2021/08/30

脱糞後に電線から飛び立つヒヨドリ幼鳥(野鳥)

前回の記事:▶ ヒヨドリ幼鳥の居眠りと親鳥を呼ぶ鳴き声(野鳥)

2021年6月中旬・午後18:10頃・(日の入り時刻は19:04) 

路地裏の電線上に独り残ったヒヨドリHypsipetes amaurotis)幼鳥cが腹を減らして親鳥を呼んでいます。 
近くで別個体の幼鳥が同様に鳴いている声も聞こえますし、親鳥も鳴き交わしています。 

幼鳥cが急に落ち着きをなくし、身震いしたり電線を横歩きしたりし始めました。 
いかにも電線から飛ぼうか躊躇っているようです。 
近くで親鳥が餌で釣ったり幼鳥cを呼んだりしているのかもしれませんが、このとき私には親鳥を見つけられませんでした。 

飛ぶのを予想した私がカメラのレンズをズームアウトしたらヒヨドリ幼鳥cは固形の糞をポロリと排泄しました。 
脱糞シーンをまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
電線上の幼鳥cは親鳥からナツグミの熟果を給餌され、丸飲みにしていました。
関連記事▶ ナツグミの赤い実をヒヨドリ幼鳥に巣外給餌する親鳥(野鳥)
したがって、排泄した糞の中には未消化のナツグミ種子が含まれているはずです。 
それを確認できたら種子散布の証明になるのですが、今回は動画撮影を優先しました。 

ヒヨドリ幼鳥cは脱糞で少しでも体重を軽くした直後に飛び立ち、目の前の民家の屋根に着陸しました。 
飛翔シーンをまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
ヒヨドリの雛は他の種類の鳥に比べて未熟な状態で早々に巣立ちます。 
尾羽が短いヒヨドリ幼鳥は飛行能力が覚束ないものの、辛うじて短距離を飛べるようです。 

ちなみに「鳥の羽の種類と役割」を解説したサイトによると、
縦揺れを防ぎ、飛行の安定や方向転換、ブレーキの役割をするのが尾羽です。

傾斜がある屋根の上で滑り落ちそうになっても、なんとか踏み止まりました。 
屋根の上でもピィーピィー♪と甲高く鳴き続け、健気に親鳥を呼んでいます。 
続けて屋根から飛び去り、家屋の陰に消えました。 

※ 動画編集時に逆光補正を施し、音声は正規化して音量を強制的に上げています。 


路地を挟んで反対側の電線に止まっていた別個体の幼鳥bもいつの間にか居なくなっていました。 
おそらく親鳥♀♂および他の幼鳥たちと合流し、近くの庭木など安全な場所に家族群でねぐら入りしたと思われます。 
ヒヨドリの幼鳥があのまま目立つ場所でバラバラに鳴いて居たのでは、いずれネコやカラスなどの天敵に見つかって捕食されてしまいそうです。 

巣立ち直後のヒヨドリ幼鳥と親鳥の行動を詳細に観察できて、私はとても満ち足りた気分で家に帰りました。 
残る課題は、営巣および育雛行動の観察です。 
私は未だヒヨドリの巣を見つけられたことがありません。 

シリーズ完。

2021/08/29

ジョウカイボンとゴウソ

 

2021年6月中旬・午後18:00頃・くもり 

山中の池Lの岸に自生するゴウソ群落の小穂にジョウカイボンLycocerus suturellus)がしがみついていました。 
ジョウカイボンは草食性ではなく肉食性なので、この植物を訪れたのはたまたまでしょう。 

しばらくすると、小穂から飛び立ちました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、パカッと広げた後翅は真っ黒でした(根元だけ白っぽい)。
関連記事(8年前の撮影)▶ 飛べ!ジョウカイボン【ハイスピード動画】
しかし飛翔力が弱く、隣のゴウソの葉にすぐ着陸すると、どんどん歩いて下に移動して行きました。

この植物の名前を私は知らなかったのですが、動画ブログのネタにしないとなかなか図鑑で調べる気になりません。
アゼナルコと迷ったりしたのですけど、おそらくゴウソだと思います。
水辺の植物も知らない種類が多いので、1つずつ地道に学んでいくしかありません。

電線から撮影者を見下ろし警戒声♪を発するシジュウカラ♀♂(野鳥)

 

2021年6月中旬・午後17:45頃・くもり 

私が路地裏に佇んでヒヨドリ家族群の給餌行動を熱心に撮影していると、なぜか私の周囲にシジュウカラ♀♂(Parus minor minor)がやって来て喧しく鳴き始めました。 
ヒヨドリ幼鳥に近づき過ぎた私に対してヒヨドリ親鳥が発する警戒声を聞きつけて、近所で営巣しているシジュウカラ♀♂が様子を見に来たのかな?と想像しました。 

シジュウカラの鳴き声はバリエーション豊富で、近年その一つ一つの意味が明らかにされています。 
NHKの動物番組『ダーウィンが来た!』の2021年05月23日放送回で「鳥の言葉が分かる!聞いてびっくり鳥語講座」と題してシジュウカラの言語を特集していました。 
鈴木俊貴氏らの研究によると、シジュウカラが「ピーツピ♪」と鳴くのは、「警戒しろ」という意味だそうです。 
シジュウカラが「ヂヂヂヂ♪」と鳴くのは、餌を見つけた時などに混群のメンバーに対して「集まれ」と呼びかける意味があるのだそうです。 
他にも「上空にタカが来た!」と天敵の襲来を伝えるときには、シジュウカラは「ヒーヒーヒー♪」と鳴くそうです。 
また、シジュウカラが「ジャージャー♪」と鳴くときは「ヘビだ」という意味になります。 
更に面白いことに、シジュウカラは単語を組み合わせて文章を構成することが可能らしく、「ピーツピヂヂヂヂヂ♪」と続けて鳴いたときには「警戒しながら集まれ」という意味になります。 
これを聞くとカラ混群は、モズ剥製へのモビング行動を始めました。 
こうした予備知識があると、今回私が出会ったシジュウカラの鳴き声も理解できるようになりました。 

シジュウカラ(♀?)が私の頭上の電線に止まって見下ろしながら、チョッ、チョッ、ツピツピ♪と鋭く鳴き続けています。 
私がカメラを向けても逃げようとしません。 
この鳴き方は「警戒しろ!」という意味ですから、警戒の対象は明らかに私でしょう。 
冠羽を逆立てているのは興奮の現れかな?
黒いネクタイのように胸に縦に走る黒帯の幅でシジュウカラの性別を見分けるのですけど、逆光でしかも電線に隠れてしまい、どうしても胸の黒帯がしっかり見えません。 

すぐ近くで別個体がジジジジ…♪「集まれ!」と鳴く声も聞こえました。 
どうやらつがいのパートナーも近くに来ているようです。 
私から少し離れた電線上でヂヂヂヂ…♪(集まれ!)と繰り返し鳴いているのは、シジュウカラの♂だと分かりました。 
鳴く合間に電線上で左肩の羽毛を整えました(羽繕い)。 

やがて私の存在に慣れてくれたのか、人畜無害だと分かってくれたのか、うるさいシジュウカラは居なくなりました。 
電柱の支線から民家の軒下の雨樋や屋根に忙しなく飛び移るようになりました。 
この民家の敷地内にシジュウカラの巣がありそうだと思ったのですが、飛び回るシジュウカラを見失ってしまいました。 
おそらく近所の庭木などにシジュウカラが営巣してそうです。 
縄張り内に現れた怪しい人物(私)を偵察に来たのでしょう。 
仲間を呼び寄せて、私に対してモビングを仕掛け、追い払うつもりだったと分かりました。 
ただし今回私が観察した限りでは、シジュウカラの同一個体が「ピーツピヂヂヂヂヂ♪」(警戒しながら集まれ!)と続けて鳴くことはなく、「ピーツピ♪」(警戒しろ)と繰り返し鳴く個体と「ヂヂヂヂヂ♪」(集まれ!)と鳴く個体が別々でした。 

※ 動画編集時に逆光補正を施し、音声は正規化して音量を強制的に上げています。 

シジュウカラの警戒声を声紋解析してみる?
性別不明。♀?
これは明らかに♂


実はこのとき、野次馬としてコムクドリ♂も私の様子を見に来ました。
関連記事▶ 電線上で頭を掻き、脱糞、欠伸するコムクドリ♂(野鳥)
カラ混群では異種のメンバー間で互いに言語が違っても意思疎通ができることが分かっています。 (幼鳥の時期に学習する)
一般的な混群ではないのに、ヒヨドリやシジュウカラの鳴き声「警戒しろ」「集まれ」を聞いて理解し、コムクドリが集まってきたのなら面白い発見です。 
とにかく登場する野鳥が多過ぎて、どれを撮ろうか目移りしてしまいました。 

 

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