2018/08/03

泡巣を作るシロオビアワフキ幼虫【60倍速映像】



2018年5月中旬・午後19:07〜22:37・室温22.9℃→21.4℃

庭の片隅に小さな赤い花を咲かせるバラの灌木があります。(品種名は知りません。)
トゲだらけの若い枝に白くて大きな泡が付着していました。
これはアワフキムシの仲間の幼虫が作った泡状の巣に違いありません。

夕方に枝ごと採取し、花瓶に水差しにしました。
白い泡巣の水分をティッシュペーパーでそっと拭き取ると、予想通りシロオビアワフキAphrophora intermedia)の幼虫が数匹潜んでいました。
露出した幼虫の体に触れると嫌がって逃げ出します。

泡巣の再形成を微速度撮影してみました。
これは私が前々からやってみたかったテーマです。
60倍速の早回し映像をご覧下さい。
泡巣を別々の場所で作り始めた2匹を同時に撮影してみることにしました。
意外にも、みるみるうちに泡巣が大きくなりました。
口吻を茎に突き刺して吸汁しながら腹端を上下に動かし、排泄した尿を泡立てます。
途中から2つの泡巣が合体してしまいました。
白い泡巣で自分の体が隠れると、中の幼虫は落ち着きました。

次回は、植物の茎を色付き水に挿してカラフルな泡巣を作らせてみるという定番の実験も試してみたいです。

【おまけの映像】
早回し速度を落としたバージョンをブログ限定で公開しておきます。


↑30倍速映像。



↑10倍速映像。



シロオビアワフキ幼虫@バラ茎:露出
シロオビアワフキ幼虫@バラ茎:露出
シロオビアワフキ幼虫@バラ茎:露出
シロオビアワフキ幼虫@バラ茎:泡巣再形成後

【追記】
石井誠『昆虫のすごい瞬間図鑑: 一度は見ておきたい!公園や雑木林で探せる命の躍動シーン』を読むと、「幼虫がすむ泡の巣 シロオビアワフキ」と題して数々の見事な生態写真が見開きで掲載されていました。
これほどの防衛対策をしても、天敵のヤニサシガメが泡の中へ口を差し込み、食べられてしまうこともある。(p162より引用)
実際の捕食シーンの証拠写真が無かったので、疑り深い私は自分で探してみたくなりました。
飼育下で実験できるかもしれません。
泡巣を突破できる捕食者にとって泡自体が目印になってしまうと、シロオビアワフキ幼虫は全滅してしまうのではないでしょうか?
 

竹藪で虫を捕食するハシブトガラス(野鳥)



2018年6月下旬

郊外の交差点近くにある竹藪にハシブトガラスCorvus macrorhynchos)がバサバサと飛び込んで何か大型の獲物を捕らえ、すかさず歩道の手摺に止まり直しました。
狩りの決定的瞬間を撮り損ねたのが悔やまれます。
(映像はここから)
獲物の正体は不明ですが昆虫のようで、ハシブトガラスはまず翅を毟って捨てています。
緑色の細長い獲物はキリギリス類のように見えたのですが、定かではありません。
旨そうに平らげたハシブトガラスは、足元の手摺の鉄パイプに太い嘴を擦り付け、後ろ向きになり休息。
背後の竹藪にもう2羽のカラスが止まっています。

電柱(信号機のボックス)の陰に隠れてしまったので、私が横に少し動いてから撮影再開。
食休み中のハシブトガラスの半開きにした口の中が黒いので、成鳥と判明しました。
瞬きする度に目を白黒させているのは、瞬膜が白いからです。
最後は近くの河原の方へ飛び去りました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ハシブトガラス(野鳥)@竹藪→歩道手摺+昆虫捕食
嘴の中が黒いのは成鳥の特徴

2018/08/02

蛹化したばかりのナミテントウが背筋運動でアブラムシを撃退



ナミテントウの飼育記録#10



▼前回の記事
ナミテントウの蛹化【60倍速映像】

2018年5月下旬

蛹化したばかりで未だ黄色のナミテントウHarmonia axyridis)蛹aが自発的に背筋運動を繰り返す様子を動画で記録してみました。
ヨモギの葉表に固定した腹端を支点にして、ときどき上半身をぐいっと持ち上げています。
しばらくすると脱力してゆっくりと体を伏せます。
この個体は斜めに伸びたヨモギの葉に対して頭を下向きに蛹化したので、わざわざ重力に逆らって体を背筋で持ち上げていることになります。
背筋運動で起立する際に、腹部の下半身がプクッと膨らむことがありました。(@2:20)
この自発的な背筋運動にどういう意味があるのか、私には分かりません。(※追記参照)

こんな鮮やかな黄色で動いていたら天敵(捕食者)に対して目立って仕方が無いと思うのですけど、体内に毒を持っていることを示す警告色なのでしょうか?

ヨモギの葉を徘徊中のアブラムシが近寄って来たり這い登りそうになると、ナミテントウ蛹はパタパタと激しく背筋運動して追い払いました。(威嚇、撃退)
「変態中の蛹は死んだように動かないもの」という先入観を昆虫に対して抱いている人がいるかもしれませんが、テントウムシを飼育するとこれが覆されます。
蛹は移動性を失っているので天敵(捕食者、寄生者)に対して無防備ですが(逃げられない)、これだけ元気ならアリぐらいなら背筋運動で追い払えそうです。

つづく→#11:羽化前の眠でも微動だにするナミテントウの蛹RL【50倍速映像】




※【追記】
鈴木知之『さなぎ(見ながら学習・調べてなっとく)』でテントウムシの蛹について調べてみると、面白い解釈が書いてありました。
第4〜7腹節背面の前縁が大きく抉れ、ジン・トラップとなっている。蛹は赤と黒の警戒色で、成虫のように毒液は出しませんが、秘密兵器を備えています。(中略)蛹が通常の状態では腹脚の溝は開いていて、その溝に何者かが触れると腹部を伸ばすことで溝が閉じ、侵入者を挟みます。撃退対象はおそらく、寄生バチやアリでしょう。 (p50より引用)


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