6日ぶりに定点観察にやって来ました。
いつものように赤外線の暗視カメラを樹洞内にそっと差し込んでいる途中で、珍しく中からブーン♪という重低音の羽音が聞こえたので焦りました。
気温は高くなく、扇風行動もしていませんでした。
巣内を観察すると、モンスズメバチ成虫(計10匹?)の性比に圧倒的な偏りがありました。(♂>>♀)
雄蜂♂の数が増えていて、♀(ワーカーまたは新女王)よりも数で圧倒しています。
前回と比べて巣盤の形状が激変していて、育房が全く見えません。
遂に私が恐れていた事態が起こりました。
昼間にモンスズメバチの巣が誰かに破壊・駆除されてしまい、残党の成虫が巣の残骸に居残っているだけのようです。
難を逃れたワーカー♀が健気にも新たに形成された外皮で巣を修復しようと試みているのでしょうか?
しかし育房内で育つ幼虫が居ないと在巣の成虫は栄養交換できずに飢えてしまうことになります。
駆除されたとしたら、樹洞の底に巣の破片が散乱していたはずですが、迂闊にもこの日の私は気づきませんでした。
私が初めに聞いた謎の羽音も、最近昼間に巣を駆除されたモンスズメバチが樹洞への侵入者に対して敏感になり、警戒の羽音を立てたのかもしれません。
モンスズメバチのワーカー♀が減少したせいで、巣の防衛力が明らかに低下しています。
その結果、樹洞内に居候する多数のヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)が傍若無人に徘徊するようになりました。 モンスズメバチがゴキブリを攻撃したり巣から追い払ったりする行動は皆無でした。
その結果、居候ゴキブリによる巣の食害を抑止できなくなったのでしょうか?
しかし、ゴキブリの口元にカメラをズームインしても巣を食べているかどうか定かではありません。
パリパリ♪という咀嚼音も聞こえませんでした。
樹洞内に隠しカメラを据え付けて微速度撮影(タイムラプス)すれば、モンスズメバチの巣に一体何が起こったか一部始終を記録できたはずです。
ゲジらしき多足類も樹洞内を徘徊していました。(@2:11。巣の外側:4時の位置) モンスズメバチの巣の方へ近づいていたのに、撮影中は気づかず別の場所にズームインしてしまいました。
赤外線カメラのモノクロ映像では巣の破壊状況がよく分からないので、白色光でも撮影しようか迷いました。
しかし、スズメバチ用の防護服を着用していないので自重しました。(安全第一)
白色光の照明で照らした途端に夜行性のゴキブリは散り散りに逃げ出して、撮れなさそうな気がします。
撮影後に赤外線のデジタル温度計で測定すると、
樹洞内壁(巣門)の表面温度は20.8℃。
巣内に残った外皮の表面温度は20.7℃。
営巣木の周囲の外気温は21.0℃、湿度80%。