2013年3月上旬
野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れが谷川沿いの雪原を下流側へ大移動していました。
今まで見たことのない規模の大軍団を目の当たりにして興奮しました。
動物番組でよく見るアフリカのサバンナを大移動するヌーの大群を連想しました。
予算があればラジコンヘリを飛ばして空撮してみるのになーと圧倒されつつも指を咥えて見ていました。
ちなみに、この大雪原は夏になると一面の水田になります
カメラを横にパンしながら全景を撮っていると、顔馴染み?の白猿(アルビノ個体)を見つけました。
この群れの中に白猿は1頭だけなのか以前から気になっているのですが、もしかして2頭映っていますかね?
横にパンした映像を見直すと、116頭のニホンザルが登場しました。
猿が起伏の死角に入ったり群れの先頭部分を数え落とした可能性も高いため、群れ全体の総数は更に多くなるでしょう。
まさに「猿の王国」です。
※ (ニホンザルの)群れは10頭ぐらいから100頭以上のものまでありますが、積雪地帯では90頭が上限のようです。(『スノーモンキー』p152より)群れ全体の遊動する方向は歴然としていますが、秩序のある隊列ではなく各自が勝手気ままに移動しているようにも見えます。
追い駆けっこしている猿もいます。
雪原に残された踏み跡は入り乱れています。
猿にとってラッセルが苦にならない程度の積雪なのでしょう。
決まった小隊や分隊(家族、血縁集団)に別れて行動しているのか知りたいところですが、個体識別しないことには埒があきません。
『ニホンザルの生態:豪雪の白山に野生を問う』p146によると、
これまでいわれてきたような、群れの移動を常に誘導する、「リーダー」と呼べる特定の一頭のオトナの♂が存在しないことがわかる。また、常に移動の「斥候を勤める」特定の若い♂たちも実際には存在しない。移動開始の「合図」と呼べる明確な行動もない。『日本動物大百科2哺乳類Ⅱ』p12によると、
- 白山や上高地のように自然条件が厳しい多雪地域では、群れの一時的な分裂現象(サブグルーピングと呼ぶ)が積雪期に観察される。
- 広い範囲に点在する少量の食物を効率よく採食し、かつ威嚇や攻撃など他個体を排除するエネルギーを要する行動を少なくしていると考えられる。
- サブグルーピングは、いかなる群れでも積雪期に常時発生するわけではなく、地域にもよるが群れサイズが60〜70頭ほどの群れになると発生しやすくなる傾向にある。
- 積雪期にサブグルーピングが助長されるのは、落葉と積雪のため遠くまで見通しがきき、離れて行動しても心理的に安心感があるためではないだろうか。
- 冬季のサブグルーピングは、非積雪期にときおり観察される1日以内の長続きしないサブグルーピングとは様相を異にする。
群れと一緒に遊動する白猿(アルビノ個体) |
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