2021/12/06

ホツツジの葉から飛び立つヨコジマオオハリバエ

 

2021年9月上旬・午後12:40頃・くもり 

里山の尾根道沿いに自生するホツツジの灌木でヨコジマオオハリバエTachina jakovlevi)が葉の上で休んでいました。 
ハリバエの名前の通り、腹部から長い剛毛がツンツンとハリネズミのように立っています。
身繕いでもするかと思い動画を撮り始めたものの、すぐに飛び去ってしまいました。 


2021/12/05

山道の溜め糞を匂っただけで通り過ぎるホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年9月上旬・午前2:12・気温11℃ 

里山の山道に設置した無人センサーカメラ(トレイルカメラ)の前を深夜に横切るホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の姿が撮れていました。
前回の記事:▶ 夜の山道で溜め糞に排便するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】
4日前にはこの溜め糞(画面中央)で排泄したのに、今回はなぜか匂いを嗅いだだけで通り過ぎました。 
縄張り内で異常が無かった溜め糞では排便しないのかな? 
糞によるタヌキ同士のコミュニケーションを調べるには、タヌキの個体識別ができるようにならないといけません。 
同一個体か別個体か分かりませんが、前回と今回は山道をパトロールする方向も逆でした。 

【追記】
今泉忠明『動物たちの可愛いウンチ』を読み返すと、「タヌキは共同トイレを使用」という章がありました。
・タヌキは尾根道など比較的開けたところに溜糞をすることが多い(p190より引用)
・タヌキは糞の山が自分たちのものであろうとなかろうと、共同トイレを利用する(p192より)
・見知らぬタヌキの糞があると、最初は15〜30秒も嗅いでいる。自分の糞に関しては2〜5秒がふつうだから、きわめて興味をもって嗅いでいる(中略)次の回からは興味は急激に薄れ、2、3回目からは自分のものとの時間差はなくなる。(p192より)
・1頭のタヌキは、自分の行動圏内にほぼ10ヶ所の溜糞をもっている(中略)1つの溜糞を複数のタヌキが利用しており、季節によって使用する頻度が異なり(p193より)
・行動圏はお互いに重なりあっており、それぞれの溜糞のうちのおよそ4割を共有している。(p194〜195より引用)


【追記2】
以下の写真はトレイルカメラによる動画撮影から10時間後に私が現場に来たときの溜め糞cの様子です。
新鮮な糞は残っておらず、古い糞は生物分解が進んでほとんど原形を留めていません。
地面に黒い染みのような跡が残っていました。

溜め糞の横にキノコが育っていました。
獣糞や死骸の近くに生えてくるキノコ(アンモニア菌など)があるらしいので、これから勉強していきます。
溜め糞を栄養にキノコが成長する過程を微速度撮影してみるのも面白そうです。






逆風に負けず獲物を運び上げ配電盤の巣に貯食するエントツドロバチ♀

 

2021年9月上旬・午前10:40頃・くもり・強風 

山間部の農村で獲物を抱えて運んでいるエントツドロバチ♀(別名オオカバフスジドロバチ;Orancistrocerus drewseni)を見つけました。 
3階建て民家の北に面した白い外壁の2階部分に配電盤が並んでいて、一つの箱の内部に泥巣があるようです。 
初めは営巣地(配電盤)の直下(右下)に蜂が止まっていたのですが、滑落しました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
白壁の表面はザラザラしているのに、獲物が重いせいか垂直の外壁を登れずに滑り落ちたようです。 
地面に激突する前に空中で体勢を立て直したものの、この日は風が強く吹いていました。 
蜂は車道まで逆風に押し戻されてしまいました。 
舗装された車道に着陸すると、風が止むまで休息。 

ようやくズームインしてじっくり観察することが出来ました。 
エントツドロバチ♀は仰向けにした白いイモムシの腹端付近を大顎で咥え、前後逆向きにして脚で抱えていました。 
蜂の大顎は動いていないので、獲物を噛みほぐして体液を吸汁しているのではなく、運搬のために咥えているだけでしょう。 
エントツドロバチ♀はメイガ科やハマキガ科の幼虫を狩ることが知られています。 
獲物は毒針によって全身麻痺していて無抵抗です。 
獲物の種類を知りたいところですが、私には分かりません。 
白っぽいイモムシの背面がやや赤味がかっていました。 

エントツドロバチ♀は路上で左右の後脚・中脚を互いに擦り合わせて身繕いしています。 
疲労が回復したようで、今度は獲物を引きずって営巣地の方へ歩き始めました(前進)。 
飛べなくても少しでも巣に近付こうとする心意気はあっぱれです。 
ようやく獲物を抱えて飛び立ちました。 
3階建ての高さがある民家に近づくとビル風のような乱流に巻き込まれるようで、蜂はなかなか壁面に着地できません。 
やはり獲物が重過ぎるのでしょうか?(空輸重量超過) 
それでも諦めずに何度もアプローチを繰り返しています。 
遂に営巣地の直下にある配電ボックスの上に着陸しました。 
羽ばたく推力を利用しながら白いケーブル(古い電話線?)を辿って登り、配電盤の底面にあるケーブル穴に潜り込みました。 
獲物と一緒にエントツドロバチ♀は頭を先に入巣しました。 
エントツドロバチ♀が獲物を巣に搬入するシーンを観察するのは久しぶりです。
関連記事(9、11年前の撮影)▶  
エントツドロバチ♀が泥巣に芋虫を搬入 
エントツドロバチの貯食活動
中にある泥巣の育房に獲物を貯食しているはずです。 
エントツドロバチは珍しい亜社会性の蜂ですから、卵が孵化した後も新鮮な獲物を次々と巣に運び込んで幼虫に与えます。 
この方式を随時給餌と呼びます。 
それに対して、他の多くの非社会性(単独性)ドロバチ類は一括給餌を行ない、母子が直接対面することはありません。 

次に私は蜂が出巣する瞬間を見落とすまいと、巣口にカメラを向けたまま待ち構えました。 
しかし辛抱強く長撮りしても空振りに終わりました。 
疲労困憊した蜂は巣内で休んでいるのかもしれません。 

驚いたことに、しばらくすると空荷のエントツドロバチ♀が飛来して同じ配電盤の穴から中に潜り込みました。 
入巣ルートも先程とほぼ同じで、配電盤から伸びる白いケーブルにしがみついて着陸すると、そのケーブルをよじ登り、入巣しました。 
もしこれが先程の蜂と同一個体だとしたら、配電盤にどこか別の出口があることになります。(私が出巣を見逃した。) 
別個体だとしたら、配電盤内で複数の♀が共同営巣(集団営巣)していることになり、それはそれで興味深い事例になります。 
単為生殖するエントツドロバチに雄蜂♂は居ないことになっているので、2番目の個体が雄蜂♂である可能性は除外できます。 

民家の壁に向かってカメラを長時間向けている私の姿はいかにも怪しいので、残念ながら観察を打ち切って立ち去りました。 
この家の住人にエントツドロバチの巣の存在を知らせてしまうとすぐに駆除されてしまいそうなので(藪蛇)、蜂のために黙って立ち去りました。

ちなみに、過去にも配電盤の中で営巣しかけたエントツドロバチを見かけています。
関連記事(13年前の撮影)▶ 配電盤が気になるエントツドロバチ♀

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