2022/12/05

水辺でシロカネグモ?を捕食吸汁するスジアカハシリグモ♀(蜘蛛)

 

2022年8月上旬・午後15:00頃・晴れ 

山中の池から流れ出る水路が林道を横切る地点に生えたミゾソバの葉の上にスジアカハシリグモ♀(Dolomedes silvicola)が乗っていました。 
触肢の形状から♀と分かります。 
(ただし、体長を採寸していませんし外雌器を確認できていませんから、幼体の可能性もあります。)
餌食となったクモの腹部に牙を突き立てて体液を吸汁しています(体外消化)。 
獲物は既にクシャクシャに丸められた上に黒ずんでいてよく分かりませんが、腹背に白い縦筋が見えることから、水辺に水平円網を張るシロカネグモの仲間(アシナガグモ科)ではないかと思います。 
待ち伏せで獲物を狩る徘徊性クモが一体どうやって造網性クモを捕食できたのでしょうか? 
狩りの瞬間を見逃したのが残念です。 
脱皮中に襲われたのかな? 
ミゾソバの葉をよく見ると、葉から葉へ白い糸が張り巡らされています。 
スジアカハシリグモの住居に繋がっているのか、あるいは獲物となったシロカネグモ?の水平円網の枠糸かもしれません。 

動きに乏しいと動画ブログのネタになりません。 
私がそっと指を近づけると、スジアカハシリグモ♀は獲物を咥えたままミゾソバの葉裏に回り込んで逃げました。 
もう一度クモを葉表に来させようと、葉裏側に指を差し入れたら、うっかり獲物を弾き飛ばしてしまいました。 
カメラのバックモニターを見ながらだったので、遠近感の目測を誤りました。 
ミゾソバの葉表に来てくれたスジアカハシリグモ♀は空荷です。 
食事中に邪魔をして、すまんすまん。
実は近くにもう1匹別個体のスジアカハシリグモ♀を見つけました。

2022/12/04

ツキノワグマの毛に大量の「ひっつき虫」:種子の動物散布【トレイルカメラ:暗視映像】

 


タヌキとアナグマの溜め糞場sがあるスギ林道を自動撮影カメラ(トレイルカメラ)で見張っていると、夜にツキノワグマUrsus thibetanus)が通りかかりました。 

シーン1:8/16・午後19:37・気温23℃ 
林道を右から歩いてきた熊がカメラの存在に気づいたようです。 
全身の体毛には「ひっつき虫」が多数付着しています。 
素人目には痩せて見えますけど、若い個体なのかな? 
カメラを固定してあるスギの幹の匂いを嗅ぐと急に警戒しました。 
慌てて身を翻すと林道を横切り、画面奥の斜面を下って姿を消しました。 
人工物やヒトの残り香を嗅ぎ取って恐れをなしたのでしょうか。 


※ クマが藪に逃げ込む前半のみ動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

シーン2:8/18・午後18:33・気温21℃(日の入り時刻は午後18:32) 
2日後の日没直後に再びツキノワグマが写りました。 
現場は里山の東斜面なので、公式の日の入り時刻より数時間前には太陽が山の陰に隠れて暗くなります。 

どこから来たのか、登場シーンが撮れていません。
クマがいきなり画面右端で右を向いて佇んでいました。 
ゆっくり振り返りましたが、カメラに気づいていないようです。 

2日前の個体とは明らかに異なります。 
赤外線で白く光る目が小さく、特に右目は失明しかけている気がします。 
頭頂部に白い毛が目立つ…と思いきや、ただの付着物(葉っぱ?)でした。 

トレイルカメラを設置してあるスギの根元にノシノシと近づいてきます。 
カメラの真下でしばらく立ち止まってから姿を消しました。 
林道法面の崖の土を舐めてミネラル摂取しているのではないか?と想像しているのですけど、証拠映像を撮るには林道の反対側にも監視カメラを設置する必要があります。 

2頭とも、林道上の溜め糞には全く興味を示しませんでした。 

この個体も全身の毛皮に大量の「ひっつき虫」が付着しています。 
開けた林道を歩くだけでなく、頻繁に薮漕ぎしながら獣道を移動していることが伺えます。 
食べ物を探し歩いているツキノワグマは、毛繕いで「ひっつき虫」を取り除く暇が無いのでしょう。 
種子散布に動物を利用している(動物散布)植物がいわゆる「ひっつき虫」です。
種子散布の本にはそのように書いてあるのですが、私には納得できないことがあります。
遠くに運ばれた後に動物の体から離れて地面に落ちないと種子は発芽できません。
運搬してくれた動物が死ぬまで待つしかないとなれば、かなり効率の悪い方法ではないでしょうか。
体に付着した種子を毛繕いで器用に取り除いて地面に捨ててくれる動物はいるのでしょうか?
ニホンザルなら手先が器用ですし、頻繁に相互毛繕いをするので有り得そうです。
毛繕いしながらひっつき虫の種子を次々に食べて、糞として排出された種子が発芽するのかな?
それとも、動物の体に付着するしくみ(トゲトゲや粘り気など)が自然に失われて種子が地面に落ちるのでしょうか?


クマの大きさと見比べる比較対象として、カメラの対面に写っているスギ大木の胸高周囲長(地上からの高さ130cmでの幹回り)を紐で測ってみると約190cmでした。 
これを円周率πで割ると、胸高直径は60.5cmと算出されます。

溜め糞に集まる食糞性昆虫の夜の活動を現地でじっくり調べたいのですが、クマが昼も夜も出歩いている事実を知ってしまうと無理そうです。


柳の樹洞に籠城するコクワガタ♀にしつこく求愛する♂

 

2022年8月上旬・午後15:15頃・晴れ 

河畔林に自生する柳(種名不詳)灌木にある樹液酒場を定点観察しています。 
柳の枝にはノブドウの蔓が巻き付くようになりました。 
ヒトの手首の太さぐらいの枝に小さな穴(ミニ樹洞)が開いていて、傷口から樹液が滲んでいました。 
その穴にコクワガタ♂(Dorcus rectus rectus)が潜り込もうとしつこく悪戦苦闘しています。 
樹液酒場や昼間の隠れ家(塒)を巡る占有行動なのかと初めは思ったのですが、穴の中に同種の♀が潜んでいることが分かり、ようやく♂の目的が飲み込めました。 
籠城する♀に対して♂は攻撃的に排除したい訳ではなく、ただ交尾したいだけのようです。

この♂個体の大顎は微妙に左右非対称でした(長さが左<右)。
泥であちこち白く汚れた鞘翅をよく見ると、小さな凹みがありました。
これはライバル♂との闘争で大顎に挟まれた跡なのかな?

しばらくすると穴の主(先客)がようやく入口に顔を出してくれて、大顎の短いコクワガタ♀と判明。 
小さな大顎や胸背に柳の白い樹液がべっとりと付着しています。 
♀はすぐに穴の中へ戻りました。
♀の隠れ家兼餌場に♂が潜り込んで交尾しようとしているのです。 

柳の穴に頭だけ突っ込んでいたコクワガタ♂が一旦諦めました。 
枝上で360°ぐるっと方向転換してから、再び♀宅に突撃。 
もしこのシーンだけを見ていれば、周囲を油断なく警戒してライバル♂から♀を守ろうとする配偶者ガードと思うかもしれません。 

♀は交尾拒否の意思表示として、♂を穴の入口から頑として締め出しています。 
明るい昼間は交尾する気にならないのかな? 
♀が♂の求愛を受け入れたら穴の外に出てきて♂との交尾が始まるのでしょうか? 

♀の隠れ家兼餌場に力任せに押し入ろうとするだけでは余りにも芸がありません。 
穴の入口が狭いのなら広げる工夫をすれば良いのに…と傍目にはもどかしく思うのですが、コクワガタ♂の大顎は木工道具としては使えないのでしょうか? 

♂の執拗な求愛が成就したのか、最後にようやく♂が穴の中に体を入れることが出来ました。 
長い攻防戦の末に♀が根負けして穴の奥に引っ込んだのか、交尾を受諾したようです。 
しかし狭い穴の中で交尾は可能なのかな? 

三脚を持参していればこの後も微速度撮影で監視したかったのですが、穴の中は暗くて見えませんし、手持ちカメラでの長撮りに私は疲れてしまいました。


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