2021/08/25

夜の池で息継ぎのため定期的に水面に浮上するアカハライモリ【暗視映像】

 

2021年6月中旬・午後20:30頃 

山中の池Hで夜も観察を続けると、 ヤマアカガエルRana ornativentris)のオタマジャクシ(幼生)の群れに混じって見慣れない小動物が岸辺の浅瀬に潜んで居ました。 
赤外線の暗視カメラで記録してみましょう。 
両生類に疎い私はサンショウウオの仲間かと撮影中は思ったのですが、鰓が見えませんし、どうやらアカハライモリCynops pyrrhogaster)のようです。
昼間でもこの池でイモリを見たことはありませんでした。 

初めはやや遠くてカメラの赤外線が充分に届きません。 
途中から補助照明の赤色灯LEDを点灯してもアカハライモリの目にはあまり見えてないようです。
私がそっと近づいても逃げませんでした。 
(モノクロ映像なので、赤色灯を使用したことが分かりにくいですね。) 
※ 前半部の暗視映像には動画編集時に自動色調補正(equalizor+grayscale)を施しています。

イモリは浅い水底をゆっくり這って、岸の方へ少しずつ近づいて来ます。 
イモリはオタマジャクシを捕食しようと狙っているのかな? 
日本動物大百科5:両生類・爬虫類・軟骨魚類』でアカハライモリの食性について調べると、
おもにミミズ、昆虫、カエルの幼生などの小動物を食べる。(p27より引用)
とのことでした。 
関連記事(9年前の撮影)▶ アカハライモリが菜食?
ところが、岸辺で休んでいたヤマアカガエルの幼生は、イモリの接近に気付くと次々に逃げてしまいます。 
オタマジャクシの体表には側線が発達しているおかげで、周囲の水流の乱れに敏感です。 
すぐ目の前にオタマジャクシが居るのに捕食しないということは、暗闇でイモリは獲物がよく見えてない気がします。 

今回面白かったのは、アカハライモリが急に身を翻して水面に浮上し、急いで息継ぎをしてから再び潜水したことです。 
息継ぎの際に水面に泡が出たのを確認できます。 
この行動をときどき繰り返していました。 
イモリは夜行性というよりも、肺呼吸で息継ぎするために昼も夜も浮上・潜水をひたすら繰り返さないといけないのでしょう。 
スロー再生で見直すと、尾を左右にくねらせて泳ぎ、水面に浮上しました。 
一息で吐いた(排気)直後に空気を一息で吸って(吸気)すぐに潜水しています。 

参考サイト(森の学校):イモリの呼吸法 によれば、
イモリの成体は魚のようにえら呼吸ではなく、肺呼吸と皮膚呼吸で生きています。 だから水中に潜っていても、このように時々水面に上がって来て肺呼吸をしなければなりません。 陸上では皮膚呼吸も行います。
最後はどうしてもイモリの体色を確認したくて、補助照明を白色光に切り替えて撮影してみました。 
すると案の定、イモリは眩しい光を嫌って、池の深い水底へと慌てて潜って逃げてしまいました。 
その後は警戒して、息継ぎのための浮上をしなくなりました。 
アカハライモリの背面は全身地味な焦げ茶色でした。 
腹面の赤い斑紋が見えなかったのは残念です。(捕獲しないと無理?) 
アカハライモリの♂は繁殖期になると美しい色彩(婚姻色)へと変わるらしい。 
いつかイモリを飼育してみるのも楽しそうです。 

ヒヨドリ幼鳥にナツグミ果実と蛾の蛹を巣外給餌する親鳥(野鳥)

前回の記事:▶ 電線上で居眠り・餌乞い♪するヒヨドリ幼鳥(野鳥)

2021年6月中旬・午後17:36〜18:01・くもり 

シーン1: 
巣立ったばかりのヒヨドリHypsipetes amaurotis)幼鳥のために親鳥が運んできた赤い果実はナツグミのようです。 
形状がヒョウタンボク(=キンギンボク)果実のようにも見えたのですが、赤く熟す時期には早過ぎます。 
親鳥が赤い実を嘴で軽く咥えたときに中央部がやや潰れてヒョウタンのように見えただけでしょう。 

周囲の安全を確かめると親鳥は路地を飛んで渡って反対側の電線に移動し、待っていた幼鳥bにようやく餌を与えました。 
巣外給餌の様子をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
続いて等倍速でリプレイ。 
このときよく見ると、幼鳥bは嘴を大きく開けながら翼を細かく震わせる餌乞い行動をしていました。 
私がこれまで見てきた他種の幼鳥に比べて、ヒヨドリ幼鳥による餌乞い行動はささやかで、鳴き声もよく聞き取れませんでした。 
幼鳥bは口移しされたナツグミの赤い熟果を丸呑みにしました。 
幼鳥bをその場に残して親鳥は飛び去りました。 
ヒヨドリ成鳥の食性は主に果実食ですが、雛や幼鳥の時期から果実を与えているのですね。 

ヒヨドリ幼鳥の嘴の前半部が赤いのは、3羽共(個体a,b,c)同じでした。 
 親鳥がよく給餌する赤い実の果汁や獲物の血で嘴が赤く汚れているのかと初めは思ったのですが、そうではなくてヒヨドリ幼鳥の嘴は元々赤い色をしているようです。 
幼鳥は親鳥に給餌してもらったナツグミ熟果を丸飲みにしますから、嘴は赤い果汁で汚れませんでした。 


シーン2:(@1:27〜) 
幼鳥bが止まっている電線に少し離れて親鳥♀♂も休んでいました。 
ただし嘴には何も咥えておらず空荷でした。 
右の親鳥が電線から飛び降りて居なくなりました。 
電線でおとなしく待っている幼鳥bの羽毛が風になびいています。 

シーン3:(@2:19〜) 
近くで親鳥が鋭く鳴く声が聞こえた直後に、幼鳥bの待つ電線に親鳥が飛来して並びました。 
途端に幼鳥は嘴を大きく開けながら翼を小刻みに震わせて餌乞いしました。 
口内は真っ赤でよく目立ちます。 
今度の餌は果実(木の実)ではなく、何か昆虫のようです。 
育ち盛りの幼鳥には果実だけでなくタンパク質の豊富な餌も必要です。
親鳥は栄養のバランスも考えて幼鳥に給餌しているのです。
獲物はやや大きく、素人目にはなんとなく蛾の蛹のように見えました。 

給餌を素早く済ませた親鳥は少し飛んで隣の電線に移動すると、汚れた嘴を足元の電線に擦り付けて拭っています。 
一方、幼鳥は食後に嘴を電線で拭き取る行動を一度もやりませんでした。 

カメラをズームアウトすると、電柱に別個体の親鳥も止まって喧しく鳴いていました。 
嘴に咥えて運んでいる餌は木の実のようです。 
幼鳥bの居る電線に少しずつ近づいて来たものの、虫の蛹を食べたばかりの幼鳥bは満腹状態です。 
木の実を咥えた親鳥は別個体の幼鳥(a?)に給餌するために飛び去りました。 

ヒヨドリ成鳥の性別を見分けられないのが残念です。 
親鳥♀♂による幼鳥への巣外給餌の分担はどうなっているのでしょう? 
完全に共働きなのかな?

それまで電線上のヒヨドリ幼鳥bに親鳥が餌を見せびらかすだけで給餌せず何度も焦らしていたので、てっきり親鳥は幼鳥bを餌で釣って安全な場所に誘導しようとしているのか?と思ったのですが、私の予想は外れました。 

※ 動画編集時に逆光補正を施し、音声は正規化して音量を強制的に上げています。 


2021/08/24

ヒメスズメバチ創設女王が池畔で探餌飛翔

 

2021年6月中旬・午後17:15頃・くもり 

里山の斜面にある2つの池H,Lの周囲を夕方にヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis pulchra)が低空で飛び回っていました。 
大型の個体ですし、この時期は未だ女王の単独営巣期なので、創設女王と思われます。 
てっきり吸水するかと期待したのですが、濡れた岸に着陸しませんでした。
関連記事(3日前の撮影)▶ 池の畔で水を飲むコガタスズメバチ♀創設女王
飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@1:03〜)、ヒメスズメバチ創設女王は地面すれすれに舐めるように低空飛行していました。
営巣地の探索では無さそうです。
獲物の探索で池畔を走査しているのでしょう。 
しかし、飛んだ軌跡(飛跡)を見ると疑問が湧いてきます。
ヒメスズメバチはアシナガバチの巣を襲って蜂の子を狩るスペシャリストとして有名です。 
しかし、こんな水辺でしかも低い位置に好んで営巣するアシナガバチの創設女王がいるとは思えません。 
吸水に来たアシナガバチ♀を見つけたら尾行して巣を突き止める作戦なのでしょうか? 
実はヒメスズメバチ♀がアシナガバチ幼虫/蛹以外の獲物を狩ることもあるのでは?、という気がしてきました。
運良く狩りの瞬間を観察しない限り、その仮説の検証は難しそうです。

最後は山林(灌木林)の方に飛び去りました。

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