の花粉籠は空荷です。 
ゴマ農家にとって花から盗蜜するクロマルハナバチは害虫の扱いになります。 
しかし他の農作物では送粉している益虫ですし、簡単には決めつけられません。 

ちょっと面白いなと思ったのは、葉上の落花にクロマルハナバチ♀が誤ってしがみついたシーンです。 (@1:54)
蜂の重みで落花ごと落下しました。 
空中ですぐに体勢を立て直し、次の花へ向かいます。
落花にだまされかけてスルーしたのは(@1:31) 。

あまりにも忙しなく飛び回るので目が回りそうです。
盗蜜シーンおよび花から飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:37〜) 
複数個体を撮影。 
穿孔盗蜜の行動をスローモーションでじっくりご覧ください。 

クロマルハナバチ♀は二次盗蜜者であることの証拠映像も撮れました。 
ゴマ花筒の根本を大顎で食い破るのではなく、既に開いていた穴に黒い口吻を差し込んでいました。(@x:xx) 
ただし、1つの花筒で珍しく時間を掛けていたこともありました。 
身繕いなど休んでいただけかもしれませんが、このときが穿孔中だったのかもしれません。
肝心の口元がしっかり撮れず残念。 

茎の下部にはゴマの実がなっています。 
ゴマは茎の下から上へと順に花が咲いて実がつくようです。 
ゴマに正当訪花して授粉を助ける送粉者はミツバチでした。
関連記事(同日の撮影)▶ ゴマの花で採餌するセイヨウミツバチ♀
ところで、ゴマの葉腋にある黄色い点は何でしょう? 
まさか花外蜜腺? 
なんとなく、盗蜜のための蜜標になっているような気もしました。 


【追記】
小松貴『絶滅危惧の地味な虫たち (ちくま新書)』を読んで驚いたことの一つは、クロマルハナバチが環境省レッドリストの準絶滅危惧に指定されているという事実です。(p183)
山形県ではなんと、絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に指定されていました。(公式のデータベースはこちら
私のフィールドでは平地を中心に平凡な普通種なのですが、恵まれた環境だと知りました。
ネオニコチノイド系の農薬(殺虫剤)の乱用が原因ではないかと個人的には疑っています。

2021/11/11

夜の山道で溜め糞に排便するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年8月下旬・午後19:11・気温15℃

里山の細い尾根道の真ん中にタヌキの溜め糞場cを見つけました。 
真横の茂みにトレイルカメラ(無人センサーカメラ)を仕掛けると、早速その日の晩にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が右からやって来ました。 
起動したトレイルカメラに気づいたようで、カメラ目線で凝視しています。 
風の匂いを嗅いでしばらく警戒しています。 
警戒を解くと、画面中央の溜め糞に近づいて匂いを嗅ぎました。 
再びカメラを少し気にしてから溜め糞を跨ぐとカメラにお尻を向け、軟便(下痢便)をダラダラと排泄しました。 
排泄中は糞で汚れないように尻尾を少し横にずらしています。 

私は未だタヌキの性別を見分けるのに慣れていないのですけど、股間に陰茎が見えないので♀ですかね? 
しかし腹部に乳首は見えませんでした。 

タヌキはイヌ科ですけど、脱糞後はイヌのように地面を足で引っ掻いたり糞に土を掛ける動作はしませんでした。 
そのまま左へ立ち去り、縄張りのパトロールを続けます。 
去り際に道端の灌木の葉の匂いを嗅ぎました。 

トレイルカメラを導入した目的の一つが、タヌキの溜め糞の監視でした。
カメラを設置したその日に念願の排泄シーンがバッチリ撮れてラッキーでした。 
山道で見つけた糞塊を「タヌキの溜め糞」だろうと予想したのが当たったのも嬉しいです。 
本で勉強した通りにフィールドサインを正しく読み解けた!というささやかな自信になります。 
気温の高い夏季は獣糞の生物分解が早く進行し、素人目には溜め糞の鮮度がよく分からなくなってしまいます。 
ようやく暑さが和らいだのか、新鮮な溜め糞を見つけることができました。 

以下の写真は昼間に撮影。 
本格的にタヌキの糞の内容物調査をして食性を推理するのも楽しそうですが、私にはとてもその余力がありません。 
昆虫の破片や植物の種子や、カケスGarrulus glandarius)の青い羽毛が糞に混じっていました。 
昼間この溜め糞に群がっていた様々な昆虫の活動については、記事を改めて報告します。(動画公開予定)
15cm定規を並べる
カケスの羽毛や昆虫の脚の破片などがタヌキの糞に含まれていた。


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