2019/07/04

川に飛来したカワウが着水(野鳥)



2019年5月上旬

川の上空をカワウPhalacrocorax carbo hanedae)が飛び交っているのですけど、なかなか着水シーンを観察することができません。
飛んでいる個体を流し撮りしても、川に降下して最後は河畔林の陰に消えてしまうのです。
飛びながら強風に流されているカワウも見かけました。

諦めて、倒木での定点観察に切り替えました。
この日は2羽が下流を向いて並んで止まり、羽繕いしたり翼を広げて乾かしたりしていました。
そこへ上流から飛来した別個体が滑空して来ました。
左の翼の羽根(初列または次列の風切羽)が1枚欠損している個体で、個体識別できそうです。
倒木を飛び越えてから着水すると、すぐに漁のために潜水しました。
不思議と欲を出さずに自然体で撮影しているときの方が、念願の着水シーンを初めて撮ることが出来ました。
ここで3羽のカワウを同時に見たのも初めてで、過去最多です。
釣りをしない私には分からないのですが、魚影の濃い川なのでしょうか?

潜水のスペシャリストであるカワウは、飛ぶのが苦手な印象です。
カワウの着陸と言えば、今回の着水シーン以外では、塒入りするときに樹上の枝に着地するシーンを見たことがあるだけで、地面への着陸は未見です。
(なんとなく、カワウは怪我を恐れてやらないんじゃないかな?という気がします)

ちなみに、倒木の周囲の川面では、いつもはカルガモしか居ないのに、この日は珍しくコガモ♀♂(Anas crecca)の群れが泳ぎ回っていました。


カワウ(野鳥)@飛来・滑空+着水:川



マメドクガ(蛾)幼虫は毛束を失っても脱皮で再生する



マメドクガの飼育記録#11


2019年4月下旬〜5月上旬

マメドクガCifuna locuples confusa)の幼虫bを野外で採集してきたときから一部の毛束に欠損がありました。
頭楯の左右両側から前方に真っ直ぐ生えているはずの長くて黒い毛束が、どういう訳か右側だけ根本から無いのです。
原因は不明ですが、前回の脱皮の際に抜け殻から毛束を引き抜くのに失敗して千切れてしまった可能性もありそうです。
終齢幼虫に脱皮した後、下に落ちていた仮面のような頭楯の抜け殻を見ると、亜終齢では毛束が左右非対称であったことが明らかです。
しかし脱皮した終齢幼虫では、毛束が左右対称に回復していました。
再生した右の毛束は、左の毛束と比べても長さに遜色はありません。
右の毛束の先端がやや折れ曲がっているのは、脱皮直後で毛が未だしっかり伸びていないからでしょう。

事故(怪我)や発生の異常(奇形)などで脚や触角など体の一部が失われても、脱皮の際に再生するのは節足動物でよく見られる現象です。
マメドクガ幼虫にとってこの毛束は、アンテナ(触角)代わりに重要な働きをしているのかもしれませんね。
しかし右側の毛束が無くても、徘徊、食餌などの行動にあまり支障は無さそうでした。
もし両方の毛束を切り落としてしまったら、幼虫の探索行動に異常を来すのでしょうか?
天敵のヤドリバエや寄生蜂が産卵を試みても着陸しにくいように、毛虫は体の周囲にバリアのように長い毛を生やしているのかもしれません。
オサムシなどの捕食者に食べられないための防御になっているという説もあります。

ちなみに、脱皮直後にノギスで採寸した幼虫の体長は18mmで、脱皮前からほとんど成長していませんでした。
逆に2mmほど縮んでいました。
しかし食事を再開すると、どんどん成長します。


つづく→#12:桜の花後の子房を食べるマメドクガ(蛾)終齢幼虫


マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b:毛束再生@容器壁面+脱皮直後
マメドクガ(蛾)亜終齢♂b:頭楯の脱皮殻

2019/07/03

ハシブトガラスとハシボソガラスの縄張り争い(野鳥)



2019年5月上旬

神社の境内に植栽されたイロハモミジ(=イロハカエデ)の枝にハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が止まり、念入りに羽繕いしています。
その枝には若葉の新緑と赤い花が美しいコントラストをなしています。

急に飛び立つと、すぐ近くのヒノキの木に止まり直し、大声でカーカー♪と澄んだ声で鳴きました。
そこへ2羽のハシボソガラスCorvus corone)が飛来し、喧嘩が始まりました。
ハシボソガラスは名前の通り嘴が細く、嗄れ声でガーガー♪鳴きます。
どうやら、この辺りを縄張りとするハシボソガラスのつがいが共同でハシブトガラスを追い払ったようです。
縄張り争いに勝ったハシボソガラスがヒノキの枝でガーガー♪と凱歌の声を上げました。



【追記】
中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』という本を読むと、2種類のカラスの関係性について面白いことが書いてありました。

ボソとブトの両種は鳴き声が違うだけでなく、お互いの言葉が通じていないという説もあります。ただ、悲鳴の声(Distress Call)などは種を超えて理解しあっているようにも思います。 (p48より引用) 
大人のボソとブトが仲良くすることはない。 p66より引用)


ハシブトガラス(野鳥)@カエデ枝

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