2021/10/29

ムラサキツメクサの花で採餌するトラマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年7月下旬・午前5:15頃・晴れ 

田園地帯の農道沿いに咲いたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の群落でトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が早朝の陽光を浴びながら訪花していました。
関連記事(9年前の撮影)▶ アカツメクサに訪花するトラマルハナバチ♀
トラマルハナバチは長舌種なので、ムラサキツメクサの小花でも穿孔盗蜜する必要はなく、まめに正当訪花しています。 
長い口吻を細長い花筒へ毎回器用に挿入していました。 
吸蜜後に花筒から引き抜くと長い舌がよく見えます。 
後脚の花粉籠に茶色の花粉団子を少量運んでいました。

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:10〜) 
次の花へ飛びながら空中で両足を擦り合わせ身繕いしています。 
複数個体を撮影。 

ちなみに、シロツメクサとムラサキツメクサは似ているようで細かな点で色々と異なります。 
花の作りの違いに応じて送粉者も変わっています。
同じマメ科だけれど、ムラサキツメクサと相性が良いのはマルハナバチの仲間なんだよ。(シロツメクサと異なり:しぐま註)ムラサキツメクサは花粉をもらった花が下を向く性質もないんだよ。(一寸木肇『シロツメクサの花のふしぎ』p37より引用)

2021/10/28

イエネコ♂に自家製の乾燥マタタビを与えてみると…(その1)

2021年7月中旬 

里山の林縁で蔓植物のマタタビを見つけました。 
杉(スギ)高木の高い枝まで巻き付いて育っていました。 
葉は白い斑入りで、枝には虫えい(虫こぶ)もたくさん付いていました。 
この虫こぶは正式にはマタタビミフクレフシと呼ばれ、果実にマタタビミタマバエ(Pseudasphondylia matatabi)が寄生したことで形成されるのだそうです。 
剪定ばさみで枝葉を採集して持ち帰ります。

採取してきた枝葉をハンガーに吊るして5日間、陰干しにしました。 
枯葉に手で触れると、カサカサ、パリパリと乾いた音がします。 
粉末にするのも面倒なので、そのままイエネコFelis silvestris catus)に与えて反応を見てみましょう。 
被験者は去勢された若い雄猫♂(キジトラ猫)です。 
薄暗い廊下で涼んでいた猫に乾燥マタタビをそっと差し出してみました。 
眩しい照明を点灯すると嫌がり、リラックスした自然なマタタビ反応が撮れなくなってしまいます。 
仕方がないので、昼間でも赤外線の暗視カメラで撮影しました。

 

2021年7月中旬 

飼い猫は一応マタタビを気に入ってくれたようですが、予想よりも薄い反応でした。 
キジトラ猫は少し警戒しながらも、乾燥したマタタビの枯れた葉や虫こぶの匂いを頻りに嗅いでいます。 
パリパリに乾いた枯葉の表面をペロペロ舐めました。 
しかし、フレーメン反応は見られませんでした。 
後で調べてみると、猫のマタタビ反応には個体差があるらしく、必ずしも去勢された♂猫は無反応、という訳でもないらしい。
ネコが期待通り(予想通り)の行動を示さないのは、いつものことです。
少し期間を空けてネコが成長してからもう一度改めて乾燥マタタビを与えてみることにします。 
次は乾燥させずに生のマタタビを与えてみたらどうでしょう? 

つづく→ 


【参考サイト】より引用。
・  獣医師が解説|効かない猫も?またたびの効果・危険性・上手な与え方
またたびはフェロモンを感知する器官を刺激して、興奮を起こします。発情期を迎えていないメス猫や性的に未熟な子猫に与えても、あまり反応を示さないことがあるようです。この興奮が性的興奮であるかはわかっていません。避妊や去勢を行った猫はそもそも発情をしなくなるので、またたびへの反応が薄くなる傾向も。 またたびへの反応は個体差もあるようです。人もお酒を飲んで酔っ払う人とそうでない人がいるように、猫の中にはまたたびに全く興味を示さない猫もいるそうです。 安全性を考慮すると、嗅覚と神経系が十分に成長した生後6ヶ月~1才以降から与えるのがよいでしょう。 与える頻度は多くても1週間に2回までにとどめ、連日与えるのは避けてください。
猫が大好きな「またたび」 正しい与え方と注意点
またたびの木には、正常な実と「虫えい果」と呼ばれる実の2種類がなります。猫が好むとされているのは「虫えい果」で、ハエやアブラムシが実に卵を産み付けることで変形したものです。  またたびによる反応は、猫の上あごにあるヤコブソン器官(フェロモンを感知する器官)を、マタタビラクトンやアクチニジンといった、またたび特有の成分が通ることにより引き起こされます。  成分がヤコブソン器官を通ることにより中枢神経が麻痺するため、猫によっては転げ回ったり走り回ったりといった、陶酔したような姿を見せることがあるのです。  中には、酔っ払った状態に似ていることから依存性を心配する飼い主さんもいらっしゃいますが、一時的なもので依存性はほとんどないとされています。  また、「粉末、液体、実、枝」の順で強度が高いとされています。強度によって適量が変わるため、必ず飼い主さんの方で把握してください。



【追記】

余談ですが、佐々木正己『ニホンミツバチ: 北限のApis cerana』という本を読んでいたら、興味深い記述がありました。

マタタビの匂い(ラクトンの1種)に、それが性フェロモンでもないのにクサカゲロウの♂が強く誘引される (p159より引用)

今後、マタタビの周囲で注意して見てみることにします。 

八重桜の樹洞内の巣を夜に守り威嚇するモンスズメバチ♀【暗視映像】

前回の記事:▶ 八重桜の樹洞の上下に入口があるモンスズメバチの巣:門衛と外役ワーカー♀の空中戦

2021年7月下旬・午後22:15頃・外気温27℃ 

前日に見つけたモンスズメバチVespa crabro)のコロニーの様子を翌日の夜に見に来ました。 
赤外線の暗視カメラによる撮影です。 
モンスズメバチは夜行性とよく言われるのですが、営巣木の周囲は静まり返っていました。 
夜に巣に出入りする外役ワーカー♀の活動は全く無く、樹洞上下に2つある巣口を守る門衛の姿を1匹も見かけませんでした。 
この状況は同一のヤエザクラ(八重桜)樹洞に営巣した前年のモンスズメバチのコロニーでも同じでした。 
この辺りの自然環境は、モンスズメバチ♀が夜勤するほど餌(樹液など)が豊富ではないのでしょうか。 
逆に、昼間の採餌活動だけでコロニーの食欲を賄えるだけ豊かなのかもしれません。 
私はモンスズメバチのコロニーで本当に夜行性だった例を未だ1巣しか観察したことがありません。 
そこは自然豊かな山中で、周囲の雑木林には樹液酒場があちこちに開宴してました。
関連記事(7年前の撮影:クヌギ樹洞)▶ モンスズメバチ♀の夜間飛行【暗視映像】
持参した脚立に乗って上から見ると、八重桜の樹洞の上端(伐採した枝の切り口)が自然に朽ちて開いた穴をモンスズメバチが外皮状の皮膜を張って塞いでいることがよく分かりました。 
歪な円形の穴だけ開いたままになっていて、昼間はこれを巣口として蜂が出入りしていたのです。 
スズメバチの巣で巣口が上部にある例は初めてです。 
樹洞内の熱気を逃がす排気口としての機能もあるのかもしれません。 
大雨が降ったら上の巣口を急いで閉鎖するのかな? 
巣口から内部の様子を覗こうとしても、奥は真っ暗で分かりませんでした。 (ファイバースコープ・カメラが必要。) 

脚立を降りて幹を回り込み、下部の大きな洞の様子を調べてみましょう。 
縦に長い開口部の上から外皮状の皮膜で塞ぎつつあります。 
巣口の周囲を塞いでいる外皮状皮膜を部分的に壊したら、モンスズメバチは急いで修復するはずです。 
その様子を微速度撮影で記録するのも面白いかもしれません。 

次はいよいよ樹洞内の巣盤の様子を観察してみましょう。 
赤外線投光器2台を樹洞の底に置いて上を照らしながら、暗視ビデオカメラを樹洞内にそっと差し込みます。 
去年の定点観察で慣れているので、防護服がなくても緊張せずに撮影できます。 
樹洞内部の上端に円形の巣盤が3段重ねて作られていました。 

物陰に頭を突っ込んで寝ている成虫♀個体と覚醒(内役活動)している個体がほぼ半々でした。 
巣盤の外の樹洞壁面(画面の死角)で休んでいる個体も居るようです。 
一番下の小さな巣盤の巣柄に巻き付くような姿勢で複数の成虫♀が寝ています。 
卵の入った育房の天井を成虫が呼吸熱で温めて胚発生を早める抱卵行動と思われます。 
スズメバチの初期巣で創設女王が抱卵するのは以前も観察してきましたが、巣が大きくなると複数のワーカー♀が抱卵するのですね。 
どれが創設女王か見分けられませんでした。

巣をじっくり観察する暇もなく、1匹のモンスズメバチ♀がブーン♪と低い羽音を立ててカメラに飛び降りてきたので焦りました。 
慌てて撮影を中断し、カメラを取り出しました。 
幸いカメラを持った手を刺されることもなく、蜂が樹洞の外に飛び出してくることもありませんでした。 
モンスズメバチに赤外線は見えてないはずですから、おそらく侵入者の気配を感じて威嚇しただけでしょう。 
私が樹洞の外側を先に撮影したので、その物音で在巣のモンスズメバチが警戒してしまったようです。 
樹洞内の巣の撮影を先にやるべきでした。 
肝を冷やしたので、この日はこれで帰ります。 
なんとか無事だったものの、油断大敵です。 

ちなみに、樹洞の外の枝の樹皮の隙間にゴキブリが潜んでいて、長い触角が揺れています。(@0:06 〜 0:09) 
おそらくヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)だと思われます。 

※ 蜂の羽音が聞こえるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
映像も明るくするために正規化した後にモノクロ加工しています。 



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