2024/04/30

スギ倒木横のタヌキ溜め糞場で未消化の種子を食べる夏の野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月上旬〜中旬 

スギ防風林で倒木の横にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場phに監視カメラを設置すると、野ネズミ(ノネズミ)の活動が夜な夜な記録されます。 
今回は倒木の上を渡り歩くシーンを除いてまとめました。


シーン0:8/4・午後12:07・晴れ(@0:00〜) 
たまたま明るい昼間に撮れた現場の様子です。 
真夏のスギ林床はシダ植物が繁茂しています。 
真っ直ぐなスギの風倒木が林床に放置され、その左横で立木の下に黒々としたタヌキの溜め糞場phがあります。 


シーン1:8/6・午後23:34(@0:03〜) 
深夜に野ネズミがスギ倒木の下をくぐり抜けて右へ向かいました。 


シーン2:8/7・午前0:59(@0:20〜) 
日付が変わった深夜未明に、スギ立木の根本に野ネズミが登場しました。 
目の前で黒い虫(なんとなくカマドウマの仲間?)がスギの根元から木登りし始めても野ネズミは全く気づいていないようで、暗闇では捕食しませんでした。 
夜に野ネズミが虫を捕食するとしたら、視覚に頼らず聴覚やヒゲの触覚を頼りに狩りを行うのでしょう。
タヌキの溜め糞場phには立ち寄らず、スギの根本を回り込んで手前に徘徊します。


シーン3:8/8・午前0:12(@0:36〜) 
翌日の深夜に林床を左から来た野ネズミがスギ倒木の下に潜り込み、くぐり抜けると反対側にピョンと出てきました。 


シーン4:8/8・午後22:35(@0:50〜) 
同じ日の晩遅くに、スギ立木の背後から右に野ネズミがひょっこり現れました。 
下草の生い茂る林床で少し回り道をしたものの、70分前に跛行タヌキが排泄したばかりの新鮮な大便の匂いを嗅ぎつけたようです。 
溜め糞場phに来ると野ネズミは立ち止まり、何か食事をしました。 
未消化のまま排泄された果実の種子を採食したのか、それとも小型の糞虫を捕食したのか、映像では見極められませんでした。 
食後はスギ倒木の下をくぐり抜けて右に走り去りました。 
林床を糞虫らしき黒い甲虫が溜め糞phに向かってゆっくり歩いてくる様子がついでに撮れていました。 


シーン5:8/14・午前2:05(@1:44〜) 
6日後の未明に野ネズミが奥からやって来ました。
(倒木から右に飛び降りた直後かもしれません。)
シダ植物が繁茂する右の林床エリアで餌を探し歩いています。


シーン6:8/14・午前3:39(@2:03〜) 
スギ立木の左のエリアをウロチョロしています。(探餌徘徊)

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
真夏のタヌキ溜め糞場phに野ネズミはあまり通っていないことが分かり、意外でした。
わざわざ不潔な溜め糞の中から食べ物を探さなくても、盛夏の森では他に餌が豊富にあるのでしょう。

この時期に溜め糞場phを現場検証すると、大量の種子が溜め糞に見つかります。
糞分析は今後の課題ですが、ヤマザクラの実を最近タヌキが食べたのではないか?と勝手に想像しています。(この時期ウワミズザクラの果実は未だ熟してないかも?)
せっかくタヌキのおかげで種子散布が成功しかけたのに、野ネズミなど種子捕食者に一部は食べられてしまいます。
秋から冬にかけて餌が乏しくなると、野ネズミはタヌキの溜め糞場によく通って種子を次々に捕食するはずです。(他の地点の溜め糞場で観察した結果に基づく予想)

この溜め糞場phからヤブコウジの実生が育ちつつあるということは、タヌキがヤブコウジの赤い実を冬に食べたのかもしれません。※
陰樹のヤブコウジは日照に乏しいスギ林床でもなんとか育ちますが、陽樹ヤマザクラの種子がタヌキによって運ばれてきても、発芽した実生が暗いスギ林の中で育つのはまず無理でしょう。
タヌキが落果を食べて堆肥に埋もれる形で散布された種子も勝ち組とは限りません。
発芽しても日光が少ない場所では他の植物との競争に負けて生育できないからです。
それこそ暴風や落雷によってスギの木が新たに倒れたり人為的に間伐されたりして林冠ギャップが広がり、日光が射すようにならないと、種子散布は成功しません。
こうして考えると、動物散布型の植物はおそろしく確率の低い可能性に賭けて大量の種子を毎年黙々と生産していることが実感できるようになりました。

※ 元々ヤブコウジの小群落が生えていた地点に後からタヌキが溜め糞を排泄するようになった、という可能性はあります。
真面目に糞分析をして、ヤブコウジの種子が含まれていることを確かめるとともに、ヤブコウジの群落でタヌキが熟果を採食する証拠映像をトレイルカメラで撮る必要があります。

つづく→

ムシトリナデシコの花で2頭のウラギンヒョウモン♂が仲良く並んで吸蜜

 

2023年6月中旬・午後12:10頃・晴れ 

平地の農道沿いに咲いたムシトリナデシコの群落でウラギンヒョウモン♂(Fabriciana adippe)が訪花していました。 
翅を開閉しながら花筒に口吻を深く差し込んで吸蜜しています。 

特定の個体に注目して撮影していたら、隣の花序に飛び移った先で、2頭の♂が仲良く並んで同時に訪花しました。 
翅表に性斑(性標)があることから、2頭ともに♂と分かります。 
すぐに飛び去ったものの、誤認求愛も縄張り争いもしないで仲良く吸蜜したのが意外でした。 
一素人の勝手な想像ですが、羽化直後の♂は吸蜜やミネラル摂取に専念するのかもしれません。 
短いニアミスを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

定量的に調べた訳ではありませんけど、ヒョウモンチョウの仲間で私がフィールドで一番良く見かけるのはミドリヒョウモンという印象があります。 
この時期にウラギンヒョウモンばかり撮れたのは、たまたまかもしれませんが、何か理由がある気がします。
真っ先に羽化するのがウラギンヒョウモンであるとか、異常気象の影響であるとか…。
(ぼんやり眺めていた以前よりも観察眼の精度が上がってきたのかな?)

最近の研究によると、本州のウラギンヒョウモンは、低標高地のサトウラギンヒョウモンと高標高地のヤマウラギンヒョウモンに分かれることが明らかになったそうです。 
私は見分け方をまだ知らないのですが、今回の撮影地は明らかに低標高(平地)です。 
学名もまだ定まっていない(諸説ある)らしいので、とりあえず細分化される前の古い名前を踏襲します。 


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2024/04/29

単独または子連れでニホンアナグマの旧営巣地に立ち寄るホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月上旬〜中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が出没するシーンをまとめました。 
個体識別が完全にできていれば面白いドラマが読み取れるはずですが、まだまだ修行が足りません。

シーン0:8/4・午後13:23・くもり(@0:00〜) 
シーン1:8/4・午後13:59・晴れ(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 


シーン2:8/9・午後19:58(@0:07〜) 
5日後の晩にタヌキが奥の二次林に入って立ち去る後ろ姿が写っていました。 


シーン3:8/12・午前4:27・気温22℃(@0:12〜)日の出時刻は午前4:48。 
3日後の明け方に現れたタヌキが慎重に巣穴Lに潜り込んだものの、置くまで完全には入らず、すぐに後ろ向きで外に出てきました。 
左へ。 


シーン4:8/12・午前4:27・(@0:31〜) 
別アングルに設置した広角の監視カメラで続きが撮れていました。 
タヌキは広場の奥の林縁でミズキの立木をぐるっと回り込んでから、左に向かいました。 
なんとなく、ミズキの根元に排尿マーキングしたような気もしますが、はっきりしません。
 (片足を持ち上げませんでした。) 


シーン4:8/12・午後17:54・気温24℃(@1:02〜)日の入り時刻は午後18:40。 
日没前でかなり暗い夕方に巣口Lの匂いを嗅いでいたタヌキが右へ立ち去りました。 


シーン5:8/14・午前6:24・気温23℃(@1:11〜)日の出時刻は午前4:50。 
2日後の薄暗い早朝にはタヌキのペアが登場しました。 
雨上がりなのか、林床の地面がやや泥濘と化しています。 
獣道を右上奥から登場した先頭個体は、巣穴Lには立ち寄らず左へ通り過ぎました。 
間隔を開けて同じ獣道から後続個体が現れ、同じく左へ。 
♀♂ペアなのか、兄弟姉妹なのか、不明です。 


シーン6:8/14・午前6:24・気温23℃(@1:45〜) 
別アングルの広角映像に続きが撮れていました。 
雨上がりで、レンズがやや曇っています。 
前の動画でタヌキが2頭で登場したと思っていたら、実は計3頭が来ていたことが分かりました。 
タヌキ成獣と思われる大型の個体が右へ立ち去る姿がちらっと写っていました。 
巣口Rの匂いを嗅ぎ回っている2頭は、どうやら幼獣のようです。 
やがて幼獣も1匹また1匹と親タヌキの後を追って右に向かいました。 


シーン7:8/14・午前7:54・気温24℃(@2:14〜) 
1時間半後に来たタヌキは毛皮が濡れていました。 
迷うことなく巣穴Lに入ったのに、内検しただけですぐにまた外に出て来ました。 
頭から入って頭から出てきたので、巣内で方向転換できるだけの広い居室があることが伺い知れます。 
身震いして土の汚れを払い落とすと、左へ立ち去りました。 
尻尾の中央部に滴状の黒斑▼がある個体でした。 


シーン8:8/14・午前7:54・(@2:40〜) 
つづきが別アングルのトレイルカメラで録画されていました。 
二次林を奥に歩き去る後ろ姿が写っています。 


シーン9:8/14・午前7:56・(@2:49〜) 
2匹のタヌキが二次林内を駆け回っています。 
はしゃいでいる様子がいかにも幼いので、幼獣の兄弟姉妹だと思います。 
そのまま右へ走り去りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 


シーン10:8/14・午前10:57・晴れ(@3:11〜) 
3時間後にもタヌキがペアで登場しました。 
林内を右へ向かっています。 
左奥から別個体のタヌキがやって来ました。 
アナグマの旧営巣地(セット)には近寄らず、左に戻ってしまいました。 
今回の2頭は全く独立に別行動していました。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。





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