2023/09/07

雪国で川の上空を帆翔するトビ(冬の野鳥)

 



2023年2月中旬・午後12:50頃・晴れ 

スノーシューを履いて川沿いの雪原を探索中に、上空を飛ぶトビMilvus migrans)を発見。 
快晴の青空を背景に弧を描いて帆翔しています。 
たまにフワフワと軽く羽ばたくだけで、上昇気流に乗って滑空しながら下界の餌を探しています。 
今回のトビは飛びながら鳴き声を発していませんでした。 

空を飛ぶ猛禽類を同定する大きなポイントは、翼の下面の模様です。 
しかし空を見上げて撮るので逆光となり、細部が見えづらいことが多いです。 
そのため、写真や動画に後で逆光補正処理を施すことがあります。 
今回は川沿いの広大な雪原が日光を反射する巨大なレフ板となり(雪原からの照り返し)、トビの翼下面が過去最高に明瞭に見えました。

2023/09/06

晩冬に林道の両側に立つスギの幹に続けて眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年2月下旬〜3月上旬 

雪深い里山でスギ林道に通うニホンカモシカCapricornis crispus)を自動センサーカメラで記録しています。

シーン1:2/27・午後19:46・気温-2℃・(@0:00〜) 
私がトレイルカメラの電池を交換した当日の晩にカモシカが右からやって来ました。 
雪面には私がスノーシューで歩いた巨大な足跡が残されています。 
カモシカが1歩踏み出す度に中途半端に凍った雪面が割れるので、足がズボズボと雪に潜って、とても歩きにくそうです。 

画面左端に立つスギ大木の下で立ち止まり、幹に顔をゴシゴシ擦り付けて眼下腺マーキングしているようです。 
残念ながら、肝心の頭部が見切れてしまっています。 
カメラをもう少し左に向けて設置するべきでした。 

秋にカモシカたちが眼下腺マーキングしていたお気に入りのスギ落枝は、深い根雪の下に埋もれてしまっています。 (画面の左)

対面に見えるスギの木には立ち寄らず、そのまま左へ立ち去りました。 
左右どちらの杉の木に眼下腺マーキングするのかは、気分次第で決まるのか、それとも個体によって違うのでしょうか? 


シーン2:2/28・午後13:33・気温6℃・(@0:31〜) 
翌日の晴れた午後にカモシカが右から登場。 
気温が上がると、雪が溶けてシャーベット状の重い「腐れ雪」の状態になり、ますます歩きにくくなります。 

今回もニホンカモシカは画面左端にあるスギ大木の下で立ち寄ると、幹の匂いを嗅いでから眼下腺マーキングしたようです。 

次に林道を渡って、対面の法面に立つスギへ向かいました。 
カモシカは首を伸ばしてスギの幹に顔を擦り付けて、眼下腺マーキングしました。 

縄張りで念入りに匂い付けを済ますと、踵を返して左へ立ち去りました。 
林道を挟んで左右のスギ両方に眼下腺マーキングするのを見たのは初めてかもしれません。 

シーン3:3/5・午前11:22・気温2℃・(@1:47〜) 
5日後の晴れた昼前にもカモシカが右からやって来ました。 
雪面は固く凍結していて、カモシカが歩いても蹄がほとんど潜らず、楽に歩けるようになりました。 
個体識別ができていませんが、今回の個体はなんとなく体型が小柄で、若い個体のような気がします。 
食料に乏しい厳しい冬を乗り切って体脂肪を使い切り、やせ衰えて見えるだけかもしれません。 

いつものように左のスギ大木で眼下腺マーキングした後は、そのまま左に歩き去りました。 
右を向いて対面のスギを見たものの、今回は立ち寄りませんでした。 

シーン4:3/8・午前1:47・気温4℃・(@2:29〜) 
3日後の深夜にカモシカがいつものように右から登場。 
逆に左から右へ行くシーンが全く撮れていないのが不思議です。 
積雪期は一方通行の決まったルート(一筆書き)で縄張りを巡回しているようです。 

雪面だけが最中もなかのように凍っているために、一歩ずつ割れて足が雪に沈み、歩きにくそうです。 
雪国在住者にとっては馴染みのある現象ですけど、暖地のヒトには経験しないとこの感覚は分からないでしょう。
画面左外のスギ幹に眼下腺マーキングしてから左に立ち去りました。 

実はこの日の昼過ぎに、私もトレイルカメラの電池交換のために現場入りしました。
12時間前に雪面を歩いたニホンカモシカの蹄跡を写真に撮りました。

雪面にカラマツの落枝
カモシカの進行方向と同じアングルだと、緩やかな下り坂になっているスギ林道。道端の左右両側に立つスギの幹にカモシカが眼下腺マーキングしている。


樹上でパタンパタン♪と尾羽を鳴らすジョウビタキ♂の謎(冬の野鳥)

 

2023年2月下旬・午後16:10頃・大雪 

雪が激しく降り始めた午後、郊外の住宅地で道端の看板の上に乗っていたジョウビタキ♂(Phoenicurus auroreus)にカメラを向けると、少し飛んで横の街路樹に逃げ込みました。 
(映像はここから。) 
私が少し近寄っても、樹上では枝から枝へ少し飛んで移動するだけです。 

落葉したハナミズキ(別名アメリカヤマボウシ)の枝に止まったジョウビタキ♂が、何やら奇妙な音を立てています。 
ジョウビタキが尾羽根を上下に振り立てるのは馴染みのある行動ですが、このときカタンカタン(パタンパタン、ペチンペチン)♪という音が鳴ります。 
これは周囲の混み合った枯れ枝に尾羽がうっかりぶつかる音なのか、それとも尾羽そのものから意図的に鳴らしている(発音)のでしょうか? 
なんとなく、近くで撮影する私に対する威嚇音♪ではないかと思いました。 
マイクに入る風切り音(ノイズ)のせいで、肝心のカタンカタン♪が聞き取りにくいですね。 
後半はいつものように、ヒッヒッ♪と高音で繰り返し鳴きました。 

※ 警告音?と鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


残念ながら録画の途中でカメラの電池が切れてしまいました…。 
吹雪でカメラをあまり濡らしたくないので、どのみち長時間の撮影は無理でした。
カメラを守る防水カバーを取り出して装着したときには、ジョウビタキ♂はもう居なくなっていました。





石井直樹『鳴き声から種を同定するための日本鳥類鳴き声大辞典』でジョウビタキの項目を参照すると(p146-147)、「カタカタカタ」という「嘴を鳴らす音」が収録されていました。 
コウノトリがやるクラッタリングのような発音行動だと言いたいのでしょう。
しかし今回の映像をスローで見直してもジョウビタキ♂は嘴を閉じたままなので、筆者の見解には同意できません。 
尾羽を打ち鳴らす音ではないかと私は思います。 
ジョウビタキのカタカタカタ♪は、地鳴きでも囀りさえずりでもなく、ドラミングの一種と同書では分類されています。
ドラミングには、嘴どうしを打ち合わせたり、尾羽を通過する風により音を立てたりする場合など、発声器官以外で音を出す場合を全て含んでいる。(p14より)
との但し書きが巻頭にありました。 
「尾羽を通過する風による音」という表現もしっくりきません。
本書がデータベースとして労作なのは認めますが、活字だけなのが残念です。
付属のCD-ROMに実際の音声や動画が収録されているかと期待して買ったのに、エクセルファイルが収められているだけでした。
表紙に声紋(スペクトログラム)が載っているのも紛らわしいです。
様々な鳴き方のひとつひとつに実際の動画(せめて音声)を付けて欲しいものです。
マルチメディアの鳴き声データベースで私が満足できる完全版が無ければ、人任せにせずに、自分でコツコツ撮りためて自作するしかありません。

ランダムに記事を読む

  • 山道を横切るニホンザルの群れ02/01/2016 - 0 Comments
  • 屋根裏の巣に飛来したチャイロスズメバチ♂15/02/2015 - 0 Comments
  • キジ♀(野鳥)の群れが畦道で採食10/10/2014 - 0 Comments
  • 夏型ベニシジミ2頭がキクイモモドキの花で吸蜜30/09/2020 - 0 Comments
  • ハクセキレイの鬼ごっこ【野鳥】27/04/2012 - 0 Comments