2012/03/03

シジュウカラ♂の採食行動(イラガの繭は割れず)【冬の野鳥】



2012年2月上旬

大雪が降り積もったケヤキの樹上に一羽のシジュウカラParus minor)を発見。
鳴きながら枝から枝へ忙しなく飛び回り、食べ物を探しています。
枝先に付いたイラガMonema flavescens)の繭を見つけて啄くも割れません。
諦めたと思ったら再挑戦…やはり硬くて非力なシジュウカラでは歯(嘴)が立ちません。
止まっている枝が細過ぎるため、シジュウカラが啄く動作で枝がしなり上手く力が入らないようです。
もしかしたら細い枝先を選んで繭を作るというのがイラガの対野鳥生き残り戦略の一つなのかもしれません。
2年前の観察でも、枝先で越冬するイラガの硬い繭はシジュウカラによる攻撃を耐えました。
関連記事→「イラガの繭を突付くシジュウカラ


しかしイラガ繭も決して無敵ではなく、キツツキ(アカゲラ)が難なく攻略したのを先日見ています。
関連記事→「アカゲラ♀がイラガの繭を砕いて採食【野鳥】
シジュウカラは隣の木に移動しました。
手前の生い茂った枝が邪魔でよく見えませんが、何やらキツツキのように幹を繰り返し啄いています。
小枝に移動し、嘴を擦り付け飛び去りました。
腹部の黒線が太いので♂と分かりました。

【追記】
余談ですが、前蛹で越冬するイラガの耐寒性メカニズムについて『冬尺蛾:厳冬に生きる』p193に興味深い記述がありました。
イラガは、夏の間は体内に栄養がグリコーゲンの形でたくわえられている。そして、気温の低下によってグリセリンに変化してゆく。(中略)越冬中はグリセリン(凍害防御物質)を多量に保持したまま過ごし、翌春を迎えるとともに再びグリセリンはグリコーゲンに変化してゆく。グリセリンの増えた11月には実験的に-200℃前後の極低温にも耐えられる。



2012/03/02

ネコ?の白骨死体

2011年11月下旬


堤防の石段に動物の白骨死体が散乱していました。
ここは結構頻繁に通っていたのに、迂闊にもそれまで見過ごしていたようです。
頭骨に立派な犬歯が見えるので肉食獣だと思います。
考えられるのはタヌキ、イヌ、ネコなどですが‡、どなたか写真鑑定できる方がいらっしゃいましたらご一報下さい。
無臭できれいに白骨化していたので採集することに。
欠損しているパーツも多く、残されていたのは上顎、下顎、背骨、肋骨などのようです。
百円ショップで買ったフィギュアケースに保管・展示しています。

※今日のブログネタは珍しく動画なし。


【追記】
熊谷さとし『フィールドワーカーのための動物おもしろ基礎知識』p180に「日本の里山で見られる動物の歯式表」が掲載されていました。
頭骨の両顎の状態が完全であれば歯式を調べることで絞り込むことが出来そうです。


‡【追記2】
その後、この近くで野生のアナグマとハクビシン、イタチ(またはテン)も目撃しました。


【追記3】
ようやく重い腰を上げて、今回の頭骨標本で歯式を検討してみました。
歯式に不慣れな私は、まず前臼歯と後臼歯の見分け方があやふやでした。
熊谷さとし『フィールドワーカーのための動物おもしろ基礎知識』によると、
頭骨を持って、上下のあごをかる〜く噛み合わせてみる。頬歯きょうしの中に上下の歯が重なるところがあるはずだ。(中略)上あごは重なった歯を含めて犬歯の直後までが前臼歯(P)、下あごは重なった歯を含めて後ろが後臼歯(M)なのだ!ただし、この法則は上下のあごがそろっていなければ使えないし、草食動物の歯だと突然わからなくなる。 (p169より引用)

頬歯とは前臼歯(小臼歯)と後臼歯(大臼歯)を合わせたもので、肉食獣の頬歯は「裂肉歯」という特別な称号が与えられている。

これをふまえると、歯式は
3・1・3・0 = 28  となりました。(1)
3・1・2・1
上顎の小さな大臼歯に対応する歯槽が開いていたので、M1が脱落・紛失した可能性があります。
もしも私の素人解釈が正しければ、歯式は
3・1・3・1 = 30  となります。(2)
3・1・2・1

(2)ならば最も似ている歯式は、ネコ科ノネコでした。
3・1・2(3)・1 = 28〜30  
3・1・2・1

括弧内の数字は同種内の個体変異。(同書p180:日本の里山で見られる動物の歯式表

頭骨標本の歯式が(1)だとすれば、それに該当するものが掲載されていなかったので、永久歯が生え揃っていない乳歯の幼獣ということになり、歯式による同定は絶望的らしい。

川口敏『哺乳類のかたち ~種を識別する掟と鍵~』によれば

乳歯と永久歯を比べると、種の分類にはやっぱり永久歯が有効だ。というのも、一般に生き物というのは、成長が進むにつれて種固有の特徴が顕著になるからだ。種も分類するにはなるべく成体がよい。歯を見るにも大人の歯である永久歯がよい。一方、幼体では種の違いがあまり見られない。近縁な動物の幼体はどれも似たような形をしていて、見分けがつかないので、種を同定するには役立たない。歯にしても幼体の歯である乳歯は役立たない可能性が高い (p23より引用)



しかし、最も似ていたのはネコの歯式でした。
猫の歯と歯式図を詳細に解説したサイトを参照すると、
永久歯の歯式は
3・1・3・1 = 30
3・1・2・1
乳歯の歯式は
3・1・3・0 = 26
3・1・2・0
もしかすると、ネコ(の幼獣)だったのかもしれません。
この記事のタイトルを初め当てずっぽうで「タヌキ?の白骨死体」としていたのですが、「イエネコ?の白骨死体」と改めます。
頑張って調べたおかげで、歯式による同定法の有用性を思い知りました。
まさに、哺乳類は歯が命!


『イヌのいいぶん ネコのいいわけ:イヌとネコにともだちになってもらう本』p77によると、ネコが早食いで丸のみするのは、すり潰す歯が無いからだそうです。
30本ある歯はぜんぶ、かみきるための歯。







2012/03/01

ハクセキレイの脱糞@電線【野鳥】



2012年2月上旬

川から結構離れた街中なのに、民家近くで一羽のハクセキレイを発見。
交差点の電線に止まり、尾を上下させながら休んでいます。
腹を見上げるアングルが物珍しくて、辛抱強く長撮りしてみました。
背側は見えないものの、ハクセキレイ特有の黒い眼下腺を確認。
寒そうに羽毛を膨らませ鳩胸になっています。
飛んで少し離れた電線に移動しました。
顔は忙しなく辺りをキョロキョロしています。
電線上でときどき回れ右して向きを変えます。
そのまま2回脱糞しました(@2:19、3:28)。
この間ハクセキレイは鳴き声を発さず、聞こえてくるのはカラスの鳴き声だけです。

下の交差点は交通量もそこそこ多いのに、なかなか逃げないのが少し意外でした。
信号待ちの車から大音量の音楽が流れてきたときも平気でした(著作権対策のためにYouTube動画では割愛)。

とりたてて面白い行動(交通整理とか!)を示した訳ではありませんが、これ程の長時間ハクセキレイをじっくり撮れたのは初めてでした。
街中で人馴れした個体なのでしょう。
いつもは警戒心が強くすぐに逃げられてしまいます。
最後にようやく飛び去りました。



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