2022/11/07

アナグマの溜め糞に群がるクロボシヒラタシデムシとニクバエ

 

2022年7月下旬・午後13:05頃・ 

里山のスギ林を通る林道の真ん中にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)とニホンアナグマMeles anakuma)が共有している溜め糞場sがあります。 
2種の食肉類の糞塊が並んでいるうち、アナグマのやや緩い糞(軟便)にクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)とニクバエの一種が集まっていました。 
ハエは口吻を伸ばして糞を舐めています。
シデムシは糞の上をウロウロと歩き回っています。
小型の甲虫エンマムシ?(エンマコガネ?)も来ているようですが、よく見えません。 


隣りにあるタヌキの溜め糞と違い、センチコガネの仲間は居ませんでした。 
アナグマの糞の下に潜り込んでいるのかもしれませんが、ほじくって探すことはしませんでした。 
動画撮影を優先するために、現場を乱したくなかったのです。 

うんちレストランに集まる昆虫にも、糞の種類によって微妙な好みがあるのかもしれません。 
タヌキとアナグマがそれぞれ何を食べているのか?という食性にも関係してきそうです。 
ただし、糞の鮮度(排泄からの経過時間)が違うため、安易な比較はできません。 

※ 横に設置したトレイルカメラによって、アナグマとタヌキの排便シーンを確認しています。

2022/11/06

昼間のスギ林道に現れトレイルカメラに興味を示すツキノワグマ

 

2022年8月上旬

里山で杉林道の溜め糞場sを見張っているトレイルカメラ(自動撮影カメラ)にツキノワグマUrsus thibetanus)が初登場。 
スギ林にツキノワグマの食べる餌があるとは思えないので、移動しやすい便利な回廊として林道を利用しているだけでしょう。 


シーン1:8/9・午後14:25・気温30℃ 
明るい昼間に黒いクマが林道を左からやって来ました。 
タヌキやアナグマが残した溜め糞には全く興味を示しませんでした。 
道端のスギの幹に固定してあるトレイルカメラの直下で立ち止まり、死角で何かをしています。 
スギの根元の崖を掘り返して土を舐めているのか?(塩分摂取?)と想像したものの、証拠映像が無いことには分かりません。 
後日の現場検証でも手がかりとなる痕跡は得られませんでした。 
(アリの巣などもありません。 )

1分後には同一個体が林道を右に立ち去りました。 
ノシノシ歩きながら途中でタヌキの溜め糞の匂いを嗅ぎ、右後足で踏みつけて行きました。 


シーン2:8/10・午後18:01・気温26℃ 
翌日の夕方に、今度は逆の右から歩いて登場しました。 
胴体の左側(カメラに向けている側)に「ひっつき虫」(動物散布型の種子)が幾つも付着しています。 

溜め糞場には興味を示さず、今回もトレイルカメラの真下で立ち止まりました。 
画角の外で一体何をしているのか、気になります。 
やはり崖の土を舐めに来たのかな? 
カメラを固定したスギの幹に毛皮を擦り付けようとしたのかもしれません。 
逆の向きから同時に狙えるようにトレイルカメラをもう1台設置したくなりました。 

クマに驚いた野鳥が慌てて飛んで逃げて行きます。 
ツキノワグマが急に立ち上がり、鼻面がちらっと写りました。 
顔や胸の月の輪は、カメラに近過ぎてしっかり写りませんでした。 
トレイルカメラの存在に気づき、ヒトの匂いを嫌って逃げたのでしょうか? 
カメラを壊されなくて良かったです。 


2日連続で写ったクマが同一個体なのか別個体なのか、私には未だ見分けられません。 
夜行性とは限らず、明るい時間帯も活動するようです。 

トレイルカメラの電池やメモリーカードを交換するために現地入りする際には、熊とニアミスしないように、緊張感を持って細心の注意が必要です。 
気休めの鈴だけでなく、護身用のクマよけスプレーを必ず携帯します。



仲間を運んで引っ越すムネアカオオアリ♀の行列

 

2022年7月下旬・午後12:15頃・くもり 

里山の山道を登り始めたら、ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)の行列と出会いました。 
白い幼虫(蛹?)を咥えて運んでいるワーカー♀が行列に混じっているので、初めは奴隷狩りかと思いました。 
「ムネアカオオアリは奴隷狩りする習性があったっけ?」と混乱しつつ観察を続けると、同種の成虫を口で咥えて運んでいる個体もいました。 
それでようやく、引っ越し中のコロニーなのだと判明しました。
関連記事(11年前の撮影)▶ 仲間の成虫を咥えて引越しするムネアカオオアリ
仲間(幼い妹)を運ぶのは大型のワーカー♀の仕事のようです。 
空荷で歩く個体は何も持たずに身一つで引っ越しするのか、それとも随伴護衛を務めているのかな? 
行列を逆行する個体と出会うと、触角で挨拶するだけですれ違います。 
微小の白い卵を口に咥えて運んでいる個体も動画にちらっと写りました。 

運んでいる白くて大きな物体が幼虫なのか繭なのか、マクロレンズでしっかり接写すべきでした。 
ムネアカオオアリの幼虫は繭になるので、裸の蛹を運ばないはずです。 
白い幼虫の一端に見える黒い点は、終齢幼虫の口器なのか、それとも蛹化前に排泄した糞なのかな? 

白くて太った幼虫を運ぶ個体に注目して接写しようとしたら、砂利を踏む私の足音に驚いて引き返してしまいました(行列を逆行)。 
草の根際に隠れるように静止しています。 
アリの引っ越し作業を邪魔しないように望遠マクロに戻しました。 

運ばれていくアリ成虫の胸が赤いかどうか、見下ろすアングルでは確認しにくかったです。
マクロレンズを装着して、横からじっくり接写すべきでしたが、先を急ぐ用事のあった私は億劫で横着してしまいました。
成虫運搬のシーンのみ1/5倍速のスローモーションに加工しました。 
直後に等倍速でリプレイ。
ムネアカオオアリの成虫同士が互いに大顎で噛み合って運んでいました。 
赤色が薄い羽化したばかりの若い個体を運搬してあげているのでしょう。 
若い成虫は自力で遠くまで歩くのも未だ覚束ないのかな? 
古川晴男『蟻の結婚』第9章アリの引越し によると、 
アリは仲間の働き蟻を口に咥えて運ぶことがある。これは社会生活をするハチ類等に絶対見られないことである。(中略)運んでもらう方のアリは親虫に成り立ての若いものが多いようである。運ぶ方のアリが仲間を咥えようとすると、運ばれる方のアリは脚を縮めたりして相手が運びやすいように気を配るのである。 仲間の体をもつ持ち上げ方は種類によって多少形式が違っている。ヤマアリ類やオオアリ類では、運ぶものは自分の大腮で運ばれるものの大腮を咥え、運ばれる方は髭と足を縮めて腹側と腹側が向き合うような姿勢で運ばれて行くのである。 (p182より引用)
【ムネアカオオアリ飼育日記 2】ついに働きアリが羽化 ネット検索で見つけたブログサイトによると、
胸から腹部前方にかけて赤いのがムネアカオオアリの特徴ですが、羽化して間もない働きアリはその色が薄く、薄いオレンジ色に見えます。
行列の源流を突き止めようと遡ると、山道を少し登ってから、路肩の法面に生えた枯れ草(イネ科)の上をムネアカオオアリが乗り越えていました。 
最後は藪の中に見失ってしまいました。 
ムネアカオオアリは森林性で木の腐朽部に営巣するそうです。 
逆に、行列の下流を辿ってムネアカオオアリの新しい巣を探すべきでしたね。 

9日後に現場の山道を再訪したときには、当然ながらアリの行列は無くなっていました。  

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