2023/12/30

小川を歩いて遡上して丸木橋の下をくぐり抜けるアオサギ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年5月中旬・午後18:23・気温16℃(日の入り時刻は午後18:44) 

日没前の夕方なのになぜか暗い日で、赤外線の暗視モードでトレイルカメラが起動しました。 
小川の中に1羽のアオサギArdea cinerea jouyi)が来ていました。 
ゆっくり歩いて右岸を上流に向かって遡っています。 
頭を少し下げて、丸木橋の下をくぐり抜けました。 
左岸の水際に注目して、獲物となる小魚を探しているようです。 

画面の左から右に向かって緩やかに流れている小川の上空で、小虫が飛び回っていますが、蚊柱というほど密集していません。 

2023/12/29

雨の朝に幼獣4頭を次々に運んで隣の巣穴へ引っ越すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2023年5月中旬

シーン1:5/15・午前4:57・(@0:00〜)日の出時刻は4:26。 
雨が降る早朝に、ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣の首筋を咥えて運び、手前の巣穴Lへと入りました。 
次に手前の巣穴Lから空荷で出て来ると、まっしぐらに巣穴Rへ向かいました。 
正面から見ても自然光下では左右の目の大きさが黒い過眼線に隠れて見えませんが、後頭部(首筋)に白斑がある♀個体でした。 

アナグマ関連の本で予習していたので、母親♀が幼獣を連れていずれ引っ越しすることは知っていました。
しかし、雨天決行したことに驚きました。 
巣穴Rの巣材(寝床、敷き藁)が雨で濡れて住心地が悪くなったから、急遽、引っ越しするのでしょうか? 
悪天候の方が天敵に見つかりにくいのかな? 
引越し先がすぐ隣の巣穴だったことも意外でした。
前日に巣材を巣穴Rに搬入した行動と辻褄が合わない気がするのですけど、一体何だったのでしょうか?

これで分かったことは、 
  • アナグマ♀は巣穴R(産室)で出産していたこと。 
  • 巣穴RとLの居住区は中で繋がっておらず、独立しているらしいということです。 


シーン2:5/15・午前4:59・(@0:25〜) 
再び♀が次の幼獣(2匹目)を運んで巣穴RからLへと引っ越しました。 
母親に運ばれている間、首筋を咥えられた幼獣は身動きしないでおとなしくしています。 
(鳴き声も聞き取れません。)
空荷で出巣Lした♀が身震いして毛皮の水気を切ってから入巣R。 


シーン3:5/15・午前5:01・(@0:54〜) 
今回は、♀が3匹目の幼獣を咥えて巣口Rから出てくる様子がしっかり撮れていました! 
空荷で♀が巣穴Rへ戻ります。 


シーン4:5/15・午前5:03・(@1:22〜) 
4匹目の幼獣を同様に運びます。 
幼獣の首筋を咥えて運んでいる様子がはっきり撮れました。 
空荷で出巣Lした♀が巣穴Rへ戻る途中で身震いし、雨で濡れた毛皮の水気を切りました。 

次に巣穴Rから出てきた♀は空荷でした。 
巣穴Rの産室に幼獣が残っていないことを確認してきたようです。 
途中で身震いしてから入巣Lしました。 
これで家族の引っ越しは完了です! 
計4頭の幼獣を巣穴Rの産室から新しい巣穴Lに運びました。 
(幼獣運搬を撮り損ねた回があったかもしれません。)


アナグマの産仔数をGoogle Scholarで調べていて見つけた文献の全文PDFが無料公開されていたので、ありがたくダウンロードさせてもらいました。 
田中浩. (2002). ニホンアナグマの生態と社会システム. 山口大学博士論文.
まだ全部は読めていませんが、一腹産子数の平均は、2.3±0.8頭とのことでした。 
私が観察している♀は4頭(以上)産んだので、多産の部類に入るようです。
餌の豊富な生息環境なのでしょう。

アナグマ – おもしろ哺乳動物大百科 83 食肉目 イタチ科 というサイトによれば、
ニホンアナグマの交尾期は4月から8月で、受精卵は翌年の2月ころまで着床遅延し、出産期は2~5月です。産子数は1~3頭、オスの子どもは生後24ヶ月齢まで成長を続けますが、メスの成長は早く1歳で親と同じ大きさになります。性成熟はオスで約2歳、メスは1歳で性成熟し着床遅延をはさんで2歳から出産が始まります。ニホンアナグマのメスの子どもは母親と一緒に生後14ヶ月齢迄しかいませんが、オスは生後約26ヶ月齢まで一緒にいます。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


サルナシの果実を食べてみる

2022年10月上旬

河畔林のオニグルミ灌木に巻き付いた謎の蔓植物に果実がつきました。

図鑑で調べてみると、名前だけは聞いたことのあるサルナシ(マタタビ科)でした。

 



緑色で熟しているかどうか分からないのですけど、果実を1個採取し、ナイフで輪切りにしてみました。
切り口になぜか粘り気があります。


2022年10月中旬

19日後に現場を再訪すると、手の届く範囲のサルナシ果実は無くなっていました。
野生動物が食べ尽くしたのか、それとも通りすがりのヒトが誰か採取したのかな?

蔓を強引に引き寄せて、残った熟果をなんとか1房(5個)だけ採集しました。
果実が熟しても果皮は緑色のままで、表面がシワシワになるだけです。

採寸代わりに1円玉(直径2cm)を並べて写真に撮りました。
ナイフで輪切りと縦切りにしてみました。
断面の果汁に粘り気があります。

左が輪切りの断面
左が輪切りの断面

試食してみると、酸味が強いものの、確かにキウイフルーツと同じ味でした。
小さな種子のプチプチした歯応えも同じでした。
しかしサルナシは1個の果実が小さいので、食べごたえがありません。
食後に口内が少しピリピリするのは、アクチニジンと呼ばれるタンパク質分解酵素が含まれているからでしょうか。

多田多恵子『身近な草木の実とタネハンドブック』を紐解いてサルナシについて調べると、このタンパク質分解酵素の役割りについて興味深い話が書いてありました。
なるほどなぁ。

・キウイに似て美味だが、食べ進むと甘みを感じなくなり、苦痛になる。果肉中のタンパク質分解酵素で舌の味蕾がやられてしまうのだ。大食いの哺乳類が1回に食べる量を制限して、タネを少しずつ分散させるために酵素はある。

・種子の粒は小さく、サルやタヌキやクマの歯の間をすり抜ける。(p147より引用)

サルナシやキウイフルーツは熟しても果皮が色づかず地味なままなので、鳥類ではなく哺乳類に果実を食べてもらって種子を糞と一緒に散布してもらう戦略です。(※追記4参照)
サルナシの果実を食べる種子散布者としてはホンドテンやハクビシン、ニホンザル、ツキノワグマなどが予想されます。(※追記2参照)
『身近な草木の実とタネハンドブック』にはタヌキも挙げられていましたが、木登りのできないタヌキは落果を食べるしかないでしょう。

大井徹『獣たちの森 (日本の森林/多様性の生物学シリーズ 3)』という専門書によると、
哺乳類に食べてもらうための果実の特性としては色彩よりも匂いが大事なようであり、ケンポナシ、サルナシ、マタタビのように色は地味だが、甘く強い匂いを発する。(p136より引用)
しかし、今回サルナシの果実に甘い芳香を私は感じませんでした。(もっと熟す必要があるのかな?)

トレイルカメラを設置して、サルナシの実を食べに来る野生動物を観察してみたいところです。
しかし、この場所は川沿いの遊歩道のすぐ横なので人通りが多く、隠しカメラを設置したらトラブルになりそうです。
人里離れた山林に自生するサルナシを探しているのですが、なかなか見つかりません。
適当な場所にサルナシの種子をばらまいて育つのを待つ方が早いかもしれません。


同じ日の帰り道に、民家の庭の蔓棚でたわわに実ったキウイフルーツの熟果を2箇所で写真に撮りました。
東北地方の雪国でもキウイフルーツが育つとは最近まで知りませんでした。
品種改良すればサルナシの果実もこのぐらい大きく立派に育つのでしょうか。

民家aの蔓棚
民家bの大きな蔓棚

【追記】
2023年5月下旬
同じ場所に定点観察に通い、サルナシの蕾の写真を撮りました。






その後は忙しくなってしまい、残念ながらサルナシの花を観察しそびれてしまいました。
訪花昆虫(サルナシの送粉者)に興味があるので、花を見るのは来季の宿題です。

同じ日に民家の蔓棚bで育つキウィフルーツの蕾も写真に撮っています。






次は6月中旬に定点で撮ったサルナシ未熟果の写真です。





2024年5月下旬

翌年もしつこく定点観察に通い、念願だったサルナシの花をようやく写真で記録することが出来ました。
撮影時刻が夕方だったためか、訪花昆虫(送粉者)の姿はありませんでした。

民家の蔓棚に植栽されたキウィフルーツが開花した頃を見計らってサルナシを見に行けばよいことが分かりました。









【追記2】
塚田英晴『野生動物学者が教えるキツネのせかい』によると、キツネもサルナシを食べるのだそうです。
日本の野山には、野生のキウイフルーツであるサルナシと、野生のブドウであるヤマブドウが生えています。キツネは秋になると、これらの果物をよく食べます。この2つの果物を地面にならべて、キツネに食べさせる実験をしてみた研究によると、キツネが先に食べるのはいつもサルナシでした。(kindle版41%より引用)


【追記3】
『所さんの目がテン!』というテレビ番組(2025年1月12日放送)を視聴していたら、サルナシの熟した果実を食べに来る生き物を調べていました。
トレイルカメラを仕掛けたところ、シジュウカラとアライグマの採食シーンが写っていました。


【追記4
小宮輝之(監修)『鳥の食べもの&とり方・食べ方図鑑 おもしろふしぎ鳥類学の世界』によると、サルナシの果実を食べる鳥がいるようです。
(サルナシの)果実は8月末くらいからなり、かたい実をカラス類などが食べはじめます。
果実はカラス類、シロハラ、マミチャジナイなどが食べる。 (p142より引用)


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