2020/09/18

オオキンカメムシを見つけた!:マサキ訪花、捕獲からの飛翔【HD動画&ハイスピード動画】



2020年7月中旬・午後16:10頃・くもり

河川敷のマサキの生垣に花が咲いていました。
そこに見たことのない巨大で派手なカメムシを発見。
オオキンカメムシEucorysses grandis)という南方系(熱帯系)の種類でした。
近年の温暖化の進行で分布を北に広げているのでしょうか?
毒々しい色合いですが、子供の頃も図鑑でしか見たことのない憧れのカメムシでした。

マサキの花で吸蜜しているのか花柄での吸汁なのか、口吻の状態を横から接写しないと分かりません。
(花の上でただ休んでいるだけかもしれません。)
私がカメラのレンズを近づけたら、オオキンカメムシは警戒して花序の裏側に急いで隠れてしまいました。
仕方がないので捕獲を試みると、擬死落下で緊急避難。

地面に落ちたオオキンカメムシを摘んで拾い上げました。
仰向けで手に乗せるとすぐに起き上がり、指先まで歩いて登ると翅を広げて飛び去りました。

着陸地点までしつこく追いかけて再捕獲しました。

繰り返し手掴みにしても、特に何も悪臭を放出しませんでした。
今度は飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみましょう。(@1:00〜)
驚いたことに、前翅は閉じたままで後翅を広げ、羽ばたいていました。
前翅を閉じたままで飛ぶ甲虫のハナムグリ類を連想したのですが、スーパースローで見直すと、発達した小楯板の下から前翅および後翅が伸びてきて羽ばたいていますね。
昆虫の飛翔シーンを同一個体で繰り返して撮影すると、やがて疲れて飛ばなくなってしまうのが普通です。
ところがこの個体は意外にも飛翔力が強く、またもや驚かされました。
最後は広い河川敷を横断すると河畔林のニセアカシア樹上まで数十mも一気に飛び去り、呆気にとられました。(映像なし)
セミでもなかなかこれほど長くは飛びません。

※ 動画編集時に音声を正規化して羽音の音量を強制的に上げています。

安永智秀、前原諭、石川忠、高井幹夫『カメムシ博士入門』を読むと詳しい解説があり、私の疑問に全て答えてくれました。

・キンカメムシやマルカメムシは半翅鞘をあえて退化させ、小楯板を極端に発達させた。背面後半部を完全に覆うことで強度がより増す。この形状は、速く、より遠くへ飛ぶ能力を強化した。
・(キンカメムシ類は)前・後翅とも小楯板の下部に収まっているから、飛翔時も見かけは変わらない。
・西日本の温暖な海岸部に生息するオオキンカメムシの移動力にも定評があり、果敢にアルプス越えにチャレンジすることが知られている。こうした事実は、キンカメたちの高い移動・分散能を如実に物語っている。(p21より引用)




野澤雅美『カメムシ:おもしろ生態と上手なつきあい方』によれば、
 オオキンカメムシは、25mmに達する日本産では最も大きなキンカメムシで、関東から南の海岸の暖かな地域の照葉樹林で生活している。(中略)飛翔力が強く、北海道や東北でも採集されている   (p60より引用)




達人は腹端から性別が見分けられるのかな?



2020/09/17

ヨウシュヤマゴボウの花で採餌するクロマルハナバチ♀



2020年7月中旬・午後16:40頃・くもり

堤防路の道端に咲いたヨウシュヤマゴボウの群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。
この組み合わせは初見です。
吸蜜する蜂の後脚をよく見ると、花粉籠に微量の白い花粉団子を付けていました。




花上のニホンアマガエルに乗るシタキモモブトスカシバ(蛾)


2020年7月中旬

住宅街の民家の庭に咲いたキクイモモドキシタキモモブトスカシバMelittia inouei)が訪花していました。
いつものように動画で記録しようとしたつもりが、カメラの録画開始ボタンの押し間違えで、写真(静止画)1枚しか撮れていませんでした。
カメラを構えた私が無造作に近づいたら、蛾はすぐに飛んで逃げてしまいました…。
痛恨のミスです。

撮れた写真を見直すと、蛾は花の上で休息して(翅を休めていた)いたようです。
吸蜜ホバリング中なら激しく羽ばたき続けているはずで、高々1/800秒のシャッタースピードでは翅が止まって見えないはずです。
もう一つ驚いたことは、シタキモモブトスカシバは大胆にも緑色のニホンアマガエルHyla japonica)の上に居座っていました。
カエルは訪花昆虫を捕食しようと待ち伏せしていたはずなのに、獲物として大き過ぎたのでしょう。

※ この記事は、動画無しの写真ネタです。



【追記】
有田豊、池田真澄『擬態する蛾スカシバガ』という名著によると、
シタキモモブトスカシバでは、後脚の脛節外側に黄色や橙黄色の長毛が密生して膨らんでおり、身体の一部分や色彩模様が擬態しているだけでなく、まるでミツバチ類やマルハナバチ類が後脚脛節の花粉バスケットに黄色の花粉を集めて膨らんでいる状態によく似ている。形態だけでなく、花粉を集めた状態に似せているという非常に特異な擬態である。 (p72より引用)

もしかすると、アマガエルはシタキモモブトスカシバのベイツ型擬態に怖気づいて手出しをしなかったのですかね? 


これらの蛾類(スカシバガ科:しぐま註)のハチ擬態の効果のほどは実験的に確かめられているわけではない (p69より引用)




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