2023/04/24

飛び去って電柱の天辺に止まり直し羽繕いするトビ(野鳥)

 

2022年10月上旬・午前10:10頃・くもり 

郊外の農村部を私が気づかずに歩いているとトビMilvus migrans)が溜池エリアの隅に立つ電柱から飛んで逃げました。 
羽ばたきと滑空を交互に繰り返しながら、トウモロコシ畑や田んぼを飛び越えて遠ざかります。 
上昇するのではなく、裏山の方へ向かってほぼ水平に飛び去りました。 
鳴き声は聞き取れませんでした。 
逆光で翼下面の模様が分かりにくかったのですが、ノスリではなくトビでした。 
当地で見かけるのはノスリが多く、トビはレアです。 

優雅に右旋回しながらトビは電柱の天辺に着地しました。 
首をねじって右肩の辺りの羽毛を嘴で整えています。(羽繕い) 

※ 翼の下面の斑紋が見えるように、冒頭シーンだけ逆光補正しました。 
いつものように動画編集時に手ブレ補正すると、余白の多い飛翔シーンは副作用で却って不自然になるので、前半はそのまま。

2023/04/23

ホンドテンが野ネズミを狩ろうとやって来た?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月中旬・午後21:20頃 

カラマツの根元にドングリを山盛りに置いた餌場をトレイルカメラで見張っていると、野ネズミが1個ずつ持ち去る合間に突然、ホンドテンMartes melampus melampus)が現れました。 
雑木林の斜面を駆け上がると、カラマツの根元(右下)で立ち止まり、辺りの様子をうかがっています。 
再び斜面を駆け上がって姿を消しました。 
短い登場シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:09〜) 
 ※ スローパートは動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 

この夏にテンを目撃した山中の水場から直線距離で数十mしか離れてませんから、監視カメラに写ったことは不思議ではありません。 

関連記事(同年の撮影)▶  

テンは雑食性とされていますが、食べる果実は堅果ではなく液果のようです。 
したがって、今回のホンドテンもドングリ(ミズナラの堅果)を置いた給餌場の匂いには反応しませんでした。
おそらく50分前に通った野ネズミの残り香を嗅ぎ取ったのでしょう。
 
食性は雑食性で、動物質のものはネズミやリス、鳥、爬虫類、両生類、昆虫類、ムカデなど。植物質のものはヤマグワやマタタビ、サクラ、ヤマブドウ、コクワ(サルナシ)などの実[3][7]。(wikipedia:ホンドテンより引用)
テンは甘い果実類が大好物である。(中略)カキだけではなくビワ、アケビ、マタタビ、ヤマブドウ、クワ、ミカンなどの実もよく食べる。(平凡社『日本動物大百科1:哺乳類I』p136より引用)
テンは野ネズミを狩る天敵です。 
私が山中に給餌場を設置したことで野ネズミが数分おきに通うようになり、その物音をホンドテンが聞きつけてやって来たのかもしれません。 
テンが立ち止まって横を向いた際に口に獲物を咥えていませんでしたから、ドングリの運搬・貯食作業中の野ネズミは狩られずになんとか逃げ延びたようです。
エゾクロテンの糞を調べると、(中略)動物質の出現率が圧倒的に高く、全体の約85%を占める。とくにヤチネズミやアカネズミなどの野ネズミ類の出現率が動物質の約90%を占める。これとは逆に、近畿地方のニホンテンは、年間を通じて植物質が87%を占め、その80%が果実であるという報告がある。(同書p137−138より引用)
今泉吉晴『がんばれひめねずみ』は子供向けの絵本ですが、テンに襲われそうになったヒメネズミがドングリを咥えたまま必死で逃げて行く姿が表紙になっています。
本文でもテンがヒメネズミの巣箱を襲うシーンが描かれていました。

天敵とのニアミスに怯えた野ネズミは、警戒してしばらくドングリ餌場に来なくなってしまいました。 
どこか安全な隠れ家や巣穴に潜伏しているのでしょう。
7時間20分間もの長い外出自粛でほとぼりが覚めると、夜明け前に餌場通いを再開しました。 
やはりテンの餌食とならず無事だったようで、一安心。 

野生動物に給餌をすると、予想しないような連鎖反応が起きます。 
給餌行為はヒトの勝手な都合で特定の野生動物に依怙贔屓えこひいきをしている訳ですが、自然界は一人勝ちを許しません。 
急に増えた餌資源を巡って争いが起きますし、今回のように捕食者を呼び寄せることもあります。 
ここで堅果給餌プロジェクトを続けると後日、野ネズミが別の天敵にあわや狩られそうになる危機一髪のシーンが監視カメラに写っていました。(映像公開予定) 
私は給餌場で巻き起こるドラマをあくまでもドライに観察し、何が起きても興味津々で記録するだけです。 
ドングリをせっせと持ち去り貯食する野ネズミやリスに愛着を持って可愛い名前をつけたりするタイプの人は、狩りのシーンを目の当たりにして精神的ショックを受けたり、「私が給餌したせいで…」と罪悪感を抱いたりするかもしれません。(←別にそういう人を揶揄したり非難したりする訳ではありません。) 
野生動物に給餌するならそういう覚悟も必要ですよ、と言う話です。 



【追記】
野生ホンドテンの糞内容物調査をした楠井晴雄・楠井陽子『テンが運ぶ温帯林の樹木種子』によると、(『種子散布―助けあいの進化論〈2〉動物たちがつくる森』p37-50に収録)
動物性食物については(中略)、哺乳類ではほとんどがノネズミ類で、食忠類(ヒミズ、ミズラモグラ)も含まれていた。(p39-40より引用)

実はこの場所でノネズミ以外にヒミズも出没しています。

テンの動物性食物の食性を見てみると、哺乳類への依存度も高く、その多くがノネズミ類であった。テンがノネズミ類を多く採食することによって、それらノネズミ類が貯蔵した堅果類はそのまま地中に残される可能性も高いのではないだろうか。したがって間接的にテンは堅果類の散布に対しても補助的な役割を担っていることが推察される。(p48-49より引用)

下線部についてはとても新鮮な見方でした。 



キタキチョウ♂の叶わぬ恋?:キカラスウリの黄葉に誤認求愛

 

2022年10月中旬・午後14:35頃・晴れ 

民家の外壁を覆うように雑草の蔓植物が繁茂して、天然の壁面緑化のようなマント群落を形成しています。 
軒下にはジョロウグモNephila clavata)が網を張り巡らせています。 
その壁際になぜか執着して1頭のキタキチョウEurema mandarina)が思わせぶりな飛び方をしていました。 
近くにはセイタカアワダチソウの花が咲いていて、蜜源植物には事欠かないはずなのに、わざわざ壁際に固執する理由が分かりません。 
遠目からはクモの網に何度もアタックしているように見えたので、不思議に思ってズームインしてみました。 
クモの網に捕まった♀に対して♂が求愛しているのかと初めは思ったのですが、その予想も外れました。

どうやらキタキチョウはキカラスウリの黄葉に興味を示しているのに、手前に張られたクモの網が邪魔で近づけないことが分かりました。 
同じキカラスウリでも緑の葉には興味がありません。
♂による誤認求愛だとすると、非常に興味深い行動です。 
障害があるほど恋心が燃え上がるのでしょうか。
もしクモの巣が無ければキカラスウリの黄葉に着地して足で触れてみて、同種の♀ではないと確かめて飛び去るはずです。 

キタキチョウ幼虫の食草はマメ科植物(クズは除外)なので、成虫♀が産卵目的で飛来したという訳でもなさそうです。 
マント群落にはキカラスウリの他にクズ(マメ科)の葉も生い茂っていますが、それに対してキタキチョウは全く興味を示しませんでした。 

もう一つ別の可能性として、茂みの奥に羽化間近の♀の蛹があるのかもしれません。 
羽化したら真っ先に交尾しようとキタキチョウ♂が引き寄せられたのでしょうか? 
しかし映像を何度見直しても、蛹は見当たりません。 


最後にキタキチョウはようやく諦めて飛び去りました。
その間、馬蹄形円網の主のジョロウグモ♀は全く無反応でした。 
誘蛾灯の近くに造網するクモがよく育つように、周囲の植生が黄葉し始めたおかげでジョロウグモの捕虫網にキタキチョウ♂がよく掛かるようになったら面白いですね。

キタキチョウが落ち着きなく飛び回るので、肝心の性別が見分けられませんでした。 
ハイスピード動画に切り替えれば良かったかもしれません。 
キタキチョウの性別は、大雑把に言うと翅の黄色が濃い方が♂で、薄い(白っぽい)方が♀です。
今回の飛翔個体は黄色い♂のような気がするのですが、日差しが強くて白飛び気味の映像になり、確信がもてませんでした。

紫外線カメラで撮ればキタキチョウの性別を簡単に見分けられるのだそうです。
・シロチョウ科のキタキチョウは♂の黄色い部分が紫外線を反射し、♀は吸収した。(中略)このキタキチョウの♂の翅は撮影する角度によってその紫外線反射量が変化した。これは構造色の発色のしかたと似ている。 (p24より引用)
・♂のキタキチョウはモルフォチョウと同じ構造で紫外線だけを反射している。それも少し角度が変わるだけで大きく変化する。(中略)キタキチョウは紫外線反射により、互いに雌雄を容易に見極めている。 (p25-26より引用)

紫外線カメラでキカラスウリの黄葉を写真に撮ったら、キタキチョウ♀と似て見えるかどうか、誰か調べてみませんか?

 

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