2018/08/04
便秘に苦しむオビカレハ(蛾)幼虫はどう対処するか?
2018年5月中旬
里山を下山中、ミズナラの灌木に多数のオビカレハ(Malacosoma neustrium testaceum)の若齢幼虫が白い糸をテントのように張り巡らせた巣を見つけました。
通称「天幕毛虫」と呼ばれています。
巣の上で共同生活・徘徊している幼虫の群れを動画で記録してみると、ちょっと面白い排便シーンがたまたま撮れていました。
巣の一番左に居る個体が腹端から黒い糞を排泄し始めました。(@0:05〜)
ところが糞はいかにも乾いていて固そうで糞切りが悪く、「金魚の糞」のように肛門に付着したままです。
私のこれまでの飼育経験上、この症状は食草(食樹植物)の水分含有量が少ないときに見られ、葉に水を霧吹きしてやると回復します。
便秘に苦しむ幼虫がどうするかと思いきや、長い体をCの字に曲げ、なんと肛門から自分の糞を口で取り除き、巣の外へポイと捨てました! (@0:41)
私も色々なイモムシ・毛虫を飼育観察してきましたが、これまで見たことがない行動に驚きました!!
「すげー。毛虫もこんな頭の良い?行動ができるんだ!」
例えば金魚は脊椎動物なのに、切れない糞を自分で始末することが出来ないから「金魚の糞」状態になるのです。
幼虫は肛門付近の違和感を自覚していることになります。
密生した体毛の触覚なのかな?
腹端を巣や枝に擦り付けて糞を落としても良さそうなのに、そのような行動はしませんでした。
天幕毛虫の巣をよく見ると、多数の幼虫が排泄した黒い糞が幾つも白い絹糸で巣に編み込まれていました。
ところで、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、オビカレハ幼虫の巣の左上に一匹の怪しげなハエがずっと居座っています。
一体何が目的なのでしょう?
つづく→オビカレハ(蛾)若齢幼虫に産卵する寄生ハエ♀
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
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春の田んぼを歩いて採食するキジ♂(野鳥)
2018年5月中旬
▼前回の記事
・田起こし後の畦道で縄張り宣言の母衣打ち♪を繰り返すキジ♂a(野鳥)
・キジ♂aが畦道で羽繕いし、耕された田んぼを歩いて採食(野鳥)
田起こしが進む広大な田んぼで、もう一羽のキジ♂b(Phasianus versicolor)を見つけました。
耕された土を歩きながら喋んで採食しています。
ときどき立ち止まっては辺りの縄張りを見渡しています。
一段高い畦道に登り、いかにも縄張り宣言の母衣打ちをしそうな雰囲気だったのに、私の存在に気づいてしまったようです。
勇ましくケンケーン♪と鳴く気が削がれてしまった様子が手に取るように分かりました。
畦道から隣の田んぼに降りて死角に消えました。
私も急いで回り込んで撮影アングルを確保しようとしたものの、キジ♂bの姿を見失ってしまいました。
隣り合う縄張りで♂同士が牽制し合って鳴き交わす様子を動画に撮りたかったのに、残念でした。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2018/08/03
泡巣を作るシロオビアワフキ幼虫【60倍速映像】
2018年5月中旬・午後19:07〜22:37・室温22.9℃→21.4℃
庭の片隅に小さな赤い花を咲かせるバラの灌木があります。(品種名は知りません。)
トゲだらけの若い枝に白くて大きな泡が付着していました。
これはアワフキムシの仲間の幼虫が作った泡状の巣に違いありません。
夕方に枝ごと採取し、花瓶に水差しにしました。
白い泡巣の水分をティッシュペーパーでそっと拭き取ると、予想通りシロオビアワフキ(Aphrophora intermedia)の幼虫が数匹潜んでいました。
露出した幼虫の体に触れると嫌がって逃げ出します。
泡巣の再形成を微速度撮影してみました。
これは私が前々からやってみたかったテーマです。
60倍速の早回し映像をご覧下さい。
泡巣を別々の場所で作り始めた2匹を同時に撮影してみることにしました。
意外にも、みるみるうちに泡巣が大きくなりました。
口吻を茎に突き刺して吸汁しながら腹端を上下に動かし、排泄した尿を泡立てます。
途中から2つの泡巣が合体してしまいました。
白い泡巣で自分の体が隠れると、中の幼虫は落ち着きました。
次回は、植物の茎を色付き水に挿してカラフルな泡巣を作らせてみるという定番の実験も試してみたいです。
【おまけの映像】
早回し速度を落としたバージョンをブログ限定で公開しておきます。
↑30倍速映像。
↑10倍速映像。
シロオビアワフキ幼虫@バラ茎:露出 |
シロオビアワフキ幼虫@バラ茎:露出 |
シロオビアワフキ幼虫@バラ茎:露出 |
シロオビアワフキ幼虫@バラ茎:泡巣再形成後 |
【追記】
石井誠『昆虫のすごい瞬間図鑑: 一度は見ておきたい!公園や雑木林で探せる命の躍動シーン』を読むと、「幼虫がすむ泡の巣 シロオビアワフキ」と題して数々の見事な生態写真が見開きで掲載されていました。
これほどの防衛対策をしても、天敵のヤニサシガメが泡の中へ口を差し込み、食べられてしまうこともある。(p162より引用)
実際の捕食シーンの証拠写真が無かったので、疑り深い私は自分で探してみたくなりました。
飼育下で実験できるかもしれません。
泡巣を突破できる捕食者にとって泡自体が目印になってしまうと、シロオビアワフキ幼虫は全滅してしまうのではないでしょうか?
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