2022/10/22

右目を失明したニホンイノシシが夜霧の水場に登場【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年7月下旬・午後20:32 

山中の泉をトレイルカメラで監視していると、濃霧が立ち込める晩に謎の獣が対岸の林道に現れました。 
赤外線の暗視映像で、爛々と光る目が1個だけ左に動いています。 
カメラ目線になっても(正面を向いても)左目しか光っていません。
右目の光が失われている(失明)ようです。 
謎の獣が水辺に近づくと、うっすらとニホンイノシシSus scrofa leucomystax)の姿が見えました。 
警戒心が強く、池畔に立ち止まって周囲の匂いを頻りに嗅いでいます。 
最後は林道を左に立ち去りました。
関連記事(1年前の撮影)▶  
雨の夜に水場の横を通り過ぎるニホンイノシシ【トレイルカメラ:暗視映像】 
水場の畔を深夜徘徊するニホンイノシシ【暗視映像:トレイルカメラ】

この水場に設置したトレイルカメラにイノシシは過去2回写っていますが、右目を失明した隻眼のイノシシは初登場です。 
最近になってイノシシ同士の激しい喧嘩で牙に突かれて負傷したのでしょうか? 
個体識別する上で、これほど分かりやすい特徴はありません。 
隻眼の野生動物はかなりのハンディキャップだと思いますけど、なんとか生き延びて元気な姿をまた見せて欲しいものです。(同じ水場に再登場した動画を公開)
関連記事 ▶ 右目が失明したハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】

この池に通りかかるイノシシは、水を飲んだり浴びたりしたことが一度もありません。 
イノシシは泥浴び(ヌタ打ち)が大好きなはずなのに、ここで披露してくれないのは不思議です。
カメラの存在に気づいて警戒しているのかな? 

※ 動画編集で加工したりせず、オリジナルの動画ファイルをそのままYouTubeにアップロードしたのに、濃霧を表現できず画質が不自然なモザイク状にかなり劣化しているのは残念です。 

ホンドタヌキの溜め糞から吸汁するイチモンジチョウ

 

2022年7月下旬・午後14:30頃・晴れ 

スギ林道の溜め糞場sを監視しているトレイルカメラの電池を交換するために現地入りすると、林床に1頭のイチモンジチョウLimenitis camilla japonica)が居ました。 
私が知らずにズカズカと近づくと警戒して少し飛び去ったものの、しばらくじっと待つと舞い戻って来ました。 
スギの落葉や落枝が敷き詰められた林道の地面が日溜まりになっています。 
イチモンジチョウは口吻を伸ばして地面を味見しながら歩き回り、お気に入りの場所を探り当てたようです。 

翅を緩やかに開閉しながら口吻を伸ばして林床の地面を舐めています。 
性成熟に必須のミネラル成分を獣糞から摂取しているのでしょう。 
この個体は翅先が丸みを帯びているので、性別は♀ではないかと思うのですが、どうでしょうか?(自信なし) 
真横から見ても翅を閉じると腹端が隠れて見えないのですが、腹部は常に真っ直ぐなので「吸い戻し」の排尿はしていないと思います。 

しばらくすると、イチモンジチョウはようやくタヌキの糞塊そのものに移動して長々と吸汁を始めました。 
溜め糞の表面は新鮮な下痢便で覆われています。 
しかし糞塊そのものは味が濃厚過ぎるようで、辺縁部に移動して糞が付着したスギ落葉を舐めて回ります。 
糞塊には糞虫やハネカクシ類などの先客が集まっているので蝶はあまり落ち着いて吸汁出来ない、という事情があるのかもしれません。
満ち足りたイチモンジチョウは自発的に飛び立ち、辺りを低く飛び回るともう戻って来ませんでした。 

この溜め糞場sはタヌキとアナグマが共有しています。 
トレイルカメラで撮れた映像を確認すると、イチモンジチョウが舐めていたのはニホンアナグマではなくホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が排泄した糞でした。 

イチモンジチョウは汚物をよく舐めていますが、獣糞で吸汁するシーンは初見です。
関連記事(12、14年前の撮影)▶  
イチモンジチョウのペレット吸汁 
ニホンカモシカの白骨化死骸から吸汁するイチモンジチョウ

2022/10/21

オタマジャクシの群れが池の中で日陰に偏って分布する謎

 

前回の記事:▶ 後脚が生えてきたオタマジャクシの大群

2022年7月中旬・午後13:10頃・晴れ 

前回の2日後にも頑張って山中の水場にやって来ました。 
冷たい湧き水(地下水)が溜まっている泉です。
日陰になっている左岸の浅瀬では、相変わらず膨大な数の黒いオタマジャクシがひしめき合い、蠢いています。 
あまりにも密集していて、脚の発達具合(変態)を確かめられません。 
オタマジャクシを観察容器ですくって見れば良いのですけど、今回は横着してサンプリング調査をやりませんでした。 
こんなに密集していては酸欠状態になるのではないかと心配になります。
水面にはアメンボの幼虫(種名不詳)が浮いています。 

一方、日当たりの良い右岸では水中を遊泳するオタマジャクシの密度が低く、数が疎らです。 
素人考えでは水温が高い方が生育が早まって有利ではないかと思うのですが、酸素濃度が低かったりするのでしょうか?
池の中で右岸よりも左岸の方がオタマジャクシの餌が圧倒的に豊富とは思えません。 
日向の右岸では昼行性の捕食者に狙われやすいので、明るい日中は日陰者としてひっそり暮らしているのかもしれません。 
つまり、水温の高い日向は発生が早い利点があるものの、捕食者に狙われやすい欠点がありそうです。
関連記事 ▶ 山中の池に飛び込んで獲物を捕食するアカショウビン【野鳥:トレイルカメラ】

オタマジャクシの密度が低い右岸では、個々のオタマジャクシをじっくり観察できます。 
頭でっかちですけど、後脚の肢芽が生えかけているようです。 
同じ池の中でもオタマジャクシの発育の程度が不揃いなのは、複数回に分けて産卵した結果と思われます。 
アズマヒキガエルBufo japonicus formosus)の幼生ではないかと予想しているのですけど、別種の幼生が混じっている可能性もありそうです。 

不定期の観察のため、オタマジャクシの成長記録としては不完全です。 
子ガエルへと変態が完了した個体はさっさと水場から上陸するはずですから、発育の遅いオタマジャクシばかりが池に残ることになります。 
本当は採集したオタマジャクシを飼育してじっくり観察したいところです。 
しかし、オタマジャクシを山中から家まで生きたまま持ち帰るミッションが想像するだけでも大変だ…という言い訳をして二の足を踏んでいます。 
今回は温度計を忘れてしまい、池の水温も気温も測っていません。 


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