2013年9月下旬
ニホンザルの死骸を土に還す者たち:#18
猿の死骸が放置された檻の金網をハネカクシの一種(黒タイプ)がどんどん登っています。
後翅が伸びており、今にも飛び立ちそうな予感がします。
慌てて240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。
身繕い(前脚で触角の掃除)をしてからようやく後翅を羽ばたかせて飛び立ちました。
この日の定点観察では死骸の周囲でハネカクシ類が盛んに飛び回る姿を目撃したのですが、色々と目移りしてしまって飛翔シーンの撮影に成功したのは結局この1回きりでした。
関連記事→「猿の死骸に来たハネカクシの仲間(黒)」
つづく→シリーズ#19
2013年8月中旬
平地の街路樹(ヤマボウシ?)に止まっているミンミンゼミ(Hyalessa maculaticollis)です。
細い枝に静止していますが、口吻も産卵管も突き挿していません。
鳴いてくれるかと期待したものの、黙って唐突に飛び去りました。
♀だったのかな?(性別不明)
どうせなら飛び立つ瞬間にオシッコを排泄するかどうか、ハイスピード動画で撮りたかったです。
2013年9月下旬
ニホンザルの死骸を土に還す者たち:#17
フキバッタの一種がニホンザルの死骸Lの毛皮に陣取り、歩き回っています。
右の後脚が根元から欠損している個体です。
頻りに口器を動かしているのでよく見ると、驚いたことに、ときどき死骸の長い毛を口にしていました。
たとえ死んだ獣毛を噛み切ることが出来たとしても、草食性のフキバッタが果たして毛のタンパク質(ケラチン)を消化分解できるのかな?
ミネラル補給のため、毛を舐めているだけかもしれません。
単なる気紛れや暇潰しでモグモグしているだけかもしれませんが、とにかく不思議な摂食行動でした。
本気になって調べたければ、このフキバッタを解剖して消化管の内容物を調べれば答えが判明したと思います。
当時はそこまで思いつきませんでした。
まさかバッタが生物分解に参加するとは思いもよりませんでした。
(もちろん獣毛を分解する主役ではないでしょうけど…。)
ヒトや猿などでは栄養価の無いものを食べる異常行動はストレスによる異食症(食毛症)が疑われますけど、バッタではどうなんでしょう?
このフキバッタは檻に閉じ込められている訳ではありません。
金網の隙間をくぐり抜けて、外の草むらと自由に出入りが可能です。
同時並行で死骸の全身像を微速度撮影した監視映像(連載記事#09、#14)を見直すと、猿の死骸に居座るフキバッタは何度も繰り返し訪れていることが分かりました。
草むらを徘徊中にたまたま檻に迷い込み死骸に遭遇しただけではなく、腐乱臭をものともせず、明らかに何か気に入ることがあって死骸にわざわざ戻って来るようです。
未採集ですが、もしこのフキバッタの性別および正式な種名や、せめて属名だけでも分かる方がいらっしゃいましたら教えて下さい。※
※ YouTubeのコメント欄にてドイツのRüdiger Hartmann氏から貴重な情報をご教示頂きました。
このフキバッタ♀が獣毛を食べているのは間違いない。私(Hartmann氏)の知る限り、フキバッタ亜科は全て似た行動を示す。例えばスイスの山中で捕獲した個体は、すぐに指を齧り始め、皮膚の角質を食べた。また、昆虫や脊椎動物の死骸を肉食する種類もいる。(超訳byしぐま)
どうやら、フキバッタは草食性だという単純な思い込みを改めないといけないようです。
つづく→シリーズ#18
【追記】
フキバッタは草食系の筈ですが、実はゲテモノ食いの個体を見るのは今回が初めてではありません。
- 「木の柱を食害するフキバッタ」
- 中に含まれる未消化の種子が目当てで獣糞に来たフキバッタ(写真↓のみ)