2024/07/23

秋の夕方にアナグマの空き巣を交互に調べる3頭の若いホンドタヌキ【トレイルカメラ】毛繕い、遊び

 



2023年10月中旬・午後16:25〜16:36・日の入り時刻は午後17:01 


シーン0:10/12・午後14:38・晴れ・気温28℃(@0:00〜) 
シーン0:10/12・午後16:59・晴れ(@0:04〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで録画された現場の状況です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地(セット)を新旧2台のトレイルカメラで監視しています。 


シーン1:10/18・午後16:25(@0:08〜) 
夕方に1頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)aがアナグマの巣口Rまで来ていて、念入りに匂いを嗅いでいました。 
その間に、左奥の二次林内からさらに別の2頭b,cが間隔を開けてセットにやって来ます。 
巣口Rで合流したのは、おそらく獲物となる穴居性の昆虫が居るかどうか、チェックしに来たのでしょう。 

2番目に来た個体bは♂だったようです。 
巣口Rの横に自生するマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)の細い灌木の根元に排尿マーキングする際に、左後足を上げました。(@1:02〜) 


シーン2:10/18・午後16:26・気温18℃(@0:08〜) 
別アングルで設置した新機種のトレイルカメラに続きが撮れていました。 

タヌキ♂bが地面の匂いを嗅ぎながら左から登場しました。 
続けて左下にちらっと写ったのは、巣口Rに向かう別個体cです。 
タヌキ♂bは、アナグマの巣口Lを塞いでいる細い木の根の匂いを嗅いでから、体をよじって自分の腰を舐めました。 

すれ違う際に2頭間で体格差がありました。(a>♂b) 
これは性差なのでしょうか? 
タヌキは♀の方が少し大柄だと言われています。

後から来たタヌキaも、アナグマの巣口Lに顔を突っ込んで点検しています。 
2頭とも、左に戻って行きました。 


シーン3:10/18・午後16:26(@2:06〜) 
別アングルの監視カメラ(旧機種)で続きをご覧ください。 
アナグマの巣穴Rの内部を内検していた個体が外に出て来て、左に向かいました。 
もう1頭のタヌキは巣口Rを覗き込んでいるだけです。 
3頭のタヌキが巣口Rに勢揃いすると、顔を突き合わせて軽く挨拶したり、対他毛繕いしたりしました。 

左から戻って来た個体がアナグマの巣穴Rに頭だけ突っ込みました。 
タヌキの3兄弟(姉妹)は、巣穴に居候している小さな虫(カマドウマの幼虫?)を捕食しているようです。 
巣穴の主であるアナグマは不在らしく、中から飛び出してきて訪問者を撃退することはありませんでした。 


シーン4:10/18・午後16:29・気温19℃(@3:06〜) 
アナグマの巣口Lを点検し終えた個体が左に行こうとしたら、背後の個体がじゃれつき(相手の背中に両方の前脚で乗った!)、小競り合いの末に相互毛繕いが始まりました。 
毛並みも茶色が濃くて若々しく、こうした遊び好きな行動からも、若いタヌキ(幼獣?)ではないかと思います。 

3頭目のタヌキが左下にちらっと登場しました。 


シーン5:10/18・午後16:28・気温19℃(@4:06〜) 
アナグマの巣口Rに戻った2頭のタヌキが並んで巣穴Rを覗き込んでいました。 
巣口Rに頭を突っ込んで、「頭隠して尻隠さず」状態になった個体の腰に別個体がふざけて跳び乗りました。 
(順番待ちで痺れを切らしたのかな?) 
そのまま背中をグイグイ押して遊びに誘い、左へ走り去りました。 
追いかけっこが始まるかと思いきや、迷惑そうに巣口Rから顔を出した個体は相手の挑発には乗らず、巣内の虫に夢中です。 
ようやく奥の林縁へ移動しました。 


シーン6:10/18・午後16:30・気温20℃(@5:06〜) 
アナグマの巣口Lに居た2頭の一方が、背中を伸ばすストレッチ運動をしてから手前に立ち去りました。 
もう1頭は、後脚を伸ばすストレッチ運動をしてから、左へ移動しました。 

画面にタヌキが写っていないときでも、セットに転がっている落枝が動いているので、タヌキがカメラの死角を歩き回って落枝を踏んでいることが想像できます。 
自宅の玄関先にこんな落枝が散乱していたら歩くのに邪魔ですし、我々ヒトの感覚ではきれいに片付けたくなります。
しかし、侵入者の接近を知らせる防犯装置として、アナグマは落枝をわざと放置している気がしてきました。


シーン7:10/18・午後16:36(@5:34〜) 
最後までアナグマの旧営巣地(セット)に残っていたタヌキ個体も、身震いしてから右下へ立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


ゴマナの花蜜を吸い身繕いするシナヒラタヤドリバエ

 

2023年10月中旬・午後13:45頃・晴れ 

里山の林道脇に咲いたゴマナの群落で丸っこい体型の見慣れないハエが忙しなく訪花していました。 
花蜜や花粉を舐めていますが、ようやく落ち着いてくれた後半のシーンはただの休息や日光浴かもしれません。 
食事の合間に花から少し飛ぶと、近くのゴマナの葉に止まり直し、化粧していました。 

Googleレンズで画像検索すると、ヤドリバエ科のシナヒラタヤドリバエPhasia sinensia)と判明しました。 
カメムシに寄生するのだそうです。 


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2024/07/22

クリ園に残されたツキノワグマの糞塊を調べると…

 

2023年10月中旬・午後14:10頃・晴れ 

里山で砂利が敷かれた林道にクリ(栗)のイガや落果が大量に散乱し、往来する車によって踏み潰されていました。 
山に自生するクリの木から落ちたのではなく、砂利道の左右は栗園になっていて、大規模に植栽されたクリ(栗)の木が大きく育っていました。 

栗園の道端に巨大な獣糞を見つけました。 
タヌキの溜め糞でもなさそうですし、1回分の排泄物だとすると、おそらくツキノワグマUrsus thibetanus)の大便だと思われます。 
採寸代わりに、熊よけスプレー(長さ20cm)を糞塊の横に並べて置いてみました。 
糞の表面はやや乾いていたものの未だ新鮮で、糞虫やハエなどはなぜか来ていませんでした。 

即席で糞分析をしてみることにしました。 
拾った小枝を使って糞塊をほぐしてみると、柔らかい触感で、薄い黄土色のペースト状になりました。 
作業中にクマの糞塊から小型のコオロギがピョンと跳んで逃げたような気がしたのですが、見失ってしまいました。 



どうやらツキノワグマがクリの堅果(落果)をたらふく食べた後に排便したようで、糞の中に未消化の種子は含まれていませんでした。 
本格的に調べるには獣糞を水で洗い流しながらザルで濾す必要があるのですが、少なくともアケビやカキノキの種子のような分かりやすい種子は出てきませんでした。 
クリの実(堅果)を食べたのなら、茶色い果皮の断片が糞に含まれていそうなものですが、ありませんでした。
噛み砕いてから果皮を吐き出すのかな?
糞分析に使った小枝の先端に付着した糞におそるおそる鼻を近づけて匂ってみたのですが、驚くことにほぼ無臭でした。 
なんとも形容し難い生臭さだけで、いわゆる糞便臭はありませんでした。 

関連記事(4年前の撮影)▶ ツキノワグマの糞塊をほぐしてみると… 


ツキノワグマは食肉目特有の単純な構造の消化器官を持っているため、多くの植物質の食物の消化効率はよくはない。そのため、一度に大量に摂取することができる植物を食物として選択し、(中略)できる限り採食効率を高めていると考えられる。(『日本の食肉類: 生態系の頂点に立つ哺乳類』第9章:ツキノワグマp214より引用)


クマはクリの実を噛み砕いて食べるので、排泄した糞からクリが芽生えることはありません。
したがって、クリにとってツキノワグマは種子捕食者になります。
野ネズミがクリの落果を持ち去って冬の食料として貯食しますが、食べ忘れた少数のクリから発芽します。
つまりクリの種子は貯食型の動物散布で分布を広げます。



現場のクリ園は電気柵で囲われていないため、ツキノワグマが自由に出入りして食べ放題になっています。
つまり、現状ではクマを里山で餌付けしていることになります。

2023年10月18日のNHKニュースによると、山形県にクマ出没警報が発令されました。 
「ことしは、クマの好物であるブナの実が凶作」とのことです。 
(なんか、毎年同じこと言ってない?) 


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