2021/05/25

雪山の谷筋で出会ったカケス(冬の野鳥)

 

2021年3月上旬・午後12:20頃・晴れ 

スノーシュー(西洋かんじき)を履いた私が雪山に残るホンドギツネの足跡を辿っていると、カケスGarrulus glandarius)を見つけました。 
谷を挟んで反対側の斜面のスギ(杉)の倒木に止まってキョロキョロ辺りを見回しています。 
ときどき頭部の冠羽を逆立てているのは緊張の現れなのかな? 
やがてスギ倒木から左(沢の上流)に向って少し飛ぶと、落葉灌木(樹種不明)の枝に止まり直しました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
再び飛んで沢の上流へ移動しました。 
沢沿いでも日当たりの良い所は雪解けが進んで部分的に土が露出しています。 

今度は倒木から近くの落葉樹(樹種不明)に巻き付く太い蔓植物(左巻きなのでフジ(藤))に移動しました。 
その蔓に沿ってピョンピョンと上に登って行きました。 
カメラをズームアウトすると、斜面のあちこちに生えた落葉灌木の根元の雪が溶けて土が見えていました。 

実は近くに別個体のカケスがもう1羽居て、逆方向(沢の下流)へ飛び去りました。
残念ながら、そちらは撮り損ねました。 
おそらく♀♂つがいの縄張りなのでしょう。 

カケスと言えば野鳥の中でも警戒心が非常に強く、フィールドで見つけてもカメラを向けただけでジェージェー♪とだみ声の警戒声を発してすぐに逃げてしまいます。 
ブラインドを使って隠し撮りしないと無理なのかと半ば諦めていました。 
カケスをこれだけ近くから長時間撮れたのは珍しく、私も興奮しました。 
今回のカケスは警戒声♪を全く発しなかったのも異例です。 
私が全身着用していた冬用の迷彩服が効果を発揮したのかもしれません。 
もしかすると、この個体は冬に雪山を登りに来る物好きなヒトを見たことがなくて、警戒心が薄かった(好奇心が勝った)のでしょうか?

ハンノキの雄花序から飛散する花粉(風媒花)【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年3月上旬・午前11:10頃・晴れ 

春が近づき、農地を囲む防風林のハンノキに花が咲いていました。 
ハンノキは風媒花なのであまり目立ちませんが、枝先に付いた細長い赤紫色の雄花序に黄色い花粉を吹いています。 
春風に乗ってハンノキの花粉が自然に飛ぶ様子を動画で記録したかったのですが、この日は快晴でほぼ無風でした。 
指先で枝先を軽く叩いて雄花序を揺らすと、春のそよ風に乗って花粉が飛散しました。 
ハンノキの雄花序から花粉が飛散する様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:48〜) 

周囲の農地は未だ残雪に覆われていて、日陰の池には薄氷が張っています。 
早春の林床に咲く草花はスプリングエフェメラルと呼ばれますが、ハンノキの花はそれよりも早くひっそりと咲くのですね。
ハンノキの若葉が芽吹くのはその後です。

田中肇『花と昆虫、不思議なだましあい発見記』という本によると、
風媒花をつける樹木(ハンノキなど)たちが、葉が開くまえに花を咲かせるのは、生き残るための大切な習性である。葉が広がってしまうと、花粉を運ぶ風を弱めるし、せっかく風に乗った花粉が葉についてしまい、受粉の障害物となる。それを避けるために、花は葉が開くまえに咲く。それにしてもハンノキは早い。葉が開くのは開花から二ヶ月も後なのだから。 (p226より引用)

ちなみに、ハンノキの枝先にイラガ(蛾)が羽化した後の空繭を見つけました。 
イラガの幼虫は広食性で、ハンノキの葉も食べることが分かっています。
▼関連記事(5年前の撮影) 
ハンノキで見つけたイラガ(蛾)の幼虫
動画撮影時の私は、ハンノキの雌花について勉強不足でした。 
植物図鑑で調べて雌雄同株と知りました。 
後日(3月中旬)に雪山で撮った雌花の写真を掲載しておきます。
雌花にも目立つ花弁がありません。
 

2021/05/24

ジョウビタキ♀が杭の天辺から飛び立つまで(冬の野鳥)

 

2021年3月上旬・午後14:50頃・くもり 

民家の庭で板塀を支える杭の天辺が腐食防止のトタン板で覆われていて、その上にジョウビタキ♀(Phoenicurus auroreus)が止まっていました。 
尾羽根を細かく上下に震わせながら、辺りをキョロキョロと見回しています。 
暖かそうな羽毛(ダウンジャケット)を膨らませていて、その羽毛が寒風になびいています。 
よく見ると、白いアイリングがありますね。 
♂と違って♀は地味ですが、背面に白い斑紋が目立ちます。 

杭の真下の雪が解けて庭の地面が露出しているのに、ジョウビタキ♀はそこに降りて採食しませんでした。 
地面で虫が動いたら飛び降りて捕食するつもりなのかもしれません(待ち伏せ作戦)。 
あまりにも長時間ジョウビタキ♀が杭の上で休んでいるので、ひょっとして♂が求愛給餌に来るのか?と期待して、私も意地になって長撮りを続けました。 

最後はようやく左に飛び去りました。 
この間、鳴き声は全く聞き取れませんでした。 
飛び立つ瞬間を1/6倍速のスローモーションでリプレイしてみると、フェイントをかけたようにすぐ戻って右下に飛び、杭の下の地面に降り立ったようです。 

ジョウビタキ♀はこの杭(止まり木)が非常にお気に入りらしく、実はこの日の午前から何度も目撃していました。 
この庭を縄張りとしているのでしょう。 
大雪に埋もれた庭の板塀は破損していました。 

『やまがた野鳥図鑑』でジョウビタキについて調べると
 翼にある大きな白斑も特徴だ。枝に止まっている時も飛んでいる時も目立つ。このような模様を「フィールド・マーク」といい、識別に役立つし、仲間同士でも名ならかの意味を持っているようだ。  ジョウビタキは平地から低山の開けた場所で越冬する。しかし虫を主食としているため、積雪の多い地域ではあまり多く見られない。(p159より引用)
確かに今回の撮影現場は平地です。 
ルリビタキと違って、雪の多い里山でジョウビタキを見た記憶はありません。 

フィールドのための野鳥図鑑:野山の鳥』によると、
(ジョウビタキは)低山帯下部や里山、野原、公園などで越冬する。主に日当たりのよい開けた雑木林におり、時には田園にも姿を見せる。(中略)冬は1羽ずつ縄張りをもつ。(p80-81より引用)
「冬は1羽ずつ縄張りをもつ」らしいのですが、この冬は近くで♂も何度か見かけたような気がします。(証拠映像は撮れず) 

※ 動画編集時にコントラストではなく彩度を少し上げました。

 

ランダムに記事を読む

  • ウェブカメラの暗視接写テスト:ネコハエトリ亜成体(蜘蛛)27/03/2011 - 0 Comments
  • イソギクの花を舐め身繕いするシマハナアブ♂【FHD動画&ハイスピード動画】02/04/2021 - 0 Comments
  • ソメイヨシノの熟果を採食するムクドリ(野鳥)27/09/2019 - 0 Comments
  • 雪山をラッセルして登るニホンカモシカ#115/02/2013 - 0 Comments
  • 濃霧の晩に河畔林の溜め糞で排便するホンドタヌキのペア【トレイルカメラ:暗視映像】02/03/2022 - 0 Comments