2014年6月上旬
雑草の生い茂った里山の山腹でトラマルハナバチ♀(Bombus diversus diversus)と思われる蜂※が忙しなく飛び回り、オドリコソウの白い花で採餌していました。
後脚の花粉籠は空荷ですが、頭を花の奥に突っ込んで(正当訪花)花蜜を吸っています。
同一個体を追いかけて撮影。
※ トラマルハナバチにしては毛の褐色が薄い気がしますけど、違う種類ですかね?
『昆虫の集まる花ハンドブック』p11によると、オドリコソウは
花の底に蜜があり、笠の下には雄しべ雌しべがある。花の形にピタリと合うのはマルハナバチ類で、蜜を吸うために入り込むと背が雄しべ雌しべに触れ、花粉に白く染まった状態で出てくる。
【個人的な覚書】
Newton special issue『植物の世界 第2号:ナチュラルヒストリーへの招待』p118-120より引用
オオマルハナバチはこの花(=オドリコソウ:しぐま註)を盗蜜者として訪れ、花冠筒部の前部に穴をあける。その際、腹部や背部が花冠の上唇の中に入り雌しべと雄しべの先にふれるのである。その行動は盗蜜に似ているが、実際にはオオマルハナバチはポリネーターの役割を果たすことになる。 オドリコソウの花は、盗蜜者をポリネーターとして利用できるような形態をもつにいたったのであるとも解釈できよう。
▼関連記事(6年後に撮影)
オドリコソウの花で盗蜜するクロマルハナバチ創設女王【HD動画&ハイスピード動画】
2014年6月上旬
里山で別の虫を撮影するためザックを地面に下ろすと、ジャノメチョウの仲間が飛んで来て止まりました。
ヒメジャノメ♂(Mycalesis gotama fulginia)が口吻を伸ばして汗の染み込んだベルトを吸い始めました。
後翅裏面の第3室の眼状紋がそのすぐ前の第4室の紋より小さいのでコジャノメではなくヒメジャノメと判明。
(参考:図鑑『里の蝶 基本50』p70)
翅を閉じて(立てて)止まりますが、ときどき全開にします。
このとき腹端をやや上げるときがあります。
後翅表の前縁に白っぽい毛束(♂の性標)が見えます。
後半はザックベルトの裏面に回り込み、隠れながら吸汁を続けます。
本種は樹液や腐った果実を好むらしいので、しぐま汁に来るのも納得です。
2014年5月下旬
堤防のコンクリート階段でフタモンアシナガバチ(Polistes chinensis antennalis)の初期巣を見つけました。
雨が当たらないようオーバーハングの下面に営巣しています。
ちょうど創設女王が巣盤外側の育房を増築しているところでした。
巣材のパルプ団子を使い切ると、身繕いしてから育房を点検して回ります。
ところで、階段一帯に多数徘徊している微小の赤いダニが気になりました。
女王蜂もこのアカダニに気づいているようですが、特に攻撃したり追い払ったりする行動は示しませんでした。
敵視する相手としては小さ過ぎるのかもしれません。
アシナガバチの巣柄には天敵のアリが忌避する黒いタール状の物質が塗布されていますが、黒光りするアリ避け物質はアカダニに対しても有効なのかな?
手鏡を使わないと、初期巣の育房数や卵の状態を確認できません。
今回は急いでいたこともあり、横着して調べていません。
▼つづく
初期巣に離着陸するフタモンアシナガバチ創設女王【ハイスピード動画】