2019/11/09

畑の土を舐めてミネラル摂取するモンシロチョウ♀♂



2019年7月下旬・午前9:00頃

野菜を植えた畑をモンシロチョウ♀(Pieris rapae)が低空で忙しなく飛び回っています。
畑から芽生えた双葉に興味を示しているように初めは見えたのですが、翅表を見ると♂でした。
したがって、産卵が目的ではありません。


畝の端にようやく着陸し、朝露で濡れた黒っぽい土塊に口吻を伸ばすと吸水を開始。
ミネラル摂取しているのでしょう。
タテハチョウ科ではよく見られる行動ですが、シロチョウ科では珍しいです。
実は3年前にモンシロチョウのそれらしき行動を観察しているのですが、口吻をはっきり撮れず結論が出ませんでした。

▼関連記事(3年前の撮影)
畑の土で吸水するモンシロチョウ

今回は口吻を伸ばして土を舐めている様子がはっきり撮れました。
後半はカメラを右に振ると、隣の畝でも別個体のモンシロチョウ♂が飛び回り、土を舐めていました。




【追記】
江島正郎『日本の昆虫6:モンシロチョウ』を紐解いて成虫の吸水行為についての章を読むと、モンシロチョウは他種に比べて吸水性に乏しいと考えられているのだそうです。
全てのチョウが吸水行為を行なうのではなく、日本産チョウ類257種のうち150種(58%)、シロチョウ科に限っても28種中23種(82%)に過ぎない。(中略)
 モンシロチョウ属では、エゾスジグロが最も吸水性に富んでいるようで、特に北海道亜種ssp. nesisは数百頭が集団で吸水しているのが観察されている。しかし、九州では単独で吸水するだけで、スジグロやタイワンモンシロと大差はない。 
 モンシロは、これら3種に比べてはるかに吸水性に乏しく、長崎県で観察された吸水記録589例のうち、12例2.0%に過ぎない。キチョウの99例16.8%に比べると、いかに少ないかわかるだろう。 
 ただし、北海道札幌市の調査では、モンシロで24例の観察があり、うち22例は春に、20例は♀で記録されたので、吸水性に地域性があるのかもしれない。 (p46-48より引用)

チョウの吸水行為をさらに分類すると、吸排水行為(Pumping)、吸い戻し行為(Re-imbibing)、散水行為(Dropping)が報告されているそうです。
以上の行為は、ほとんど♂に集中しており、♀について記録がある種は、単なる吸水行為(Mud-puddling)を含めても50種に満たない。シロチョウ科では、キチョウ、ホシボシキチョウ、モンキチョウ、ミヤマモンキチョウ、モンシロ、スジグロで報告されただけである。 (同書p48-49より引用)



【追記2】
YouTubeのコメント欄にて横室稜さんより性別についてご指摘を頂きましたので訂正します。
動画のモンシロチョウは登場順に♀、♂とのことでした。
吸水する蝶は♂が多いという予備知識や先入観に引っ張られてしまいました…。
紫外線カメラがあればモンシロチョウの性別は一目瞭然で、行動の解釈も楽になるのになー、といつも思います。
話題の新書『カラー版 虫や鳥が見ている世界―紫外線写真が明かす生存戦略』を最近読んで感動しました。
これからは写真だけでなく生物の動画も紫外線で撮ると全く新しい世界が開けそうです。
近年スマホに押され気味のカメラメーカーも生き残りのために紫外線カメラ(動画撮影可能)とか赤外線カメラ(サーモグラフィー)のようなマニアックな機種をお手頃価格で市場に投入して欲しいものです。


モンシロチョウ♀@畑+吸水:ミネラル摂取

オニグルミの木を登るニホンザル♀



2019年7月下旬・午前6:32

早朝の山麓でオニグルミの高木にニホンザルMacaca fuscata fuscata)の若い♀が取り付き、ほぼ垂直に伸びた幹をスルスルよじ登ると、叉の部分に腰掛けました。
隣の灌木(ウワミズザクラ?)の小枝の樹皮をかじったようですが、後ろ姿ではっきり見えませんでした。
顔に掛かる枝葉をうるさそうに払いのけています。
興味津々で私を見下ろしています。
やがて座っていた横枝に立ち上がると、再び幹をよじ登り始めました。
木登りのスキルは流石です。


ニホンザル♀@オニグルミ樹上

訪花中のオオハキリバチ♂に産卵するヤドリバエ♀の早業



2019年7月下旬・午後17:34

夕方、イタドリの花にオオハキリバチ♂(Megachile sculpturalis)が訪れ吸蜜していました。
ここまでは数日前と同じです。


▼関連記事
イタドリの花蜜を吸うオオハキリバチ♂ @同じ場所で撮影

そこへ飛来したハエが通り過ぎかけたものの、引き返すと狙いを定めてオオハキリバチ♂に素早くぶつかって離れました。
まるで当て逃げのようです。
オオハキリバチ♂は驚いて花から滑落しました。
すぐに立ち直ったようで、イタドリ群落の左下隅の隙間の奥に飛び去るオオハキリバチ♂の姿が映っています。

この一瞬で一体何があったのでしょうか?
思わせぶりなハエの行動を1/10倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。

ハイスピード動画ではないので、カクカクとコマ落ちするのは仕方がありません。
素人目にはなんとなくニクバエ科の一種のようです。
ハエが蜜源植物の群落でライバルを追い払う(占有行動)とは考えにくいでしょう。
吸蜜したいのなら、わざわざ争わなくても辺りには他の花がいくらでも咲いているからです。
それともハエ♂が同種の♀と見間違えて蜂に飛びついたのかな?(誤認求愛)
もしヤドリバエ科(寄生バエ)の一種の♀だとすると、すれ違いざまに驚異的な早業で寄主の体表に産卵したのかもしれません。


▼関連記事
イタドリハムシに寄生産卵するヤドリバエ @10年前の撮影

オオハキリバチの営巣地で寄生者を観察したことが過去に2例ありますけど、巣ではなく成虫の体に直接産卵するハエ(捕食寄生)がいるとは初耳です。

▼関連記事
オオハキリバチvs天敵ツリアブ @捕食寄生:9年前の撮影
オオハキリバチの巣に侵入を試みるハラアカヤドリハキリバチ♀:前編 @労働寄生:7年前の撮影
野外で飛び回っているオオハキリバチを片端から捕獲して体表にヤドリバエの卵が産み付けられているかどうか調べ、被寄生個体を飼育してハエが羽化するまで待てば突き止められそうです。(言うは易し)



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