2023/04/27

タヌキの溜め糞場で婚活するベッコウバエ♀♂の群れ(交尾、翅紋誇示、誤認求愛、交尾拒否)

 

2022年10月中旬・午後15:00頃・晴れ 

ニセアカシア河畔林の木の下にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場rvに久しぶりに来てみると、溜め糞が復活していました! 
一時期はトレイルカメラを設置して監視していたのですが、他のプロジェクトのためカメラを撤去し、それと共に私の足も遠のいていました。 
ヒトの気配が無くなったのでタヌキが警戒を解いてくれ、ここにまた通い始めたのでしょうか。 
やはりタヌキたちもトレイルカメラの存在に気づいて嫌がっていたのでしょうか?
この点については結論が出ておらず、私の気にし過ぎかもしれません。
溜め糞の消長には環境の季節変化やタヌキ側の事情もありそうです。

木漏れ日に照らされたタヌキの糞にベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)の大群が群がっていました。 
私が下手に近づくと皆一斉に逃げてしまうので、まずは少し離れたところから望遠マクロで撮影します。 
黒々としたタヌキの糞塊が2箇所に残されていて、その1つにベッコウバエが集まっています。 
冒頭シーンで数えると22匹ものベッコウバエが来ていました。 
ベッコウバエの性別は腹部の色で容易に見分けられ、♀は黒光りしていて♂は黄金色の毛が密生しています。 

糞塊の表面にまぶされている白いフレーク状の欠片は植物の種子ではなく、ベッコウバエの卵です。 
大量に産み付けられていました。 

交尾中の♀♂ペアにズームインしてみると、体格は♂>♀でした。 
横から見ると腹部の色の性差がよく分かります。 
体格の性的二型は、♀を巡って♂同士の闘争行動があることを示唆しています。 
♂が♀に背後から乗ってマウントしているものの、交尾器は結合していませんでした。(交尾中ではない) 
おそらく♂は♀が産卵するまでライバル♂と浮気されないように交尾後ガード(配偶者ガード)しているのでしょう。 
♂にマウントされた♀はひたすら獣糞を吸汁しています。 

次はあぶれ♂の行動に注目してみましょう。 
獣糞の上を歩き回りながら翅を小刻みに開閉して翅紋を誇示しているのは求愛行動なのでしょうか。 
あぶれ♂は手当たり次第に周囲のベッコウバエに飛びついています。 
♂が♂に飛びつくのは同性愛的な誤認求愛ではなく、一種のマウンティング(優劣行動)や縄張り占有行動なのかもしれません。 
獣糞を吸汁したり身繕いしたりしている単独♀にあぶれ♂が飛びついても、なぜかすぐに別れました。 
このとき単独♀は翅を動かしておらず、交尾拒否の意思表示をどう示したのか分かりませんでした。 
単独♀が腹端を下に屈曲させていたので、産卵中だったのかな? 
あぶれ♂は交尾中(交尾後ガード中)の♀♂ペアにも飛びついて♀を強奪しようとしています。 
しかし交尾中の♂が脚を横に突き出して「来るなよ」とあぶれ♂を牽制するので、諦めました。 
あぶれ♂は苛々と翅紋誇示しながら溜め糞上を徘徊しています。 

今回はベッコウバエの他に糞虫などは見つかりませんでした。
(少なくとも獣糞の表面には居らず) 
糞塊の中をほじくってしっかり探すべきでしたね。

2023/04/26

カモシカが眼下腺マーキングしたスギ落枝の匂いを嗅ぐ雨夜のニホンイノシシ♂

 



2022年10月中旬・午前4:09頃・気温12℃ 

里山のスギ林道に設置したトレイルカメラにニホンイノシシ♂(Sus scrofa leucomystax)が久しぶりに写りました。 
小雨がぱらつく夜明け前に林道を単独で右から登場すると、溜め糞場sで立ち止まりました。 
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)とニホンアナグマMeles anakuma)の糞便臭に気づいたようです。 

それよりも道端から目の前に突き出たスギの落枝にイノシシは興味を示し、鼻面を近づけて匂いを嗅いでいます。 
複数個体のニホンカモシカが最近この落枝の先端部に代わる代わる眼下腺を擦り付けてマーキングして行きます。 


カモシカよりも体高が低いイノシシは、落枝の先端には届きません。 
それでも嗅覚の鋭いイノシシはカモシカが10.5時間前(前日の夕方)に匂い付けした残り香を嗅ぎ取ったようです。 
少し迂回するように左へ立ち去りました。 

ここは野生動物が縄張り宣言で三種三様に匂い付けするホットスポットになっています。
タヌキ・アナグマの溜め糞やカモシカのマーキング跡に対抗するようにイノシシが縄張りを主張したり何らかのマーキングしたりする行動は見られませんでした。 

この個体は口から牙が少し覗いています。 
この牙のサイズは♂ですかね?(イノシシの観察歴が浅い私は、いまいち自信がありません) 
横から見る限り、下腹部に乳首はありません。 
後ろを向いてくれなかったので、股間の外性器は確認できませんでした。 



カラマツの樹皮を剥がして持ち去るシジュウカラの謎【野鳥:トレイルカメラ】

 

2022年10月下旬・午前10:20頃 

雑木林の林床で午前中にシジュウカラParus minor minor)がカラマツの根元を覗き込んでいました。 
このアングルではシジュウカラの性別を見分けられません。 
私が給餌したドングリは野ネズミが全て持ち去った後で、食べ残ししかありません。 
そんなドングリ餌場にシジュウカラは興味を示しませんでした。 
ドングリ(ミズナラ堅果)を中から食い荒らして育ったシギゾウムシの幼虫が蛹化するためドングリの外に脱出していたかもしれませんが、それも地中に潜り込みますし、おそらく野ネズミが見つけ次第捕食してしまったはずです。 

泥汚れの付いたカラマツの幹をシジュウカラがついばんでいるのは、微小のアブラムシなどを捕食しているのでしょうか? 
根元で強く湾曲したカラマツの幹から樹皮?の欠片を毟り取って左に飛び去りました。 
巣材集めにしては季節外れです。 
寒くなって越冬の準備で巣内に断熱材が必要なのかな? 
しかしスギの樹皮とは異なり、カラマツの樹皮はフワフワの繊維質ではないので、鳥の巣材に向いてるとは思えません。 
クモ♀(蜘蛛)が樹皮に産み付けた卵嚢を捕食した可能性もありそうです。  (追記参照)

※ 古い機種のトレイルカメラで明るい昼間に動画を撮ると、画面全体がピンク色に染まって点滅します。 
見苦しいので動画編集時に自動色調補正を施しました。

冒頭のシーンは明るい日中に撮った現場の状況です。
餌場に置いたドングリが見えます。
設置直後だけは昼間でもフルカラー(総天然色)で正常に写るのが不思議で腹立たしいです。 



【追記】
約2週間後に現場検証してみると、カラマツの根元付近の樹皮に小さなパッチ状のクモの巣(網)らしき構造物が幾つか付着していました。
これはヒラタグモUroctea compactilis)のコロニーですかね?





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