2020/01/18

川で潜水漁の後に倒木に登って羽繕いするカワウ(野鳥)



2019年5月上旬・午後・晴れ(風が強い)

川面を下流へ向かって泳いでいたカワウPhalacrocorax carbo hanedae)が魚を捕るため水中に潜りました。
どこに浮上したのか、見失ってしまいました。
近くでは別個体αがニセアカシアの倒木に乗って(下流を向いて)休んでいました。

私がアングルを変えて倒木の全景を撮っていると、左の方からもう1羽βが川面を横切るように倒木の方へ渡って来ました。
途中で漁のために潜水しました。
倒木のすぐ手前(上流側)で浮上したβは、水面から倒木にピョンと飛び乗りました。
倒木上でαの右隣りに少し離れて並ぶと、すぐに羽繕いを始めました。

倒木の背後(下流側)の川面に浮いている鴨は、おそらくコガモ♀♂の群れだと思います。




【追記】
ウの語源について面白い話を知りました。
中公新書 可児弘明『鵜飼―よみがえる民俗と伝承』によると、
ヨーロッパでウを意味することばは、(中略)語源的には同じものであり、ラテン語のcorvus(カラス)とmarinus(海)からできたことばで、“海にいるカラス”の意味である。(中略)英語のコーモラントcormorantはフランス語の改作である。(中略)日本ではウに漢字の鵜をあてる。鵜はもともと中国でペリカンをあらわす文字であったが、日本で誤ったまま使われているうちに、鵜はウの意味で通用するようになった。 (p17〜18より引用)

カワウ(野鳥)@川:倒木
カワウ(野鳥)@川:倒木
カワウ(野鳥)@川面遊泳
カワウ2(野鳥)@川:倒木+羽繕い+羽根乾燥
カワウ2(野鳥)@川:倒木+羽繕い

跳んで羽ばたくショウリョウバッタ♀【ハイスピード動画】



2019年8月下旬・午後15:30頃


▼前回の記事
舗装路で産卵を試みるショウリョウバッタ♀

ショウリョウバッタ♀(Acrida cinerea)が舗装路で産卵していることに気づかなかった私は、跳んで逃げるシーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
三脚に固定したカメラで狙いを付けてから私が歩み寄ると、ショウリョウバッタ♀はまず後脚を引き寄せて跳躍の準備体勢になりました。(逃げる気満々)
更に私が近づくと、長い後脚で力強く地面を蹴ってから翅を広げて羽ばたきながら飛び去りました。
ちなみに♂のショウリョウバッタは飛びながら「チキチキチ……♪」と発音することが知られています。
♀は鳴かないのですが、どのみちハイスピード動画では残念ながら録音されません。
仮に鳴いたとしても、おそらく近くを流れる川の水音で掻き消されてしまったでしょう。

舗装路の横の芝生に着陸したので、もう一度撮影を繰り返します。
画面の中央に居るショウリョウバッタ♀が視聴者の皆さんには見えますか?
緑色型のショウリョウバッタ♀は周囲の芝生に完全に溶け込んでいます。(見事な保護色)
バッタの背後から右手を差し出すと、警戒して飛んで逃げました。

後半は逃避行動を更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(実際の動きに対して1/40倍速のスローモーション)


▼関連記事(3年前の撮影:褐色型♀)
ショウリョウバッタ♀の跳躍と飛翔【ハイスピード動画】


【追記】
内田正吉『減るバッタ増えるバッタ―環境の変化とバッタ相の変遷』という本を読みました。
筆者は生物地理学(動物地理学)や生態地理学の観点から調査し、それをまとめた本なのですが、私の琴線に触れたのは、「ショウリョウバッタはなぜハの字型なのか?」という余談です。
日本産バッタの大部分の種は、静止している時には、後脚は腹部に密着するようにしている。ところが例外的に、静止しているときにも後脚を腹部から離しているバッタがいる。(中略)それは、ごく普通に見られるショウリョウバッタである。(p66より引用)
ショウリョウバッタモドキが静止している時は、常に後脚を腹部に接している。一方、ショウリョウバッタは後脚を腹部に接することはなく、「ハの字型」をしている。(p68より引用)
そして筆者は次のような仮説を提示しています。
ショウリョウバッタの成虫、特に♀の成虫は、高茎のイネ科植物の葉を食べる修正がある。(中略)ショウリョウバッタは、イナゴのように直立している茎につかまることはできない。また、ショウリョウバッタは、特に♀では体が大きいので植物上に乗るのは工夫が必要だ。そこで、脚を四方に広げることで、重たい体重を少しでも分散させ、下に落下する危険性を少なくしているのではないだろうか? (p71-72より引用) 


確かに言われてみれば、ショウリョウバッタの後脚はガニ股でハの字型に開いていました。
こういう素朴な疑問をエボデボで真面目に研究してみると面白いかもしれません。
発音行動や求愛、交尾の際に後脚がガニ股でないと困る、という別の可能性も考えられます。



2020/01/17

収穫後の畑に捨てられたトウモロコシを拾い食いするハシボソガラスとスズメの群れ(野鳥)



2019年8月下旬

▼前回の記事
トウモロコシ畑を守る鳥害対策グッズ類

トウモロコシ畑の右半分が収穫され、根元から刈り取られていました。
収穫後の区画で2羽のハシボソガラスCorvus corone)が採食していました。
トウモロコシの枯れ葉を嘴で次々にめくって餌を探しています。
隠れている虫を捕食するのかと思いきや、地面に転がっている(捨てられた?)トウモロコシの穂を見つけると、足で押さえつけながら黄色い穀粒を美味そうに啄み始めました。

警戒心の強いスズメPasser montanus)の群れも、カラスの様子を見て安全確認すると、収穫後のトウモロコシ畑に次々と舞い降りて採食を始めました。

このトウモロコシ畑には以前から2種類の鳥害対策グッズが設置してありました。
鷹がプリントされた鳥よけカイトが竿から吊り下げられていますが、この日は無風なので動きがありません。
期待された鳥よけ効果が全く失われ、その下でハシボソガラスやスズメが平気で落穂拾いしています。
カイト(凧)が畑に長期間設置されたままだと、鳥も虚仮威しだと学習して怖がらなくなってしまうのかもしれません。

手前の地面にはハシブトガラスを模した黒いプラスチック模型が転がっていました。
トウモロコシの収穫と共に、お役御免になったようです。(以前はカイトと同じく竿から吊り下げられていました。)
カラス模型の近くでハシボソガラスとスズメが採食(落穂拾い)しないということは、若干の鳥よけ効果が残っているのかな?
撮影している私に対して警戒し距離を取っているだけかもしれません。

ちなみに、このトウモロコシ畑は全体が電気柵で囲われていますが、これは野生動物(哺乳類)が入って来られないようにするための対策です。
鳥は空から飛来するので、電気柵では防鳥効果が期待できません。

畑の左半分は収穫前のトウモロコシ畑が残っているのに、野鳥が餌の豊富な収穫前の区画に侵入して食害しないのは不思議でした。
私が見ている間は遠慮しているのかもしれません。
もしかすると、収穫前のトウモロコシ畑は穂に未だ種が育って無くて、鳥にとって魅力が無いのでしょうか?
収穫前のトウモロコシ畑に回り込んでよく見ると、もう一つの鳥よけカイト(鷹型)が守っていました。


ハシボソガラス2(野鳥)@収穫後トウモロコシ畑+採食
鳥よけグッズ:カラス模型@収穫後トウモロコシ畑
鳥よけカイト(鷹型)@収穫後トウモロコシ畑:無風

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