2013年1月下旬
遊動する野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れを追って、つづら折れの林道を下りながら撮りました。
猿は雪深い林道の端を一列縦隊で足早に歩いて行きます。
深雪をラッセルするよりも誰かの踏み跡を付いて行くほうが猿も楽なようです。
(もちろん厳密に一列という訳ではなく、ときどき列を乱す個体もいます。)
ちらちらとこちらを見ては警戒を強め、最後は道を外れて横の杉林の斜面に続々と下りて行きました。
【追記】
今回はつづら折れの道で上から群れに近づいたので特に警戒させてしまったようです。
冬でも、斜面下方からの群れへの接近と、斜面情報からとでは、群れの反応はひどく違った。(『ニホンザルの生態:豪雪の白山に野生を問う』p201より)
2013年2月上旬
横殴りの吹雪が吹き荒れる日に、民家のベランダにヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)が繰り返し飛来していました。
何事だろうとよく見ると、物干し竿から干し柿がロープに吊るされています。
ヒヨドリはベランダの柵と干し柿を繰り返し往復して採食しています。
さすがのヒヨドリもロープには止まり難いので、ホバリングのように羽ばたきながら干し柿を一口毟りとっては止まり木に戻り飲み込んでいます。
実はすぐ近くの庭にカキノキがあるのですが、樹上の熟柿は既に野鳥が食べ尽くして無くなっていました。
盗み食いする様子を220 fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。
アクロバチックな食事風景をスローモーションでご堪能下さい。
ホバリングというよりも、足でロープに掴まりながら羽ばたいてバランスを保っているようです。
ヒヨドリの場合は、ハチドリや昆虫のスズメガ類のように長時間のホバリングはできない。長くてもせいぜい2〜3秒の間である。(『The Moment:自然の瞬間』p104より)
【追記】
『銀座のツバメ』p133によると、
ヒヨドリは羽ばたきながら空中に停止し、枝の先の細い所にある実も取ることができるが、ムクドリは枝伝いでしか実を食べられない。ヒヨドリに比べて不器用だ。
2013年2月上旬
山裾にある公園の隅で野鳥の古巣を見つけました。
潅木の上の方の枝の三叉になった部分(目測で高さ〜4m)に作られていました。
周囲の環境はアカマツと雑木林の疎林で、近くに沢も流れています。
雪深い冬季は閉鎖されている公園ですが、それ以外の季節は家族連れで結構賑わっています。
そんな場所で警戒心の強い野鳥が巣作りしていたとは意外です。
葉が茂っていれば意外に気づかれないのでしょう。
木によじ登って枝ごと古巣を採集しました。
巣の形状は高さ(深さ)6cm、長径8cm、短径6.5cmの楕円形。
巣材は枯れ草と苔で作られています。
枯れ草を枝に固定するのに白いビニール紐とクモの巣の糸が使われています。
産座の底がスカスカに抜けている点が気になりました。
使用済みの巣が風化(崩壊)しつつあるのか、未完成の作品なのか不明です。
せっかくなので記念に標本として保存します。
枝先に僅かに残った枯葉と翼果から、樹種がカエデの仲間と判明しました。
枝に赤い冬芽も付いています。
春になったら再訪して、葉の形状から更にしっかり樹種を突き止めたいと思います。※1
※1 イロハモミジと判明。
巣の形状、巣材、営巣環境などを元に「日本鳥の巣図鑑」サイトのデータベースを検索してみると、候補としてメジロとサンコウチョウがヒットしました。
同じ里山の雑木林で一度だけサンコウチョウ♂が鳴いている姿を目にしています。
しかし、こんな人気(ひとけ)のある開けた場所の低木でサンコウチョウが営巣するのは考えにくいと思います。
サンコウチョウの巣は底が尖ったカップ状らしい。
コケ類や枯葉をクモの糸で綴り合わせて作る。(『日本動物大百科4鳥類Ⅱ』p123より)
消去法でおそらくメジロ(Zosterops japonicus)の古巣だろうという結論に達しました。
確かに近くの雑木林で以前、巣材の苔を集めるメジロの姿を観察しています。
動画ネタではありませんが、忘れないうちに書き残しておきます。
色んなアングルで写真を沢山撮るよりも動画で記録する方が手軽だったかもしれません。