2023/07/21

オニグルミを運ぶ野ネズミがフクロウに襲われ危機一髪【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年12月上旬 

オニグルミ堅果の給餌は6回目になります。 
今回はカラマツ大木の根元の右側に、果皮を剥いたクルミ40個を山盛りに並べて置きました。 
餌場を左から右に移動したのは、少しでも監視カメラに近づけて、野ネズミがクルミを選ぶ行動の詳細を観察するのが目的です。 
右側の餌場Rは狭いので、なるべく小さなクルミを選んで山積みにしました。 

その日の晩に夜行性の野ネズミ(ノネズミ)が早速現れて、いつものようにせっせと餌場通いを始めました。 
貯食のためにクルミを1個ずつ持ち去っていると、大事件が勃発しました。 


シーン1:午後22:43・気温11℃ 
野ネズミが給餌場Rでオニグルミ堅果を選んでいると、どこからともなくキョヨヨヨ♪と奇妙な鳴き声がしました。 
木の枝が風に揺れて軋む音なのでしょうか? 
途端に野ネズミはパッと画面右を向いて警戒しました。 
そのまま物音を立てないようにフリーズしています。 
やがて野ネズミは警戒を解くと、1個のクルミを咥えて右斜面を駆け上がりました。 
それと同時に再び謎の音声が録音されていました。 
(カメラを固定したシナノキの幹を樹液が流れる音?? 風に揺れる枝と枝が擦れる音?) 


シーン2:午後22:54・気温10℃(@0:50〜) 
少し間隔が開きましたが、10分後に野ネズミが餌場Rに戻って来ていました。 
選んだクルミを持ち去ろうと、カラマツの根元を右に回り込んでから右斜面を駆け上がる途中で立ち止まると…。 
左上からフクロウStrix uralensis)が音もなく急降下し、野ネズミに奇襲しました。 
斜面の下草にバサッと舞い降りたフクロウは、辺りをキョロキョロ見回してから左上に飛び上がりました。 
飛び去った後もキョヨヨヨ♪と謎の鳴き声が聞こえました。 
どうやらフクロウの鳴き声だったようです。 
フクロウがこんな鳴き声を発するとは知りませんでした。 
調べてみると、この鳴き声はフクロウ雛の餌乞い♪(参考サイト:さえずりナビ)と似ています。 
今回聞こえたのは、親鳥に給餌をねだる鳴き声の名残りなのかな? 
狩りの未熟な若鳥なのかもしれません。(素人の勝手な想像です) 
それにしても、シーン1でフクロウが鳴いた理由が全く分かりません。
鳴き声で獲物に気づかれたら、警戒されたり逃げられたりしてしまい、狩りは台無しになるはずです。
このカラマツや周囲の樹木にフクロウが営巣できそうな樹洞はありません。

襲撃の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイし、狩りの成否を確かめてみましょう。(@2:02〜) 
優れた聴覚を持つフクロウは暗闇で獲物が立てる微かな物音だけを頼りに定位して襲いかかります。 

映像でフクロウが意外に小さく見えるのは、遠近感の問題ですかね? 
夏鳥のアオバズクは除外できます。 
耳がないので、トラフズクでもありません。 
今回調べて初めて知ったのですが、フクロウは留鳥で冬季も見られるのだそうです。 

スロー再生すると、野ネズミは紙一重でフクロウの攻撃を交わし、カラマツの背後を通り左斜面の草むらに素早く逃げ込んでいました。 
私が給餌を続けたおかげで野ネズミの栄養状態が良くなり、反射神経や注意力に優れていたのかもしれません。 
フクロウによる狩りは狙いがわずかに外れて失敗に終わりました。
したがって、襲撃後の謎の鳴き声は野ネズミの断末魔ではありません。 
襲撃後にカラマツの背後に生えた羊歯(ゼンマイ?)が右に大きく揺れ動いたのは(@1:45〜)、逃げた野ネズミに再び襲いかかったのでしょうか? 
しかしフクロウはもっと急角度で飛び上がったので、無関係の風揺れと考えられます。 

この野ネズミ個体は、オニグルミ堅果を貯食する場所を毎回ランダムに変えるのではなく、毎回ほぼ同じルートでクルミを運んでいました。 
明らかに油断していたことになります。
捕食者による襲撃リスクを減らすためにも、運搬ルートを頻繁に変えないといけません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 

今年は里山でフクロウが野ネズミを狩る成功例と失敗例がトレイルカメラで撮れて、非常に興奮しました。
自動センサーカメラ(トレイルカメラ)という文明の利器に感謝。



それにしても、野生動物に給餌することの是非について、改めて考えさせられました。
人工的な給餌は特定の種類の野生動物に対する依怙贔屓となり、生態系のバランスを崩すことになりますが、自然界は一人勝ちを許しません。
遅かれ早かれライバル種が必ず現れて、豊富な餌をめぐる競争や縄張り争いになります。
その上、餌場に誘引された獲物を狙って、今回のように捕食者が登場します。
そうした自然界の連鎖反応や弱肉強食の真剣勝負を観察できるのもトレイルカメラの醍醐味です。


餌場に繰り返し現れる常連客に愛着が湧いて名前(愛称)を付けたりするタイプのヒトは、天敵に捕殺されるシーンがトレイルカメラに記録されていたら、精神的に強いショックを受けたり罪悪感に苛まれるかもしれません。
そうなったとしても給餌が招いた結果なので、予め覚悟しないといけません。


初雪で凍死したジョロウグモ♀の遺作(蜘蛛)

 

2022年12月上旬・午前11:40頃・晴れ 

初雪が降った翌日に里山で急坂の山道を登ると、道端の枝間に張られたジョロウグモ♀(Nephila clavata)の垂直円網に霜が付着して真っ白に光っていました。 
網の主であるジョロウグモ♀は中央のこしきに占座したまま、だらりと力なくぶら下がっていました。 
私が指で触れても全くの無反応です。 
前日の初雪で凍死したようです。 
初冬になるともう網にかかる獲物がほとんどいませんから、卵嚢を産めるだけ産んで天寿を全うしたのでしょう。 

捕虫網を構成する糸の1本1本が白い霜をまとい、馬蹄形垂直円網の構造が見事に可視化されています。 
クモの網の構造を観察するために霧吹きで水滴を噴霧するテクニックがあるのですが、自然な霜の美しさには叶いません。 
あえて逆光で撮ってもフォトジェニックです。 
美しい芸術作品に昇華されました。 
暖かな日差しに照らされて気温が上がると、網に付着した霜はじきに溶けてしまうでしょう。 
ギリギリのタイミングで「ある女郎蜘蛛の死」を劇的(フォトジェニック)に撮れたことになります。 

ジョロウグモの網が微風で揺れていて、霜が付いても網全体の柔軟性は保たれていることが分かります。 
極寒の条件ではクモの網全体が凍結して脆くなり、パリパリと壊れたりするのでしょうか? 
(例えば液体窒素に漬けるとどうなる?)
霜によって横糸の粘着性は失われているかと思いきや、アカマツなどの落ち葉が少し網に付着していました。 

この後、野鳥がジョロウグモ♀の死骸を見つけて捕食するのでしょうか? 
トレイルカメラを設置すれば決定的瞬間が撮れたかもしれません。 
ちなみに、この日下山すると平地でもジョロウグモ♀が円網で凍死していました。(映像なし) 


2023/07/20

河畔林のタヌキ溜め糞場を気にしつつも避けるホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年12月上旬・午後22:35頃 

初冬の晩遅くに河畔林をうろつくホンドギツネVulpes vulpes japonica)が久しぶりにトレイルカメラに写りました。 
なぜか落葉灌木(ノイバラ?マユミ?)の枝先の匂いを嗅いでいます。 
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場rvには近寄らず、右へ立ち去りました。 
タヌキの糞便臭によって、まるで結界が張られているようです。
トレイルカメラの存在に気付いている様子はありません。

つづく→

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