2023/12/30

庭で落葉したカエデ樹上に現れたコガタスズメバチの古巣:2018年

2018年12月上旬・午後・くもり

民家の庭木が落葉した後に、コガタスズメバチVespa analis insularis)の古巣を見つけました。 
初冬でコロニーが解散した後ですから、成虫の出入りはありません。 
コガタスズメバチはヒトへの攻撃性がそれほど高くなく、当地(東北地方の雪国)では巣があまり大きく育ちません。
夏に横を通りかかっても巣の存在に気付きませんでした。

このように「知らぬが仏」という事例が多いことから、少なくともコガタスズメバチに関しては、人家の近くに巣を作っても、ほぼ問題なく共存できると私は考えます。
コロニーが解散するまで干渉せずに放っておけば良いのです。
下手に駆除しようとするから、蜂に反撃されて刺傷事故が起きるのです。
むしろコガタスズメバチが庭木に営巣したおかげで、周囲の庭や家庭菜園で害虫の発生が抑えられたはずです。
ヒトの知らない間にスズメバチは重要な生態系サービスを担っています。
ミツバチなどのハナバチ類が植物の花を受粉してくれる生態系サービスについては一般人でも理解されているようですが、スズメバチやアシナガバチなど社会性カリバチについてはその危険性ばかりが過剰に喧伝されているのが残念です。

蜂好きが「べき論」を言ったところで反感を買うばかりですが、身近にスズメバチの巣を見つけたら、まずはその種類を正しく見分けることが大切です。
巣の形状や営巣環境などからスズメバチの種類をおおよそ推測することができます。
マスコミがオオスズメバチへの恐怖を毎年煽るので強烈な印象に残り、虫に詳しくない人は最悪を想定してしまいがちです。
しかし、必ずしもオオスズメバチの巣とは限りません。
オオスズメバチは地中に営巣する種類であって、樹上には決して巣を作りません。
そもそもオオスズメバチが営巣するのは、よほど自然豊かな環境(山林)になります。
知識がなくて不必要に怖がる結果、スズメバチに対して不寛容になっている(見つけ次第、皆殺しにすべきだ!)ケースが多いと私は感じます。


完全に落葉した後でも特徴的な翼果が枝に残っていたことから、営巣木の樹種はカエデの仲間[(おそらくイロハモミジ(=イロハカエデ)]と分かりました。


小川を歩いて遡上して丸木橋の下をくぐり抜けるアオサギ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年5月中旬・午後18:23・気温16℃(日の入り時刻は午後18:44) 

日没前の夕方なのになぜか暗い日で、赤外線の暗視モードでトレイルカメラが起動しました。 
小川の中に1羽のアオサギArdea cinerea jouyi)が来ていました。 
ゆっくり歩いて右岸を上流に向かって遡っています。 
頭を少し下げて、丸木橋の下をくぐり抜けました。 
左岸の水際に注目して、獲物となる小魚を探しているようです。 

画面の左から右に向かって緩やかに流れている小川の上空で、小虫が飛び回っていますが、蚊柱というほど密集していません。 

2023/12/29

雨の朝に幼獣4頭を次々に運んで隣の巣穴へ引っ越すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2023年5月中旬

シーン1:5/15・午前4:57・(@0:00〜)日の出時刻は4:26。 
雨が降る早朝に、ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣の首筋を咥えて運び、手前の巣穴Lへと入りました。 
次に手前の巣穴Lから空荷で出て来ると、まっしぐらに巣穴Rへ向かいました。 
正面から見ても自然光下では左右の目の大きさが黒い過眼線に隠れて見えませんが、後頭部(首筋)に白斑がある♀個体でした。 

アナグマ関連の本で予習していたので、母親♀が幼獣を連れていずれ引っ越しすることは知っていました。
しかし、雨天決行したことに驚きました。 
巣穴Rの巣材(寝床、敷き藁)が雨で濡れて住心地が悪くなったから、急遽、引っ越しするのでしょうか? 
悪天候の方が天敵に見つかりにくいのかな? 
引越し先がすぐ隣の巣穴だったことも意外でした。
前日に巣材を巣穴Rに搬入した行動と辻褄が合わない気がするのですけど、一体何だったのでしょうか?

これで分かったことは、 
  • アナグマ♀は巣穴R(産室)で出産していたこと。 
  • 巣穴RとLの居住区は中で繋がっておらず、独立しているらしいということです。 


シーン2:5/15・午前4:59・(@0:25〜) 
再び♀が次の幼獣(2匹目)を運んで巣穴RからLへと引っ越しました。 
母親に運ばれている間、首筋を咥えられた幼獣は身動きしないでおとなしくしています。 
(鳴き声も聞き取れません。)
空荷で出巣Lした♀が身震いして毛皮の水気を切ってから入巣R。 


シーン3:5/15・午前5:01・(@0:54〜) 
今回は、♀が3匹目の幼獣を咥えて巣口Rから出てくる様子がしっかり撮れていました! 
空荷で♀が巣穴Rへ戻ります。 


シーン4:5/15・午前5:03・(@1:22〜) 
4匹目の幼獣を同様に運びます。 
幼獣の首筋を咥えて運んでいる様子がはっきり撮れました。 
空荷で出巣Lした♀が巣穴Rへ戻る途中で身震いし、雨で濡れた毛皮の水気を切りました。 

次に巣穴Rから出てきた♀は空荷でした。 
巣穴Rの産室に幼獣が残っていないことを確認してきたようです。 
途中で身震いしてから入巣Lしました。 
これで家族の引っ越しは完了です! 
計4頭の幼獣を巣穴Rの産室から新しい巣穴Lに運びました。 
(幼獣運搬を撮り損ねた回があったかもしれません。)


アナグマの産仔数をGoogle Scholarで調べていて見つけた文献の全文PDFが無料公開されていたので、ありがたくダウンロードさせてもらいました。 
田中浩. (2002). ニホンアナグマの生態と社会システム. 山口大学博士論文.
まだ全部は読めていませんが、一腹産子数の平均は、2.3±0.8頭とのことでした。 
私が観察している♀は4頭(以上)産んだので、多産の部類に入るようです。
餌の豊富な生息環境なのでしょう。

アナグマ – おもしろ哺乳動物大百科 83 食肉目 イタチ科 というサイトによれば、
ニホンアナグマの交尾期は4月から8月で、受精卵は翌年の2月ころまで着床遅延し、出産期は2~5月です。産子数は1~3頭、オスの子どもは生後24ヶ月齢まで成長を続けますが、メスの成長は早く1歳で親と同じ大きさになります。性成熟はオスで約2歳、メスは1歳で性成熟し着床遅延をはさんで2歳から出産が始まります。ニホンアナグマのメスの子どもは母親と一緒に生後14ヶ月齢迄しかいませんが、オスは生後約26ヶ月齢まで一緒にいます。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


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