2023/11/04

ニホンアナグマの巣穴が気になり連日通うホンドギツネの謎【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年4月中旬

二次林に営巣するニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の巣穴(セット)には、ホンドギツネVulpes vulpes japonica)も繰り返しやって来ます。 

シーン1:4/18・午前5:07・(@0:00〜)日の出時刻は午前4:58 
日の出直後に単独でやって来たキツネが、奥の巣穴Lにおっかなびっくり侵入しようとしていました。 
次は手前に回り込んで、もう一つの巣穴Rをこっそり覗き込みます。 
キツネは強引にアナグマの巣穴に押し入ることはなく、諦めて右に立ち去りました。 


シーン2:4/19・午前5:40・(@0:36〜)日の出時刻は午前4:56 
翌日も早朝にキツネが登場。 
営巣地の地面の匂いや風の匂いを嗅いでから、巣穴Rを気にしつつ右へ通り過ぎました。 
…と思いきや、右から手前に戻って来ると、トレイルカメラの存在に気づいたようです。 
カメラを固定した灌木の下に立ち止まって何かしています。 
死角で見えませんが、私の残り香が気になるのかな? 


シーン3:4/19・午後18:19・(@1:36〜)日の入り時刻は午後18:21
同じ日の日没直前にまたもやキツネがアナグマのセットにやって来ました。 
奥の巣穴Lを覗き込んでから、ちょっと座り込みました。 
今回も早足で右に立ち去りました。 


シーン4:4/19・午後21:06・(@2:02〜) 
2時間45分後、暗くなってからもしつこいキツネが再登場。 
薄明薄暮以外の時刻(暗い晩)にキツネが来たのは初めてです。 
今回はアナグマの巣穴を覗き込んだり物色したりしないで、右に立ち去りました。 


シーン5:4/20・午前4:54・(@2:14〜)日の出時刻は午前4:55
翌日も日没直前にキツネが現れ、奥の巣口Lを覗き込んでいます。 
諦めて右奥の灌木林へ立ち去りました。 

キツネはなぜか奥の巣穴Lに執着し、手前の巣穴Rにはあまりちょっかいをかけません。 
ということは、おそらくアナグマ♀は巣穴Lに籠城しているのでしょう。 


シーン6:4/20・午前5:01・(@3:05〜) 
約5分後に灌木林の獣道からキツネが戻って来ました。 
周囲はだいぶ明るくなりました。 
奥の巣穴Lに再び侵入を試みたものの、諦めて左に立ち去りました。 


シーン7:4/21・午前5:40・(@3:33〜)日の出時刻は午前4:54 
翌日も早朝にキツネが現れました。 
奥の巣穴Lを覗き込んでから回り込んで、手前の巣穴Rにも興味を示しました。 
アナグマの匂いが濃厚らしく、侵入せずに神妙な顔つきで右下に立ち去りました。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


この後もトレイルカメラでアナグマ営巣地の定点観察を続けたのですが、キツネがこれほど集中的に現れたのは、不思議なことにこの時期だけでした。 
登場時刻はほとんど薄明薄暮でした。
しかし、明るい昼間は監視カメラを節電のためにスリープさせているので、もしキツネが来ていても記録されません。 
実際は日中もキツネが通ってきている可能性があります。(基本的に夜行性だと思うのですが…。)

キツネの巣穴も近所にありそうです。
縄張りを巡回するついでに、気になるアナグマの巣穴に立ち寄っているのでしょう。
ストーカーのように何度もしつこく通って来るということは、アナグマの赤ちゃんを狩ろうとしているのか、それともアナグマの巣穴をあわよくば乗っ取ろうとしているのですかね?  (※ 追記参照)
後々紹介する予定ですが、この二次林には野ネズミも出没します。
キツネはアナグマというよりも、野ネズミの巣穴が気になっているのかもしれません。

キツネの個体識別が出来ていませんが、まさか複数個体が通っているのでしょうか?

子育て中のアナグマ♀にとってホンドギツネは天敵のはずです。
しかし、外敵が巣口に近寄っただけではアナグマが中から飛び出してきて撃退することは一度もありませんでした。 
あくまでも専守防衛で籠城する穴熊戦術のようです。 
仮に巣口から捕食者が押し入っても、緊急脱出用の出口が別に掘ってありそうな気がします。





※【追記】
子供向けの古い写真集ですが、北海道の大雪山でキタキツネの生態を長期観察した記録をまとめた久保敬親『きつね(しぜんのせかい1)』によると、
中国東北部で動物の観察をしたルカーシキンはキツネは穴の中にすむが穴ほりがうまくないのでアナグマの穴を横どりすると書いています。アナグマの留守に押しかけて尿や糞をして汚し、もとの持ち主が閉口して放棄するのを待つのです。同居している場合もあり、この場合はその家主のウサギなどだけは食べないのだそうです。 (p33より引用)


ホンドギツネもキタキツネも基本的な習性はおそらく同じでしょう。

私が観察するニホンアナグマの営巣地で、ホンドギツネの排泄シーンはトレイルカメラに写っていませんでした。 

監視カメラの死角でやっているのかもしれないので、カメラの台数を増やしたくなります。

キツネがアナグマの留守中に巣穴の中に侵入して、巣内で排泄するという意味でしょうか?


春の刈田で落ち穂拾いするキジ♀3羽の群れ(野鳥)

 

2023年4月中旬・午前10:20頃・くもり 

田んぼの農道で採食する2羽のキジ♀(Phasianus versicolor)を発見。 
私に気づくと警戒し、農道から隣の刈田に慌てて逃げ込みました。 
地味な羽毛のキジ♀は刈田に居ると見事な保護色となり、カメラのAFピントが合焦しにくくなります。 
じっとしていれば、まず見つからないでしょう。

キジ♀が飛び去るシーンを期待して、動画を撮りながら農道を歩いて近づいてみました。 
しかし飛ぶのが苦手なキジは、よほど身の危険が迫らなければ、ひたすら走って逃げるようです。 
足早に刈田を横断し、畦道を乗り越え、私からどんどん離れて行きます。 
キジ♀には目立った冠羽がありませんが、後頭部の羽毛が少し逆立っていたのは緊張の現れなのでしょう。 
私が立ち止まって撮影を続けると、充分な安全距離を取ったキジ♀はようやく警戒を解き、逆立っていた冠羽が寝ました。 

途中からもう1羽が現れ、計3羽の群れと判明しました。 
キジは♀だけが集まって群れを形成します。
嘴の動きを見ると、キジ♀は刈田を移動しながらときどき互いに小声で鳴き交わしているのかもしれません。 
残念ながら遠くて鳴き声を聞き取れませんでした。 

ようやく落ち着くと同じ区画の刈田で仲間と合流し、歩きながら地面を啄んで採食を始めました。 
落ち穂拾いだけでなく、春の刈田で昆虫や虫などを捕食しているのかもしれません。 
採食の合間に立ち止まって胸の羽毛を嘴で整えました(羽繕い)。 

最後は田んぼの端にある枯れヨシ原へ逃げ込みました。
いつもここはキジの隠れ家となっています。 
ヨシ原にキジの営巣地がありそうだと前々から睨んでいるのですけど、未確認です。 

ところで、キジ♀が採食していた刈田の一区画だけ、なぜか大量の不燃ゴミが散乱していました。 
せっかく撮れた採食動画が見苦しいゴミのせいで台無しです。 
田起こし前に撒く肥料のような物だとしたら、刈田の全区画に撒くはずです。 
何かトラブルがあって誰かが悪質な嫌がらせでゴミをぶちまけたのか…?と米農家の闇を見た気がしました。(勝手な想像です) 



2023/11/03

巣穴周辺で仰向けに寝転がって毛繕いするニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月中旬 

二次林に営巣するニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の記録です。 
営巣地(セット)で独特な毛繕い行動をしています。 

シーン1:4/17・午後23:26・(@0:00〜) 
深夜にセットの奥をうろついてから右の林縁で座り込み、仰向けにひっくり返って毛繕いを始めました。 
謎の行動で初見でしたが、アナグマの基本的な行動レパートリーだと後に分かってきます。 
この映像ではやや遠く、性別が見分けられません。 
(♀の巣穴に夜這いに来た♂の可能性もあります。) 


シーン2:4/20・午前4:28・(@1:01〜) 
3日後も同様の毛繕い行動が撮れていました。 
この個体は巣穴の主の♀です。 
手前の巣口R周辺をうろついてから、立ち止まって座り込みました。 
仰向け姿勢で毛繕いしたり、痒い体を足でボリボリ掻いたりしています。 
自分の毛皮を甘噛みしているような気もしますが、もっと鮮明な暗視映像で撮れるアングルを工夫しないといけません。 

最後は手前の巣穴Rに入りました。 


※ 一部は動画編集時に自動色調補正を施しています。 




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