2021/08/12

獲物のゴキブリを巣に運ぶコムクドリ♂(野鳥)

 

2021年6月上旬・午後15:50頃・晴れ
前回の記事(同じ場所で1ヶ月前に撮影):▶ 電線に離れて止まるコムクドリの♀♂つがい(野鳥)

街なかの交差点付近で耳障りな警戒声をけたたましく鳴き続けるコムクドリ♂(Sturnus philippensis)が居ました。 
よく見ると、嘴に何か虫を咥えています。 
狩ってきた獲物を巣で待っている雛に給餌するために帰る途中だと分かりました。 
獲物の正体は黒いゴキブリの成虫でした。 
ゴキブリは既に死んでおり、暴れていません。 
触角が長く有翅なので、クロゴキブリまたはヤマトゴキブリ♂(Periplaneta japonica)のようです。 

コムクドリ♂はゴキブリを咥えたまま、ギーッ、チョッ♪と耳障りな声で繰り返し鳴き続けています。 
喉の動きと鳴き声が同期(リップシンクロ)しているので、この個体の警戒声で間違いありません。 
アカマツの樹上や電線、電柱の支線などを落ち着き無く飛び移り、ひたすら鳴き騒いでいます。 
繁殖期の野鳥は巣の位置をヒトに知られることを嫌がります。 
帰巣の瞬間を私に見られたくないのでしょう。 
コムクドリ♂の気持ちが分かった私は後半から少し後退して距離を取ったのですが、駄目でした。 
過去の撮影経験から「このぐらい離れたら帰巣・給餌してくれるだろう」と思うぐらい離れたのに、この♂個体は警戒を解かず、頑として帰巣してくれませんでした。 
撮影アングルを変えたら風切り音と車の走行音がうるさくて、コムクドリの鳴き声(警戒声)は聞こえにくくなってしまいました。 

電線に止まっている際に白い液状便を排泄したのは苛立ちの現れでしょうか。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。(@1:42) 
その後に等倍速でリプレイ。 

民家の庭に植栽されたアカマツの樹洞に営巣しているのかと初めは予想したのですが、どうやら違うようです。 
巣で待つ雛の鳴き声(餌乞い♪)も聞こえませんでした。 
親鳥♂の警戒声は「今は危ないから、居場所が敵にばれないように絶対鳴くなよ!」と雛鳥に命じているのかもしれません。 

交差点の真上を通る電線に止まり直したコムクドリ♂は、遂に帰巣を諦めたようです。 
その場で獲物のゴキブリをバリバリと食べてしまいました。(@7:52) 
食後は汚れた嘴を足元の電線で念入りに拭っています。 
獲物を食べ終えた後も警戒声♪は止めません。 
やはり巣が交差点のすぐ近くにあるのでしょう。 
ヒトに巣の位置を絶対に知られたくないというコムクドリ♂の強い決意・執念に感銘を受けました。 
出前やUberEatsの配達人が配達中に食べ物を勝手に食べてしまったのなら大問題ですが、今回のコムクドリ♂の行動はおそらく私のせいです。

道路沿いの民家の壁面にフード付き排気口が3つ並んでいます。 
その奥の天井裏で営巣しているのかな? 
壁の真ん中にあるフード付き換気扇口も怪しく見えます。 
いずれかの穴に親鳥が飛び込むことを期待したのですが、私がちょっと目を離した隙に、親鳥は電線からどこかへ飛び去ってしまいました。 
コムクドリの営巣地は分からずじまいです。

 
ゴキブリ食後のコムクドリ♂@電線


2021/08/11

コガタスズメバチの古巣を切断して内部構造を調べよう

 

2021年8月上旬
前回の記事:▶ 飛べ!ギンモンシマメイガ:室内に発生した寄生蛾の謎【HD動画&ハイスピード動画】

昨年の晩秋に採集したコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣にギンモンシマメイガPyralis regalis)が寄生していた可能性が出てきたので、古巣の標本を半分に切って内部を調べてみましょう。 
営巣木は平地のテマリカンボク。 
採集した古巣の表面に透明ラッカーを塗布したまま室内で保管(放置)していたのです。 


巣全体は縦にやや細長い卵型で、短径は約15cm、長径(高さ)は約20cmでした。 
ノコギリを使ってコガタスズメバチの古巣を慎重に半分に切断しました。
切断作業中に巣全体がグズグズに崩れるのではないかと心配だったのですが、意外ときれいに一刀両断することができました。 
予め外皮にクリアラッカーをスプレーで何度も繰り返し噴霧していたので、脆い外皮が糊で固められたように強化されていたのです。 
巣の表面に見える照かりはクリアラッカーのせいです。 

巣内を調べると、逃げ遅れたコガタスズメバチ成虫(新女王)の死骸は1匹もありませんでした。 
巣の縦断面を見ると巣盤は3層あり、頑丈な巣柄で縦に連結されています。 
それぞれの巣盤は正六角形の育房のハニカム構造で形成されています。 
育房は全て空っぽでした。 
白い繭キャップはワーカー♀によって取り除かれています。 
巣盤全体を覆う外皮は多層構造になっていて、高い断熱性能が伺えます。 
巣の側面に開いた唯一の巣口に至る通路は滑らかに加工されていました。 
これだけ精緻な建造物をコガタスズメバチ♀は樹皮のパルプから作り上げていて、何よりも巣全体が驚くほど軽いです。(重量も測定すべき)  

予想に反して、巣内に寄生蛾(ギンモンシマメイガ)幼虫による食痕は特に見当たりませんでした。 
手で巣を崩しながらこの点を徹底的に調べるべきなのですが、半分に切った巣をそのまま標本として残したいので、今回はざっと見るだけに留めました。 
多数のギンモンシマメイガ幼虫に食い荒らされた巣はこうなります。↓
関連記事(12年前の撮影)▶ コガタスズメバチの巣に寄生する蛾の幼虫

巣の内部にも改めてクリアラッカーを数回塗布し、防虫剤(ナフタレン)と一緒に容器に入れて保管します。 
シリーズ完。

池の岸で鳴き続けるモリアオガエル♂♪

 

2021年6月上旬・午後18:10頃・晴れ 

里山の山腹にある小さな池Lは初夏になるとガマなどの抽水植物が繁茂するようになりました。 
水深は浅く、緑の藻でひどく濁っています。 
モリアオガエル♂(Rhacophorus arboreus)がひたすら鳴き続ける声が響くので辺りを探すと、ようやく鳴き声の主を見つけました。 
夕方の薄暗い時間帯なので、手持ち夜景モードで動画撮影しました。 
皮膚の質感がザラザラで、虹彩の色が赤茶色ですから、シュレーゲルアオガエルではなくモリアオガエルと分かります。 
体は水に浸かっておらず、完全に上陸している状態です。 
池の水面の方を向いて座っていました。 
額になぜか白い泥のような汚れが付着しています。 

白い喉の鳴嚢を大きく膨らませてカララ…カラララ…♪と乾いた声で鳴き、たまにクーワッカッカッカッカ…♪という鳴き方を交えます。 
鳴く瞬間は口も鼻腔も閉じています。 
鳴き終わると鼻腔が開いて鼻呼吸しています。 
鳴く合間にも喉をヒクヒクと伸縮させ細かく震わせています。 
近くにもう1匹同種の♂がいるようで(未発見)、互いに鳴き交わしていました。 
それぞれの♂が岸辺で縄張りを宣言し、抱接相手の♀を呼び寄せているのです。 
薄暗くても白い鳴嚢が膨らむとよく目立ちます。 
鳴き声を頼りに集まって来る♀は、最後は♂の白い鳴嚢を目印にして近寄ってくるのではないかと想像したくなります。 

最後モリアオガエル♂は岸辺から池の中に飛び込んだのですが、その瞬間を撮り損ねてしまいました。 

せっかく♀を呼ぶために鳴いていたのに、結局この池にモリアオガエルの♀はやって来なかったようです。 
後日に池Lを再訪してもモリアオガエルの泡巣は見当たりませんでした。 
そもそも池Lの岸には産卵に適した(枝が水面に張り出した)灌木が全く生えていないのです。 
(辛うじて生えているのはアカマツ幼木のみ) 
抽水植物ガマの茎や葉に産卵するかと期待したのですが、そこにも泡巣は作られていませんでした。 
繁殖池として適さない場所で♂がいくら鳴き続けても、♀は産卵に来てくれません。 
ここを選んだ♂の判断ミスです。 

モリアオガエル♂の鳴き声を声紋解析してみる?

 

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