2022年9月中旬・午後14:45頃・気温17℃
トレイルカメラを設置している里山のスギ林道を野生ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の群れが次々と通り過ぎます。
音量を上げるとニホンザルが静かに鳴き交わす声が聞こえます。
コンタクトコールやクーコール♪と呼ばれる鳴き声でしょう。
対面に見えるスギ大木の左隣に太い落枝が急に出現し、奥の斜面に引っかかるように止まりました。
秋の台風や冬の大雪で横枝が折れかけたままずっとブラブラしていたのですが、通りすがりの猿が跳びついて重みに耐え切れず、遂に折れたのかもしれません。
枝が折れてバキバキッと落ちてくる瞬間はさすがに撮れていませんでした。
それでも、落下時刻が2022年9月20日の午後14:43とほぼ正確に推定できてしまいます。
遊動する成獣の後を追いかけるように赤ん坊の子ザルが懸命に走ってきました。
例の太い落枝の手前で立ち止まると、両手を掛けて後足で立ち上がりました。
子猿はキュルキュル♪と可愛らしい声で鳴きながら、落枝に素早くよじ登ると、すぐに天辺から林道へ大きくジャンプして跳び降りました。
好奇心旺盛で元気一杯な子猿の独り遊びはいつ見ても微笑ましいものです。
画角の右端ギリギリで座っていた母親の元へと子猿は駆け戻りました。
次に、子猿は林床から自分の背よりも高く育ったゼンマイ
の葉に興味を示すと、手で掴みました。(@0:37〜)
母親の真似をして食べたのではなく、自発的に戯れで口にしたように見えました。
葉を味見しても美味しくなかったのか、子猿の歯では噛み千切れなかったのか分かりませんが、結局ゼンマイの葉を食べませんでした。
その間、子猿のすぐ横で母親は林道に座り直すと、頬袋に詰めていた餌を取り出して食べました。
子ザルが近寄って来ても、食べ物を分け与えたりしません。(給餌しない)
逆に母猿は子猿を手で邪険に押しのけると、スギの落ち葉をかき分けて何か虫?を拾い食いしました。
成獣でもニホンザルがシダ植物を採食した例を私は観察したことがありません。
PDFで公開されている『ニホンザル採食植物リスト』を参照すると、驚いたことにゼンマイが含まれていました。
ゼンマイのどの部位を食べたのか、細かい情報を知るためには原著論文に当たらないといけないようです。
ヒトが山菜として食べるように、ニホンザルもゼンマイの芽や若葉が好きなのでしょうか?
三戸幸久. (2002). ニホンザル採食植物リスト. Asian paleoprimatology, 2, 89-113.今回の動画でゼンマイを味見したのは、子猿の気まぐれや遊びではなかったようです。